スウィープ・ピッキング(エコノミー・ピッキング)を推し進めて一般的な奏法として広めた第一人者の2枚目のソロ・アルバム。 テクニックでゴリゴリ押すギターを期待すると、肩透しになります。(←自分のこと)
内容は割と普通な80年代フュージョン・サウンドです。 めちゃくちゃ良い曲というのは少ないですが、佳曲が何曲かあって、ぼくは通じて聴いても飽きることはないです。
もともとマイナー・レーベルのLegatoから出ていました。 ただ正直、全体の音が良いとは思えません。特にドラム。
ギターのサウンドはかなりドライ(残響系エフェクトがほとんどかかってない)なディストーション。 ビブラートも弱め。中域が強めですが、鼻つまみっぽいくない艶のある歪みです。 こんなドライなサウンドで、そのまま良い音に聞こえるのがすごいと思っていました。 一流なギタリストはサウンドも一流な人が多いですから、フランク・ギャンバレもそういう一人なんでしょうね。 “The Tardis”のクリーン・トーンもかなり良いと思います。
フレーズとしてはピッキングが独特なので、タイム感も独特です。タメとかほとんどない。 速い部分はエコノミーらしいので、チョー滑らかなフレージングに聴こえます。 そして、一番の問題だと思うのですが、これがあまりスリリングに聞こえないとう、ちょっと困った感じ。 リズムに少しくらい「うねり」があったり、「もたり」や「走り」がある方がスリリングになるという良い例かも知れません。
リズムがかなりイーブンというか淡白なノリの人のようで、カッティングも割と平坦的。 “The Natives Are Restless”では速いカッティングが聴けますが、振り抜きのリズムが正確すぎてあまり面白くないと最初思いました。でも、このソロ(ギターシンセ)はカッコいい。
赤城ケイやジョン・パティトゥッチ、スティーブ・スミスがチック・コリア風な1曲(“Legends”)で参加しいたりします。 なんとなく、この曲がメンバーどうしで対等に演奏できている感じがします。
ちなみに、”Sereneity”という曲は改題されたようで、オリジナルは”Stephanie”というタイトルでした。 たしか奥さんの名前だったはずです(ハープで参加もしている)が、離婚していろいろ事情があったのでしょう。 こういうこともあるのね、と思いました。