硬質なトーンでゴリゴリ弾くイメージのタル・ファーロウ。 このアルバムではピアノ・ベースのトリオ構成で骨っぽいプレイを聞かせてくれます。
この頃のタル・ファーロウはフレーズの息が長い。つまり一つのフレーズが長く続きます。 繰り返しを連発することはなくて、延々とバップフレーズが湧き出る感じ。 どういう感覚なのか知りたいところです。
リズムが少しよれたりするのはご愛嬌。そんなの気にせず弾き倒すのがタル・ファーロウ流なんでしょう。 アルバム・タイトルにあるようにぐいぐいスインギーにフレーズを繰り出してきます。 たとえば”I Love You”なんかは結構アップテンポですが、流麗というよりは強引にゴリゴリ弾く感じがします。 少し粗い飾らないところが魅力なんでしょうね。
面白いのはベースソロのときは、タル・ファーロウがブラッシング(弦を左手でミュートしてピックをストロークして鳴らす)してリズムをとっている 点です。ドラムがいないので工夫をしているのかも。
アルバム全体では、リラックスした雰囲気のなかピアノのエディ・コスタも良い演奏を聞かせてくれます。 おしゃれな雰囲気を期待せず、 エディ・コスタのピアノと、タル・ファーロウのどちらかと言えば素朴な味わいのギターを楽しむ聴き方が良さそうです。 自分が若いころは聴いても良さは分からなかっただろうなと思います。