キャビネットに収めるほうが、ギターアンプっぽくて愛着が湧くというものです。 実際、キャビネットに収めると、とても愛おしいアンプになりました。
林さんの本ではキャビネットには収めていませんが、ここではキャビネットを作ります。
準備編と配線編は次のリンクをどうぞ。
目次
スピーカーをどうするか
エレキギターはアンプまでが楽器だと思っています。なかでもスピーカーは最終的に音を決めてしまうので、大変重要です。
ただ、もし気に入らなければ変更も割と容易です(部品代はかかりますが…)。いろいろ試すことは大事です。
まずスピーカーを選びます。ぼくはJensenのスピーカーJensen ジェンセン 8インチ・スピーカー・ユニット C8R 8Ω 【国内正規輸入品】を選びました。
これは値段も手頃で、評判も良さそうです。 Amazonでも買えますが、Soundhouseさんの方がお安いです。 (下のスピーカーの写真をクリックするとSoundhouseさんの商品ページに飛びます。)
Soundhouseさんのリンク: JENSENの8インチ・ギターアンプ用スピーカーC8Rは、輝くような高域を持つクリスタルクリアなトーンが魅力です。
キャビネットの設計
木材加工で作る方針です。どの材を使うかをまず決めます。
今回はパイン集成材を使うことにしました。近所のホームセンターサンコーで買えるので手軽です。 ただし、厚さが中途半端なので注意して設計します。 設計する際、ここでもInkscapeを使います。 この場合、原寸大でなくても良いです。適当に縮尺して設計しています。
苦労したところ
何と言っても、シャーシに垂直に真空管を配置してしまったので、キャビネットの中にシャーシをどう収めるかが悩みです。 仕方ないので、キャビネットの奥行きを増やします。 おかけで、かなり大きなキャビネットになりました。
場所は取りますが、安定感はバツグンです。何事も良い面を探しましょう。
ということで、シャーシをそのまま横倒しの状態でマウントします。
下図で(8)の番号が振ってある板にシャーシをマウントするわけです。 図面の上では真空管などの細かい形状は描いておらず、その代わりに最大の高さの箱を描いています。
前からみた図
前から見た図は下です。
微妙にツライチが合っていませんが、基本的にツライチは合わせて作る前提です。
スピーカーをマウントする板を固定する受け板を設けてあります。 図面上では(6)と(7)の番号を振ってある部品がそれです。
フツーは高さのあるシャーシを使い、フロント側にボリューム・スイッチなどを配置し、 裏側に真空管を配置するものです。
キャビネット部品集め
部品は以下のところから入手しました:
- 木材 近所のホームセンター
- スピーカー Soundhouse さんから買いました。(JENSENの8インチ・ギターアンプ用スピーカーC8Rは、輝くような高域を持つクリスタルクリアなトーンが魅力です。 )
ツイード: Garett Audioさんから買いました 「Fender純正のツイードになります。」を購入しました。
Garett Audioさんのページは「その他の部品」→「Tolex & Grill Cloth ~Tweedやクロス、スピ-カ-グリルクロス、パイピング」から購入できます。
スピーカーネットGarett Audio さんから買いました。 「Fenderタイプのレプリカグリルクロス」を購入しました。
Garett Audioさんのページは「その他の部品」→「Tolex & Grill Cloth ~Tweedやクロス、スピ-カ-グリルクロス、パイピング」から購入できます。
キャビネットの製作
組み立て
部材の切り出し
いよいよ製作です。部材を切り出す前に下図のような図面を準備します。自分が使う木材の形状に合わせて、効率的な配置を考えます。
指矩(さしがね)は必要です。木材に正確に墨入れ(のこぎりで引くラインを入れる)する際に使います。
自分でカットする場合は、ソーガイドとゼットソーのセットがおススメです。ちゃんと使えばまっすぐ切れますし、直角も出ます。
のこぎりは慣れないと直線が出ませんし、曲がってしまった木口を修正するのは大変です。 3000円程度でプロ並みののこぎり技術を使えますので、試さない手はありません。
基本的な30105で充分です。
仮組み
切り出した後に仮組みした写真です。
組み立て
木工用ボンドと釘で固定します。木工用ボンドのみで固定している箇所は、ハタガネやクランプを使って固定します。
スピーカー関連の固定は爪付きナット
スピーカーのマウントや、スピーカーのパネルを本体に固定するのに、今回は爪付きTナットを使いました。
シャーシをキャビネットに固定するためにも使いました。こちらは裏側が目についてしまい、かなり目立ちます(下の完成した写真で分かります)。
面取り
組み上げた後は面取りをしています。後々ツイードを貼ることを考えると面取りを丁寧にやる必要があります。
面取りはカンナとヤスリを使っています。長い部分はカンナを使います。その後はヤスリで仕上げています。ヤスリは紙やすりを木片に巻いて使っています。
角は紙やすりで仕上げています。角はカンナは使いづらいので。
かんなは40mm程度で充分です。一つあればいろいろ使えます。
ツイード塗装
ツイードはラッカーで保護するらしいので、クリアのニトロセルロース・ラッカーを吹きます。 裁断する前にラッカーを吹いて、貼る場所に合わせてカットしていきます。
クリアを吹く時は、どのくらい吹くのが適切なのか分かりません。だからテキトーです。 ただ、換気には気をつけましょう。
ツイード貼り
ツイードは木工用ボンドで貼ります。 専用の接着剤もあるようですが、ちょっと高額なのでやめにしました。 接着の能力の違いがあるのかも知れませんが、木工用ボンドで十分でした。
貼り付けた後は、当て木をしてクランプやハタガネで押さえます。 木工用ボンドが染み出してきましたが、気にせず押さえ続けます。 木工用ボンドは乾燥すればほぼ透明になるので、神経質にならなくても大丈夫です。たぶん。
クランプを使った固定の例
クランプは板同士を接着するなどの場合に使います。今回はツイードを貼り、その上に当て木をして下地の板と挟んで締め上げます。
C型クランプを使っていますが、自分が使いやすいものを使えば良いです。
ハタガネを使った固定の例
ハタガネは、長いものを挟みこむ場合に使います。
今回の工作ではハタガネは50 cm程度のもので大丈夫でしょう。 木工をやる場合は、ハタガネは5本以上持っていると楽です。
角は、端布(ハギレ)をツイードの模様に合わせてカットして、タイトボンドで貼り付けます。
完成した写真
見た目はなかなかに仕上がりました(自画自賛)。
上記の爪付きナットでシャーシを固定しているのが、下の写真で分かります。ちょっと存在感がありすぎますな。
音はどうよ?
5Wとは思えないボリュームで鳴ります。 ボリュームを絞れば、家で鳴らせるレベルですが、それでもかなりデカい。 15Wのトランジスタ・アンプが可愛いレベルに思える。
肝心の音は、シングルコイルの音は非常に良いです。ハンバッカーはリアしかないので、まーこんなものかと。 やはりフロント側のシングルは弾いてるとニヤけてきます。 エフェクターなしでもで弾き続けたい感じ。
Fender ChampはRandy Rhodesとかウォーレン・デ・マルティーニも練習用に使っていたようですが、納得です。 コンボ型の真空管アンプはこれで十分って思ってます。
今時は真空管アンプもだいぶ安いものがありますが、自分で作ると愛着もひとしおです。 部品も少ないので、故障しても修理が簡単です。 ジャズ系のギタープレイにもマッチすると思います。 こういうのを弾くとエフェクターを使う必要を感じませんね。歪みが欲しい時はペダルが必要ですけど。
すごいです、自分も自作アンプキャビネット作って行こうと思っています、箱のネットや生地などは何処のお店が手軽に買えるか知りたいのですが、自分のアンプキャビネット等の剥がれ等の生地が欲しのですがよろしくお願いいたします。失礼します
この記事を書いた当時はGarrettaudioさんで入手できたのですが、今は品切れのようですね。
“Tweed cloth fender”のようなキーワードで検索すると、いくつか海外のショップがヒットするようです。これのお店でも品切れが多いようですが、ストックがあるショップもあるようです。
なかなか入手が難しそうですね。
そうですね。今ぼくが自作するならフェンダー系ドンピシャのツイード生地にこだわらずに、手芸品店で入手できるツイード生地を使うと思いますね。
少し変わった風合いのアンプで良いかと思います。
トーレックス系も選択肢ではありますが…。
すごい!
自分で作ってしまうなんて、、、
僕も自分で作ってみたいと思いました!!
ちなみに音ってどんなですか?
もしよかったら、音のサンプルとかもらえたら幸いです!
ぜひチャレンジしてみてください!
音は素直な張りのある感じでした。トーン・コントロールが無いのですが、ギター側のトーン調整で十分いけるというか。
エフェクタを使わないでも、ずっと弾いていたい音でした。セミアコ・フルアコには特に合いそうです。
実は最近はアンプを使ってなくてうろ覚えですが…。
というのも、音量がかなり大きいので家で弾くにはそういう点で少し使いにくい。
ちょっとしたライブではかなり使えると思います。ボリュームを上げるとナチュラルに歪むので、扱いは少し慣れが必要かと。
いわゆるマスター・ボリュームが無いタイプです。