ビル・エバンス ジム・ホール / Undercurrent

耽美的なビル・エバンスとジム・ホールのデュオアルバム。

なんと言っても1曲目の”My Funny Valentine”にノックアウトされます。 ビル・エバンスのピアノが空間が多くて、透明感だけでなく緊張感があります。

ジム・ホールのギターはソロ、バッキング、エンディングのテーマまで完璧です。 ソロでの間合いが多いのに変にハラハラさせず、こちらの期待が高まる感じ。これははなかなかできません。 下手すると、フレーズに詰まってると思われちゃいますからね。 音使いもジム・ホール的なハーモニー感覚が完成されてきているのが分かります。

そしてバッキング。ランニング・ベースを交えたコード弾きも驚きましたが、その後のリズミックなカッティングが格好良くて、ビル・エバンスのピアノソロよりもバッキングのギターを聴いてしまいます。

Complete版だとオルタネート・テイクが入っていますが、採用されたテイクはマジックが起きていたんだと思います。 それぞれの人の好みはあるかも知れませんが。

残りの曲は、ゆったりとしたテンポでの二人の語らいといった風情で、”My Funny Valentine”のようなドライブ感のある演奏はないです。 強いてあげるなら”Dream Gypsy”なんかは少しテンション高めかな。これもカッコいい曲・演奏です。

Complete版だと”Stairway To The Stars”, “I’m Getting Sentimental Over You”と”Romain”のオルタネート・テイクが含まれますので、そちらがおすすめです。

しっとりとした演奏なのに、くどさや湿っぽさがない。 適度な緊張感と、チャレンジを交えながらゆったりと歌うビル・エバンスとジム・ホールの大人な世界を楽しみましょう。