リチャード・ストールマンがFSF理事から追い出された件のメールを読み直す

フリーソフトウェア財団(FSF)理事から追い出されたリチャード・ストールマン(RMS)が復帰しました。

でも、まだ文句を言う人がいるようですね。

フリーソフトウェア財団理事を追放されるも復帰を果たしたリチャード・ストールマンが声明を発表、コミュニティからは「謝罪になってない」と批判も

批判している人は、一連の騒動のきっかけを理解しているのでしょうかね。

この件の背景をおさらいしておきましょう。この一連の流れはXah LeeのRichard Stallman Resigned from FSF, 2019-09-16に詳しいです。

「問題」とされているRMSのメール

「問題視」されたメールは以下です(引用はこの件を”Vice News”にタレこんだSelam G.のブログから Remove Richard Stallman)(改行タグは適当に挿入してあります) :

The announcement of the Friday event does an injustice to Marvin Minsky:

“deceased AI ‘pioneer’ Marvin Minsky (who is accused of assaulting one of Epstein’s victims [2])”

The injustice is in the word “assaulting”. The term “sexual assault” is so vague and slippery that it facilitates accusation inflation: taking claims that someone did X and leading people to think of it as Y, which is much worse than X.

The accusation quoted is a clear example of inflation. The reference reports the claim that Minsky had sex with one of Epstein’s harem. (See https://www.theverge.com/2019/8/9/20798900/marvin-minsky-jeffrey-epstein-sex-trafficking-island-court-records-unsealed.) Let’s presume that was true (I see no reason to disbelieve it).

The word “assaulting” presumes that he applied force or violence, in some unspecified way, but the article itself says no such thing. Only that they had sex.

We can imagine many scenarios, but the most plausible scenario is that she presented herself to him as entirely willing. Assuming she was being coerced by Epstein, he would have had every reason to tell her to conceal that from most of his associates.

I’ve concluded from various examples of accusation inflation that it is absolutely wrong to use the term “sexual assault” in an accusation.

Whatever conduct you want to criticize, you should describe it with a specific term that avoids moral vagueness about the nature of the criticism.

訳してみると以下のような感じでしょうね。

金曜日のイベントのアナウンスは、マービン・ミンスキーに対して不当な扱いをしている。

“deceased AI ‘pioneer’ Marvin Minsky (the who is accused of assaulting one of Epstein’s victims [2])” (故人となったAIの「パイオニア」マービン・ミンスキー)

その不当は”assaulting”という言葉にある。”sexual assault”(性的暴行)という言葉は、非常に曖昧でつかみにくいため非難を過度に煽っている。 つまり、誰かがXをしたという主張を、Xよりもはるかに悪いYをしたのだと人々に想起させるのだ。

引用されている告発文は、この煽りの明確な例だ。 このソースでは、ミンスキーがエプスタインのハーレムの一人とセックスをしたという主張が報告されている。 https://www.theverge.com/2019/8/9/20798900/marvin-minsky-jeffrey-epstein-sex-trafficking-island-court-records-unsealed 参照)。 それが本当だったと仮定しよう。(私がそれを信じない理由はない)。

“assaulting”という言葉は、彼が何らかの方法で力や暴力を行使したことをほのめかしているが、記事自体にはそのようなことは書かれていない。 ただ、二人がセックスをしたというだけだ。

様々なシナリオを想像することができるが、最もありそうなシナリオは、進んで行為に及んだと彼女が見せかけていたということだ。 仮に彼女がエプスタインに強要されていたとすれば、エプスタインには、そのことを他の人には隠すように彼女に言う理由があったはずだ。

私は、様々な煽られた告発の例から、告発の際に「性的暴行」という言葉を使うのは絶対に間違っているという結論に達した。

批判したい行為が何であれ、具体的な言葉で記述して、批判の対象について道徳的な曖昧さを避けるべきだ。

Selam G.のブログ

かなり長いので訳だけ引用しておきます:

私がこれを書いているのは、怒りで仕事にならないからだ。 これを書いているのは、2019年9月11日(水)の午前11時に、私の友人がMIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(CSAIL)のメーリングリストに送られてきたメールを見たからだ。 このメールは、著名なコンピュータ科学者であるリチャード・ストールマンからのものだ。 その中で彼は、ジェフリー・エプスタインの寄付に関して、MITの学生や関係者による抗議を呼びかけるこのFacebookイベントについて、女子学生のメールに返信している。

(ここには上記のRMSのメールが引用されていますので、省略します。)

リチャード・ストールマンの発言には、どこから始めたらいいのかわからないほど多くの問題がある。 第一に、彼は典型的な、泣き言のような、「彼は告発されたが、有罪ではない」という弁明さえしなかった。 いや、ストールマンはそれよりもはるかに進んでいました。 その代わりに、ストールマンは「マービン・ミンスキーが、児童性売買の被害者である未成年の少女とセックスしたと仮定しよう」と言ったのだ。

そして、奴隷にされた子供は、どういうわけか「進んで行為に及んだ」可能性があると言っている。 また、人身売買の被害者である子どもたちのグループを「ハーレム」と呼んだことにも注目だ。

この人は、テクノロジー・コミュニティから広く尊敬されている人なのだ。

MITの客員研究員でもある。

MITは、エプスタインが寄付をすることでエプスタインの評判を上げることは望んでいないと主張している。 しかし、ここでは、Richard Stallmanのような人物に、名誉を与えるだけでなく、資金を提供し、客員研究員として支持しているのだ。

しかも、なぜかリチャード・ストールマンは、学部生が参加している、ほぼ学部全体のメーリングリスト(「csail-related」)に自分の意見をメールで送るのが適切だと判断した。 そのスレッドのさらに下のメールで、彼はこうも言っている。

“どの国であったか、被害者が18歳であったか17歳であったかといった些細なことから「レイプ」を定義するのは、道徳的に不合理だと思う。”

このメーリングリストでは、「Giuffre(証言した被害者)は当時17歳だったので、バージン諸島では__rape__[sic]になる」と言った学生に答えている。

繰り返しになるが、このメーリングリストには学部生が参加している。その中には「18歳か17歳」の人もいると思われる。

私はショックを受けた。 私はCSAILの女子大学院生である友人にすべてを話し続け、メールのスレッド全体を手に入れようとしました(私はメーリングリストに参加していなかった)。 地元や全国のニュースサイトや新聞社、ラジオ局などの記者にもメールを送り始めた。 このことが頭から離れなかった。いつもはポッドキャストや音楽を聴きながら帰宅する45分間のドライブの間、私はただひたすら黙って座っていた。

すぐに反応してくれたのはWBURの記者だけで、彼らはこの情報の公開を急いでいるようには見えなかった。 そこで私は、友人たちに「自分で記事を書けばいい」と言った。 今日は仕事が終わってから書こうと思っていだけど集中できないので、今、書いているのだ。

ここから章立てが変わって(見出しがついてます)

MITはその女性にふさわしくない

世界は彼女たちにもふさわしくない。 私は、これまでにSTEM分野におけるジェンダー問題を「解決」するにはどうしたらいいか、STEMプログラムに「もっと女の子を参加させる」にはどうしたらいいかと聞いてきたすべての人のことを思い返した。 男性は空間的思考に優れている」とか、「テストステロンは数学の成績向上につながる」とか、誰かが提案してきたことを考えてみた。

私は心の中で、これらの人々、集まっている群衆を見ている。 そして、心の中で立ち上がって、彼らに向かって叫ぶのだ。 もし時間と手があれば、彼らの肩に手を回して、一人一人に意味を教えてあげたい。

問題点はとても明白だ。

女性が悪いわけではない。STEM分野の女の子には何の問題もないのだ。 何があろうとも、STEM関連の学問を愛する女性や少女はたくさんいる。 中には、MITで4年間の学士号を取得したり、7年間の博士号を取得したりする人もるけど、その後、これらの分野を続けるべきかどうか疑問を持ち始める人もいる。 なぜなら、これらの分野には、あまりにも多くのクソッタレな男性が溢れているからだ。

ジェフリー・エプスタイン マービン・ミンスキー

リチャード・ストールマン

トラビス・カラニック ジェームズ・ダモア。このようなハラスメント、女性蔑視、差別のパターンを続けてきた技術者や学界の男性たちのランドリーリストだ。

リチャード・ストールマンは、これよりずっと前から問題があることが知られていました。これは彼のオフィスのドアです。

(ブログでは、ここにRMSのオフィスのネームプレートの写真が挿入されている)

比較的深刻ではない、あるいは笑えない失言だが、彼は以前にもCSAILリストに扇動的なメールを送ったことがあると聞いた。 ある友人は、ストールマンのメール専用のメールフィルターを用意して、常に受信箱から取り除くようにしていると冗談を言っていた。

なぜこのようなことが許されるのでしょうか?

なぜ、ジョークやコメントなど、小さなことをただ「流す」ことを許してしまうのか?

なぜ、私のような人間がこのような記事を書かなければならないような、悪くて公然とした耐え難い状況になるまで待つのか?

なぜ私たちは、MITの女性やマイノリティの大学院生の数が少ないことを片手で考え、もう片方の手で科学分野のくだらない男性を支持するのか? 彼らを支持するだけでなく、彼らをキャンパスに招待し、同じ女性やマイノリティの学生と肩を並べるだ。

なぜ私たちは、「天才」であるという理由だけで人々を許してしまうのか。

ミシェル・オバマが言うように、「彼らはそんなに賢くない」のだ。STEM分野であっても、私はそう思わざるを得ない。

技術系の男性で、女性にできないことはないと思う。しかも、女性の方が自己中心的ではなく、チームワークを大切にするでしょう。

他人を卑下するコメントが許されるほど、賞賛に値する人はいない。特に、そのコメントがレイプや暴行、子供の性売買についての言い訳である場合はなおさらだ。

子供。

セックス。

人身売買。

これはサンディフック事件を思い出させる。当時の私たちは、子供たちの死に対してアメリカが何もしなければ、今後も何もしないだろうと思っていた。

今、私が知っているのは、もし著名なテクノロジー機関が問題のある男性を右往左往しながら解雇し始めなければ、私たちは何もできないということだ。絶対に。

エプスタインの問題は、ハーバード大学がより多くのエプスタインの資金を得て、この問題についてより多くの沈黙を守っているにもかかわらず、私たちのコミュニティの中で汚れた洗濯物を晒していることは、もう気にしない。 強力な組織は、問題のあるメンバーを排除するためには、私たちが面倒で公然とひどい目に遭わせなければならないことを、今は理解している。 私は今、他の人たちと一緒になって、すべてを焼き尽くすことを呼びかける準備ができている。

私は自分の所属する機関に大きな愛着を持っている。 7歳のときから大学に行きたいと思っていた場所だ。 今でも聞かれると、これまでの人生で最も幸せな思い出、あるいは最も誇りに思っている達成感は、合格通知を受け取った13年12月14日午後12時14分のあの日だと答える。 私は、技術系やSTEM系の他のすべての機関とともに、国や世界の他のすべての機関とともに、より良い方向に変わることを切に願ってこれを書いている。

誰かが「天才」と見られているという理由だけで、このような行為を放置することはできない。 権力者であるとか、影響力を持っているとか、高いところに友人がいるとかという理由だけで。

それは、ジェフリー・エプスタインが長い間、子供たちをレイプしたり、人身売買したりすることを許したのと同じ力だ。

少なくとも、リチャード・ストールマンは誰かをレイプしたとは非難されていません。 しかし、それが私たちの最高の基準なのでしょうか?この名門校が自らに課している基準は? もしこれがMITが守りたいものであるなら、もしこれがMITが支持したいものであるなら、そう、焼き払ってしまえばいいのだ。

あるいは、彼らを排除してしまおう。リチャード・ストールマンのような人物や、きっと今は隠れている他の多くの人物を排除するのだ。 #MeTooは、彼らが安全ではなく、権力と名声の塔の中で私たちが考えていたほど孤立していないことを示した。

必要であれば全員を排除し、その灰の中からより良いものを作っていこうではないか。

ツッコミ

上記のRMSのメールに問題があったのかという問いには、「FSFの理事を追い出されるような深刻な問題はなさそう」というのがぼくの答えです。 たしかに「ハーレム」は揚げ足を取られる言葉ではありますがね。

一方のSelam G.のブログは、もう「どこから始めたらいいのかわからないほど多くの問題がある」。

いや、ストールマンはそれよりもはるかに進んでいました。 その代わりに、ストールマンは「マービン・ミンスキーが、児童性売買の被害者である未成年の少女とセックスしたと仮定しよう」と言ったのだ。

そういう記事があったからRMSは「それを信じない理由はない」とまで書いてあるんですけど…。

そして、奴隷にされた子供は、どういうわけか「進んで行為に及んだ」可能性があると言っている。

これは、完全にねじまげています。「進んで行為に及んだように見せかけていた」のが「ありそうなシナリオ」ということ を書いていたのであって、「進んで行為の及んだ」可能性があるとは書いていない。かなり悪質な「煽り」でしょう。

“どの国であったか、被害者が18歳であったか17歳であったかといった些細なことから「レイプ」を定義するのは、道徳的に不合理だと思う。”

このメーリングリストでは、「Giuffre(証言した被害者)は当時17歳だったので、バージン諸島では__rape__[sic]になる」と言った学生に答えている。

繰り返しになるが、このメーリングリストには学部生が参加している。その中には「18歳か17歳」の人もいると思われる。

このやりとりも、何が問題なのか理解不明です。上の流れだと「力や暴力を行使したこと」ことが暴行の判断になることを RMSは言いたいのであって、(敢えて書くと)逆に力や暴力を行使していなくて双方合意でも国や年齢の条件で暴行になるの は変ではないのか、という論点かと推測しました。

後半のメーリング・リストのメンバーに17–18際が存在する云々は意味が良く分かりませんね。

概して、Selam G.が具体的に批判できている(的外れで言い掛かりだけど)のはここまでで、残りはいわばポエム。

「女性のほうがチームワーク云々」とか、統計なりデータなりを示して欲しいです。 後半はなかなかに情緒的かつ扇動的な内容で、正直「こいつヤベー」としか思えなかった。

おわりに

ポエムブログの訳はDeepL翻訳を手直ししてますが、後半はツラかったです。なのでポエム部分はかなり手抜きです。

アメリカでもポエム・ブログが存在するとは、大変勉強になったところであります。 イデオロギーにこり固まると、論理的思考が阻害されてしまう好例でもあります。自戒をこめて。

RMSに問題があるかないかというのは人それぞれ意見があると思いますが、上記のような煽りとねじまげで誰かを貶めるほうが悪質です。

まさにRMSがメールの最後で述べていることを実行するべきなのですよ。

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