(更新日: 2025年8月19日 )
スマホのUSB充電器を自作した。USBは6ポートある。
自作とは言っても、5VのACアダプタとUSBのポートを並列に配線したものだ。
ケースはAmazonで購入した竹製品を少し加工して使った。 ケースの自作という選択肢も考えたが、2000円程度で入手できるので、効率を考えて購入した。
ケース以外は1500円以下。ケースは2100円。 合計で3500円くらいで6ポートUSB充電器+スマホ・ホルダーが実現できる。
Amazonでは6ポートのUSB充電器は2000円くらいだろうか。 レビューだと「特定のポートが充電できなくなった」という例があるようで、購入に躊躇していた。 自作であれば自己責任ではあるが、壊れた箇所も直せる場合もあるだろう。

目次
参考にしたページ
以下のページを参考にした:
- 【自作】簡単 USB充電器・電源 (気ままなあのお)
- 知らなきゃ損するiPhone、iPad、Android、タブレットなどの急速充電の仕組み(改訂版:2015/05) (瀧/TAKI’s Blog)
- USB充電とバチバチ (たか帝国へようこそ)
注意
- 以下の内容は電流が流れるものを扱う。配線に不備があると発熱や火花が散ることもある。注意しながら作業をすること。
- 以下の内容は事故や失敗の可能性がある。自己責任で実施すること。
回路
ネットを調べると、USB充電器の回路図は以下のようだ。D+とD-端子の間の抵抗値は180-200Ωの例が多い。
私の場合、手持ちに220Ωしかなかったので、220Ωを使っている。 これでAndroidスマホもiphoneも充電出来ている。

部品
用いた部品は、5VのACアダプタ、ユニバーサル基板、USB端子、DCジャック、基板を固定するためのスペーサー、抵抗器(220Ω)。
ACアダプタは5V 4Aのものを使った。秋月電子通商から購入した。 スイッチングACアダプター5V4A STD-05040U 。 5V4A=合計20Wまで。急速充電はされない。
なお、アンペアが大きいACアダプタを使えば、より多くのデバイスを充電できる。

ユニバーサル基板は桜パーツで買物をした時におまけで付いてきたものをそのまま使った。

USBポートは秋月電子通商から購入した。 基板取付用USBコネクタ(Aタイプ、メス×2段) 。

USBコネクタの端子は以下のように接続する。

DCジャックも秋月電子通商から購入した。 2.1mm標準DCジャック(4A) ユニバーサル基板取付用を使った。
ACアダプタのプラグ寸法に合わせる必要がる。プラグ寸法が合わないと、通電しなかったり、プラグが刺さらなかったりするので注意しよう。

スペーサーは手持ちの高さ10 mmのものを使った。ネジは3 mmφ。

配線
回路図は簡単なので、配線そのものも簡単だ。
ただ、USBコネクタの取り付けが悩む。
今回はUSBコネクタのツメが入る穴をユニバーサル基板に開けた。 最初はキリのような道具を使ってみたが、ドリルの方が楽で綺麗に加工できる。

もともとのUSBコネクタのツメ(というか足?)は「く」の字に曲がっている。このままだと基板の穴に差し込み難いので、ペンチなどで伸ばしてやる。

USBコネクタのツメを基板の穴に通したら、外側に向けて折り曲げる。 専用の道具があれば良いが、大きめのマイナスドライバーか先の細いペンチなどで注意深く曲げる。 不安定な作業なので、怪我をしないように注意しよう。
ツメを曲げた後はハンダ付け。これで比較的固めに固定される。 だが、強度はツメの折り曲げとハンダ付けだけで確保してる状態だから、過信は禁物だ。

配線はUSBコネクタを6ポートパラレルに接続する。
配線を表側から見たのが下の写真だ。左下の穴はUSBコネクタの穴あけに失敗したものだ。

銅箔側から見たのが下の写真。配線材はいらなくなった抵抗器などの足を流用している。

220Ωの抵抗器の周辺の配線。絶縁のために熱収縮チューブを使っている。
USBコネクタの端子の部分は、間隔が狭いので、ブリッジしないように注意が必要。 ハンダ付けの後に、テスターで短絡が無いことを確認しておく。

ケース加工
ケースはスマホ・ホルダーを使った。
スマホ・ホルダーの修理
スマホ・ホルダーは下のようなものをAmazonから買った。
「壊れていた」というレビューもいくつかあったので覚悟していたが、やはり壊れていた。
部材は竹の集成材のようで、接着面で割れてしまったように見えた。 返品しても再度壊れたものが送られてくる可能性もゼロではないだろう。
仕切り板が割れているだけなので、自分で修理できそうだ。
修理した後は下の写真だ。

商品が届いた時は下の写真のように、仕切り板が割れている状態だった。

木工用ボンドを使う。下の写真のように塗った。実際には要らないボール紙などを使って接着面の全面に広げた。

木工用ボンドは圧力をかけるのが大事。小さいハタガネを使った。
この状態で2日間放置した。はみ出た木工用ボンドは拭き取っておく。
木工用ボンドが乾くと、壊れた箇所は分からないくらいになる。使っていても、とりあえず問題はない。

実際のケース加工
ケースの加工は現物を見ながら寸法を決めた。
私はたいてい図面をInkscapeで描く。

Inkscapeで書いたものを印刷してケースに貼り付ける。
この紙の上から、穴を開ける箇所にキリなどでマーカーをつける。

ドリルで穴を開けた後。これは3.2 mmのドリル刃を使った。

上の写真のままだと、ネジ頭が出っ張るので、沈み込みのための穴を開ける。
6 mmくらいだと思うが、3 mmの穴の表面だけ広げます。注意しないと6 mmの大穴が開いてしまう。

スペーサーを取り付けた様子。

実際に基板を取り付けた様子。

使用感
Kindle paperwhite, Androidスマホ、会社のiphone, ipod touch, ipod nano, ガラケー、fitbit charge2などすべてこれで充電している。
PCのUSBポートを充電のために塞ぐことがなくなって快適だ。
USBケーブルは短めのほうがすっきりする。
初めまして。電子工作を学び始めたばかりで、私もUSBの充電器を作ろうとしています。こんなに簡単に作れるものなのですね。参考にします。
お役に立ったなら嬉しいです。
アマチュア無線をやっていた頃に使った直流安定化電源を何かに利用できないかと考えUSB充電器を作る事を思いつきDC/DCコンバータで13.8vを5V、出力3Aに変換してUSBメスコネクタを3つユニバーサル基板に取り付けて作りました。使ってみた所AsusのタブレットとSONYのXZ-Sは充電できるもののiPadだけ充電できずにいます。
こちらのサイトで200Ωの抵抗でD+とD-を短絡させる方法を知り目の前が明るくなりました。
写真から1/4w抵抗で良さそうなので明日早速抵抗器を購入してこようと思います。ありがとうございます。
コメントありがとうございます。お役に立てたようでなによりです。
ぼくのところではipod, iphoneも充電できていますが、D+とD-を開放のままでテストはしたことがありませんので情報としてありがたいです。
無事、接続を認識しました。
安かったので200Ωのチップ抵抗を使いました。
半田付けが少し面倒でしたが、うまくいったようです。
ここ一ヶ月の悩みが氷解しました。
本当にありがとうございます。
わざわざのご報告ありがとうございます。上手くいってよかったですね!
唐突な質問を失礼します。
私は学校の課題研究の一環でUSBポートを自作しています。
その際にGrodius様の記事を参考にさせていただいたのですが、D- D+の端子に抵抗を通す理由がどうしてもわかりませんでした。
何故通す必要があるのでしょうか、そして何故抵抗値が200Ω程度なのか、教えていただけませんでしょうか。
コメントありがとうございます。
ぼくのページからリンクを貼ってある瀧さんのページは読まれましたか?
かなり丁寧に説明されています。ぼくが説明するより、そちらを読まれる方がずっと正しく伝わるかと思いますよ。
上記のページには瀧さん自身がお調べになったこと以外にも、有益なリンクもあります。そちらを辿って自分なりに考えると勉強になると思います。
瀧さんのページから辿れる英語のwebページも自分で調べてみたらいかがでしょうか。
機器の規格について調べるとレポートもすごく充実すること請け合いです。Good Luck!
こんばんは。今、自作でAC電源から、DC電源を取り、それをUSBポートで、使える電源を作ろうとしています。
USBの使用で、真ん中のD+と、D-の処理が分からないのですが、単純に、200Ω程度の抵抗で、ショートすれば、良いのでしょうか??
本記事では、2段USBを3個。
6ポートで、5V4A電源を作っているようですが、この場合、最大ポート定格電流は、5V0.6Aで、良いのでしょうかぁ??
コメントありがとうございます。
D+とD-との間に180~200Ωの抵抗を接続すれば良いようです。
ぼくの場合は全部を一度に使うことを想定していません。例えば、1ポートだけ使うなら最大で4A取れます。
「全ポートで一度に使う電流がACアダプタの定格を越えないのが使用条件」と考えるのが正しいと思います。
答えになっていますでしょうか。