よくメールで自分のことを「小職」とか「小生」と書く人がいる。
まあ「小生」はかなり少数だと思うが、「小職」は一定数いると思う。 「小職」は最初の会社で遭遇したが、最初は何のことか分からなかった。 こういうのはどこで憶えてくるのか不思議ではある。
「小職」と書かれると、こちらとしては少し構えて対応してしまう。 「小職」を使ってくる時点で軽くジャブを打って来ている感じ。 なんか気取った感じがするの気のせいかと思っていたが、「小職」はもともと官職に就いていた人が謙る言葉らしい。 基本的に目下に使う言葉らしいので、言外の意味はこちらが目下になる。 社外メールで常用するのは、ちょっとヤバい。わざわざ使う意図は小一時間問い詰めたい衝動に駆られる。 「小」とうい字を使ってへりくだったはずの表現なのに、謙りが薄く感じられないのは、そういう由来があるせいかも知れない。
「小生」はかつての上司が使っていたが、どこか戯れというか、少しくだけた雰囲気はある。 「小生」はビジネスで使うのは御法度という考え方もあるという。 ビジネス・メールでは変な感じがするのは感覚としては間違ってなさそうだ。 ビジネスメールで書かれると、はて冗談なのか本気なのかと疑いたくなる。 これもへりくだった感じは希薄に思う。
少し変わった一人称として「下名」というものがある。読み方は「かめい」。「しもな」ではない。 これが分かるのは、特定の会社に関係がある、または、あった人だと思う。
一般的には使われないので、ほとんど通じないと思う。 わざわざ使うと、へりくだり方が屈折して伝わる。たぶん。
「下名」の会社内ではよく「貴方・弊方」、「貴部・弊部」という語がメールで飛び交っていた。 貴方・貴部はとても堅い印象なので、社内なのに他人行儀なもの言いになる。
そのせいか、たいていは要求を出す相手に貴方・貴部などと使う。 そういう風景をたくさん見てきたので、こういう言い回しの場合、相手を持ち上げているというよりもむしろ挑んでいるスタンスに感じられる。
「小職」や「小生」はどこか他人行儀で構えた感じの印象になる。 「難しい言い回しを使ってみたかった」的な独り善がりな部分も感じるし、どこか壁を作ってコミュニケーションをしてくるように思えてしまう。 あえて狙うなら別だけどね。