これは大好きなマイク・スターンのアルバムです。 マイク・スターンがマイルスのバンドから抜けてすぐに出した作品ですね。
マイルスの”スター・ピープル”では少しワイルドなプレイでしたが、ここでは割と洗練されたプレイが中心です。 基本的なスタイルはこの時に確立していると言えるでしょう。
サウンドもピッチシフターによるコーラス的なトーンを、一枚を通じて聴くことができます。 ただ、このアルバムはさらにピッチシフターを使ってオクターブ上を混ぜているのが分かります。 この後のアルバムではあまり気付かないので、やっていないのかも。
上では”洗練された”と書きましたが、それでもこのアルバムのソロは少し荒っぽいところがあって、そこがまた良い。 そういう点でもこのアルバムが好きです。
この後のアルバムやライブでは、もっと滑らかに弾いているんですが、滑らかすぎて物足りない。 このアルバムのプレイくらいな荒さがあると迫力・緊張感があると思うんです。 指の動きよりも、気持ちの方が勝っているプレイって魅力的になるというか。
ボブ・バーグはハードな曲、サンボーンがバラード系で参加していて、鉄板な起用ですね。 面白いのが、ベーシストはジェフ・アンドリューズ、マーク・イーガン、ジャコ・パストリアスの3人が参加していることです。 それぞれ分かりやすいです。マーク・イーガンはフレットレスっぽく聴こえますが、コーラスがぼってり。
目玉は”Upside Downside”, “Little Shoes”, “Mood Swing”, “Scuffle”あたりでしょうか。 “Upside Downside”, “Mood Swing”なんかはメカニカルなテーマで、その後の路線の先駆けっぽい。
“Mood Swing”だけは少し雰囲気が違いますが、ドラムがスティーブ・ジョーダンなんですね。 ベースがジャコで、イントロから存在感があります。 晩年の録音ということで、全盛期と比べてどうなのか分かりませんが、エンディングは彼らしいプレイになっています。