世界に誇るフュージョン・バンドのカシオペアと言えば、まずこのアルバムです。
最初に聴いた時は、演奏・音質のクオリティの高さでライブアルバムとは思いませんでした。
初期カシオペアのベストアルバム的な位置づけになるでしょうね。 初期の名曲が勢揃い的な。
この後カシオペアは海外公演や録音をしたりと、世界に羽ばたいたわけで、その区切りとも言えます。
Mintというのは、よくビンテージ・ギターの状態がすごく良いものをミント・コンディションっていうセンスなんでしょうね。すごく状態が良いセッションであると。ジャケットのイラストは、ジャム・セッションとフルーツ・ジャムをかけたわけですね。こんなの解説するのは野暮ですね。そうですね。
バンドをやっていた人の視点でいうと、この時期までのギターが割とコピーしやすいです。 テクニック的に楽という訳ではなくて、割と練られたフレーズが多い、という意味です。 というか全然簡単じゃないですよ。異弦同フレットのフレーズが多くて難儀します。 運指を自分なりに工夫しないと、ぼくは弾けません。
目次
ギターのサウンド
ギターはやっぱりYAMAHAのSGです。YouTubeでみても分かりますが、まだトレモロ・アームがついていないモデルの時代です。
エフェクターは歪み系も含めてYAMAHAのコンパクト・エフェクターでしょう。中身は実際にはKORGだったと聞いたことがあります。歪みはオーバードライブ。エフェクターはコンプ→オーバードライブ→フランジャーが基本でしょう。ディレイはあまり聞こえませんから、入っていないか、とても薄くかかっているのかのとちらかでしょう。
このアルバムでは歪みはクランチ的です。コーラスでザラつきが抑えられています。歪みが強くないのにサスティーンがあるのは、きっとコンプレッサーのおかげでしょう。
何かで読んだ記憶だと、この時期はフランジャー直列で2個使っていたりしてます。 フランジャーはコーラスと兄弟みたいなエフェクターなので、コーラスとして使っているのだと思います。2つある理由はよく分かりませんが…。
アンプはYAMAHAのF100をステレオで鳴らしてます。 YAMAHAのFシリーズのアンプはトランジスタ・アンプですが、銘器ですよ。高校生の頃、スタジオではよく置いてありました。 なぜか、程よいコンプ感ある不思議なアンプでした。今思うと球アンプっぽい。
オークションでは出ているので興味がある人は探すと良いと思います。Amazonはページだけありますね。品切れだけど。
収録曲の紹介など
Take Me
ジャジーな曲で人気ありますね。
ギターソロではオクターバーを使っています。コンプもほどよく効いていて、この時期の野呂一生の音は結構好きです。 この曲のカッティングはコピーしたい。このアルバムは野呂一生のカッティングをかなり楽しめます。
Asayake
言わずと知れた代表曲。
カッティングが曲の顔になっているので、コピーするときはちゃんと弾かないと「なんか違う」演奏になりがち。YouTubeでみると、フロント・ピックアップのようですね。
ソロはタッピングで盛り上がるのですが、これが覚えにくい! 規則性があまりないタッピングパターンで、野呂一生ってこういうアバウトな感じの人なんでしょうか。
Midnight Rendezvou
ファーストアルバムに入っていましたが、イントロのパターンがより洗練されてカッコ良くなってます。 コピーしてみると、キメのフレーズはかなり難しい。
メインテーマはオクターバーを使ってますね。多分、リアのハンバッカーなのですが、オクターバーをかますとクリーンでも使いやすい音になります。
ギター・ソロはクロマチックな音使いで、意外とジャズっぽい。 II-V的なフレーズも結構あってぼくは野呂一生のギターではこのソロが一番好きです。 このソロは多分かなり練ったものだと思います。
Time Limit
これもファーストアルバムに入っていた。
キメキメのフレーズと高速ギターソロが特徴です。70年代フュージョンの香りがすごくしますね。
神保が叩くと、もうちょっとモダンな感じになります。
Domino Line
カシオペアで一番好きな曲です。
ギターで弾いているテーマは、ところどころでオクターバーを使ってます。この時期の野呂はオクターバーが好きだったようです。
キーボード、ベース、ドラム、ギターの順でソロがあります。
ベースソロも好きです。ドラムソロは、最後のところは拍が分からなくなります。
ギターソロは伸びやかに歌っていて、これも好きです。弾いていて気持ち良いですよ。
Tears of the Star
うーん。ちょっと印象が薄い曲です。
Swear
ドラマチックな曲ですね。ギターはクリーントーン。
この曲もカッティングが気持ち良いです。
この曲もバンドやる人の間では人気があったみたいで、YouTubeでもコピーしている人が見つかります。
若々しく瑞々しいカシオペア
この時期のカシオペアは坂道を駆け上がっている、勢いがある時期で演奏も若々しくて、瑞々しい。
この後はかなりオシャレ路線になった印象です。80年代後半はボーカルを入れたり、と少し迷走した感もあります。ギターの音も、コーラスがみょんみょんしたり、ディストーションの音が潰れているようになったり、ちょっと好みから外れてしまったかなーと一抹の寂しさもあります。
このMint Jamsはフレッシュで熟す前のカシオペアって感じで、まずはこのアルバムをおすすめします。