360度評価なんてものがありますが、以下の理由から無意味な活動だと思います:
- 評価が客観性を担保できない(主観でコメントが書かれる)。
評価する人の付き合いの範囲、見ている範囲、感じ方、考え方をベースにしている。それが客観的である根拠はない。主観の多数決は客観とイコールではない。例えば文系の人が原子力に持つイメージをたくさん集めても、客観的な見方にならないのと同じ。非常に危険だ。
- 同様に、評価者の質も担保できず、したがって評価の質も担保できない。
評価の仕方、日頃の観察の仕方などを教育もしないで、上辺のイメージだけを評価・コメントしているに過ぎない。
- 評価者の選択の妥当性も担保できない。したがって評価の内容の信頼性がない。
上司・部下の関係以外に同僚も評価者になる。実際の仕事の進め方をよく知らない人が評価する場合が含まれる。
評価そのものの信頼性が低いから、(気になる点などのコメント欄で)ネガティブなコメントあっても、さほど気にするべきではないでしょう。同様に良い面もあてにならない。良い面は評価する側のレベルが低いことを表現しているに過ぎませんからね。
そもそも日頃の鬱憤晴らしのコメント欄にならない歯止めがないような仕組みは、匿名の悪意を防げません。そんな仕組みでわざわざモチベーションを下げるべきではないと思いますよ。自分のことを棚に上げて相手のことだけ匿名で論評するのはフェアになるはずがない。
人は良い印象よりも悪い印象の方がインパクトが大きく覚えているものです。つまり良い面をマスクしてしまう。悪意を含むものをいちいち気にしていれば仕事なんか出来なませんよ。
360度評価を入れたがる職場は日頃のコミュニケーションが出来ていないと思います。下からの意見も伝えるべきなのは正しいと思いますがね、揚げ足取りにならない仕組みを選ぶべきです。組合との話合いにも同じことが言えると思います。この手のチクリの仕組みはコミュニケーションや雰囲気を阻害するだけです。さっさと止めて欲しいです。
気づきを書けというタスクが憂鬱ですが、そこはユーモアで切り抜けるのが良いと思います。まずは深呼吸から始めましょう。参考: 360度評価の落とし穴 (ハーバードビジネスレビュー)