坂本龍一のAmoreという曲がある。
もともとは Undo というタイトルの曲だったもの。 Undoはリズミックなアレンジだったが、Amoreのソロピアノでは一転して耽美的な演奏で、同じ曲と気付くのに時間がかかった。
この曲は8小節のコード進行が延々と繰り返される。それがまた美しい。
この曲のコード進行の解説があった。
モーダル・インターチェンジというのは知らなかったが、この考え方が理解しやすい人もいるのだろう。 異世界転生というが、自分なんかは単純に転調したと考えるほうが自然に思える。
曲のキーがAmだとすると、3番目のEm7はドミナントに相当するが、あえてE7にせずEm7になっているせいで平行調のC Majorの雰囲気も醸しだす。 (もしもE7だとAmに着地したくなる感じが強くなるし、実際E7で弾いてみると曲が終わりを告げるような進行になる。曲の展開として難がある。) 実際、CM7となって平行調のトニックにひとまず落ち着く。
その後のCM7 → FM7 → BbM7 は4度で進行してBbに転調する。
その次のGm7(G-Bb-D-F)はBbM7(Bb-D-F-A)と構成が似ている。 BbM7の平行調のトニックと言っても良い。
最後の3小節はBb → G → Eとベース音が短3度で下降する強進行の一種になっている。
最後の2小節の進行、Gm7(G-Bb-D-F)→E7(E-G#-B-D)は転調感が強い。 E7はAmのドミナントなので頭に戻る感じが強く、これがこの曲のコード循環的な展開を強く誘うように思える。
最後でルートをG#にするのは頭のAm7のルートに滑らかにつなげるため。
自分が理解するならこんな感じかな、と思ってメモしてみた。
8小節のなかに転調を強く感じさせるポイントが2箇所あり、たった8小節のなかでドラマチックにめくるめく感覚を呼ぶ。 このドラマチックな展開が、繰り返し聞きたくなる中毒的な魅力を持っている。