和田アキラ死去

こんなに早くこの日が来るなんて…。

ギタリスト和田アキラが亡くなりました。

2018年の12月くらいのライブから中止となり病状が重そうだと想像していましたが、復帰するものとばかり思っていました。

かねてから体調が悪いときがあるのは知っていましたが、ここまで悪かったとは…。

和田アキラについては書きたいことがたくさんあって整理がついていません。 少しだけ偲ぶ内容を書こうと思います。

ぼくと和田アキラとの出会い

ぼくが和田アキラを知ったのは、年上のいとこに教わってからです。

いとこはドラムを叩いていましたが、ギターを弾くなら「Out & About」を聴け!とジャパニーズ・フュージョンを一揃いカセットにダビングしてくれました。 その中にはプリズム、スクエア、パラシュートがあって、もちろん「Out & About」もありました。それ以来なのでざっと35年間聞いている計算です。

最初にノックアウトされたのは実は松岡直也の「Mi Amore (Instrumental)」で「Out & About」ではなかったです。

ロック・テイストが強いなかにもスピーディ・スリリングでメロディアスなフレーズと、キレッキレッなカッティングに魅了されました。 「魅了された」というのがぴったりです。

ロックではないちょっと複雑だったりメロディアスな曲に、ギターはロックっぽくて、勢いがあって、かつ歌心があるフレーズ、そんなところが魅力的でした。 スケールを上下するような機械的なフレーズはなくて、有機的なフレーズがつながって流れていくイメージでした。 速いフレーズも何だか分からないけど、単純にカッコ良かったです。高校生のころは正直聴きとれなかったですけど…。

あとサウンドが良かったですね。 歪みも美しい音が多かったと思いますし、シングル・コイルを三つ同時に鳴らすクリーン・サウンドはワン・アンド・オンリーでした。 ジャパニーズ・フュージョンのくくりではサウンドが一番好きなギタリストでした。

プレイスタイル

和田アキラは時期によってプレイ・スタイルやサウンドが変遷していて、それが楽しかったり刺激になったりしました。

初期のころは、アル・ディ・メオラの影響を感じさせるフル・ピッキング系とかなり長めのラン奏法が思い浮かびます。 和田アキラのラン奏法は、リズムが喰い気味で緊張感があって新鮮でした。 並のギタリストの場合、惰性で続ける感じのラン奏法がありますが、そういうのとは全然違う印象を受けたものです。

80年代の中頃はアラン・ホールズワースの影響を感じさせるレガート・ワイドストレッチなフレーズが増えました。 この頃からアーミングが効果的に使われるようになったと思います。

和田アキラのアーミングはあまりトリッキーな使い方をしなくて一見地味ですが、とても音楽的だと思います。 フレーズの最初に若干ダウンさせて入ったり、フレーズの終わりを少し揺らして緊張感を増したりなど。 曲のエンディングでロングトーンをダウンさせて終わるのはよくありますね。あれはすごく良い。

90年代以降のある時期からはワイドストレッチなフレーズは減ってきましたね。 手癖的なものはあるようですが、時期によってそのフレーズが変化していく印象です。 大雑把に「このくらいの時期の録音」というのが分かる場合もあります。

作曲

本人はあまり得意ではないと言っていたようですが、良い曲を多く作曲しています。

“Love Me”, “Morning Light”は初期の名曲ですね。 “Shadow of The Jungle Gym”, “Wind”, “Touch 419″も美しいです。

ぼくとしては”Flowing In The Wind”や”Napoli”も外せません。 のびやかなメロディーは「和田アキラ節」とも言えるのではいでしょうか。

ハードな曲調でも、名曲はたくさんありますね。 “Prism”, “Beneath The Sea”, “Karma”, “Cuiser’s Street”, “Suspencible The Fourth”, “Ideogram”, などなど。

プリズム初期は作曲が多くて、後半は少なくなってはいますが、やはりアルバムが出るたびに和田アキラの曲を期待したものです。

セッションと人柄

和田アキラはセッションも多いのも魅力的でした。

松岡直也、KEEP、難波弘之などと定期的に活動してましたが、本多俊之のアルバムにも参加してます。 ほかには杏里のキャッツアイや森高千里にも!

いろんな人と一緒に演奏するが多かったのは人柄の面もあったのかと想像します。

人柄は、気さくで優しさあふれる印象を受けます。滑舌は良くないですが、喋りが結構上手いですね。 独特の味があって好きでした。

ライブに行くと分かるのが、少しミスった時の苦笑いでした。 演奏中は基本的にかなり真剣な表情ですが、こういうちょっとした時に愛嬌を感じられる人でしたね。

インタビューが多いDVDとしては和田アキラ LIVE ANALYZEがあります。 プリズムの裏話や苦労した話、機材のはなしなどファンなら持っておいて損はないです。タブ譜もあります!

おわりに

全然アキラ師匠の魅力を表現できてないですね。

曲をまるっとコピーすることはなくても、フレーズやテーマをコピーしたり、ギターのサウンドを参考にしたりと一番影響を受けてきたと思っています。

勝手にぼくのギターの先生と思ってきました。感謝しかありません。

どうか安らかにお休みください。