角松敏生 / Sea Is a Lady

捨て曲なしの文句ないアルバムです。 ぼくにとっては大学受験の夏のアルバムとして思い出深い。

全体のサウンドはかなりゴージャスな感じがしますし、夏の音という感じが強い。 曲もアレンジもサウンドも良いし、ギタープレイも精一杯がんばっているのが魅力のアルバムです。 青木智仁のベースと村上ポンタ秀一のドラムがリズム隊がビシビシきまって、これも気持ちが良い。

豪華なメンツ

メンツは上述のリズム隊の他は斎藤ノブ(Perc)、向井滋春(Tb)、友成好宏(Pf)、数原晋(Tp)などなど。 角松敏生ならではの豪華な顔ぶれです。

のっけの”Sea Line”のエンディングのトロンボーンは向井滋春ですね。 あとフューチャーされているプレーヤーをあげると、 “OSHI-TAO-SHITAI”, “52nd Street”, “Midsummer Drivin'”のサックスは小池修、 “OSHI-TAO-SHITAI”のキーボードソロは友成好宏、 “52nd Street”のフリューゲルホルンは数原晋、といったところでしょう。 高水健司、櫻井哲夫も”Bass Battle”で参加しています。これは分かりづらい…。 という感じでゲストプレーヤーのソロもすごく良くて存在感も大きいです。

角松敏生のギターも(意外と←失礼な!)良い

ギターもあまり気負いがない感じで、このアルバムのギタープレイはうまくまとめてあると思います。 ギターは角松敏生の他は弾いていないようなので、リズムのカッティングも角松なのでしょう。 この時期はちゃんとギターを弾いていたと想像しています。

コピーしてみると分かりますが、運指も独特というか、フレーズがちょっとギターっぽくない部分があります。 テクニカルではないですがメロディアスですし、隠し味的に入っているリズムギターも結構好きです。

いかにも80年代フュージョン的なギターサウンド

このアルバムは角松敏生本人によって2017年に録音しなおしてますね。 1987年盤はギターのサウンドが気に入らないとのこと。

まぁたしかに80年代フュージョン的なギターサウンドですが、これはこれでアリでしょう。 コンパクトエフェクターっぽい歪み(ぜんぜん悪くない!)と、曲によってはボッテリしたコーラスを効かしています。 今聞いても、そんなにジョワジョワしていないし、うまく音作りしたと思いますよ。 ディストーション+フェイザーだと時代を感じたりもしますが、このサウンドは全然イケる。

こういう厚化粧な処理は誰の判断なのか分かりませんが、ギタープレイのアラを目立たなくできるメリットはあります。 実際のところ、角松はギタリストとしては、このアルバムのおかけでかなり過大評価気味の人だと思います。

このアルバム以降の角松敏生のギター

2匹目のドジョウを狙ったとしか思えない”Legacy of You”というアルバムもありますが…コメントは控えましょう。 “Sea Is A Laday”がすごく当たったから、気持ちはよく分かるんだけど…。

なお、このアルバムの曲の2004年のライブ映像をYouTubeで見ることができます(あえてリンクはしません)。 こちらは、かなり下手になってしまったなぁと感じました。 テーマのロングトーンでアームをやたらと触るのもがっかりポイントですね。

これ以降の角松はギターでメロディーを歌わせるという意味ではぼく的に残念な感じ。 そういう意味でも、このアルバムには何度ももどってきてしまう。