ちょっと前に「秒速5センチメートル」を借りて見ました。これは「君の名は。」の新海誠がその10年前に発表した短編アニメ。
3つの短編から成っていて、最初の短編はすごく良かった。でも、2番目の短編は、煮えきらない主人公が別の女の子を知らずに傷つける話(?)。2番めのヒロインは健気で、この流れでエンディングまで行って欲しいと思ったが…。ただ一緒に星空を見てる相手の女の子は誰なのかよく分からなかったな…。ここは「君の名は。」を彷彿とさせる。
最後の1編は…。
ネタばれすると、遠距離恋愛ですれ違ってしまった男女の終わりを描いているんだけど、これがモヤモヤしたまま終わる。 主人公は種子島、女の子は栃木。小学校卒業とともに別れ別れ。実際には二段階で物理的に遠くなる。
自然消滅する関係なんて、経験ある人はたくさんいると思う。でもこれを見て共感できるのかな。ネットを見ると世の中の男子は「主人公はまさにオレだ」で共感する人もいるらしいけど、ぼくは分からなかった。
東京の大学を出て就職して、でも思い続けた女の子とは何も無かった主人公。勝手に打ちひしがれた主人公がどこか満たされない日常を送っている様子と、過去の男(というほどの関係でもないが)を少しだけ気にしているけどさっぱりしてる感じの相手の女の子のコントラストは、作者の意図が見えない。男が勝手にもがくのは自由だけど、待っている側はどうなるのか、と思いながら見ていた。
相手を思い続けていながら、メールを書いても送れないダメっぷりとか、たぶん自分に言い訳作って踏み出せなかったグダグタっぷりとか、せめてもっと生々しいエピソードを匂わせるのが欲しい。でも、これって男子にとってはフツーは黒歴史だよね。黒歴史はぼくにもすごく分かるけど、共感はしないかな。
「君の名は。」につながる習作だったという位置づけで見るのが良いかと。
「君の名は。」でもそうだけど、エンディングの曲がぼくは好きではなかった。新海誠とは音楽の趣味が合わないなー。
新海誠による小説もありますね。