和田アキラのギターはこのアルバムが出会いでした。 ぼくが買ったのはレコードの時代で、レコードにはThe September Windowは入ってなかったような気がしています。
ベスト盤とありますが、7曲中6曲は他では聴けないテイクになっていて、松岡直也のコレクションでも外せない一枚となっています。
ギターは和田アキラが4曲、土方隆行が1曲(“Long for the East”)、是方博邦が2曲(“A Farewell to the Seashore”, “Sunspot Dance”)です。 ギタリストを比較しても意味がないのですが、それぞれ個性がよく分かります。
是方は一聴してブルースルーツが分かります。若い頃ということもあって、まだ粗っぽい感じはします。 チョーキングやビブラートはブルース的な色っぽさがあってハマる場合はハマりますね。
ただ、すこしボキャブラリーが少ない印象を受けてしまうのと、テーマのフレーズの終わりが単調なので、ブツ切れに聞こえる時があります。 インタビューなんかを読むと、是方は自身のスタイルについてはだいぶ悩んでいたようですが、この路線をもっと開発する道もあったように思います。
土方隆行は一曲だけですが、バッキング・ソロともに存在感があります。 バッキングはハーフトーンを活かしたカッティング・シングルノートの織り交ぜ、イントロや要所での歪みなど、多彩です。 バッキングだけ追っていっても楽しいです。
ソロは歌いまくりで、ただ者ではないのが分かります。サウンドも少し奥まっていながら、よく聞こえる絶妙な引っ込み具合。 オーソドックスなフレーズなのに、チョーキングのほんのちょっとのタメのタイミングがカッコいい。すごく勉強になるソロですね。
和田アキラのMi Amoreでのバッキング、ソロが大好きです。 テーマを弾いている部分も色気のある歌い方で、参考になると思います。 ソロは奥まってしまってよく聞こえないのが残念ですが、スリリングな展開で、絶好調の時期の和田アキラはこんな感じですよね。
この時期は割とタッピングをやっていて、タッピングフレーズは”ワクワクソンゴ”でも聴くことができます。 アキラ師匠の場合は右手のポジションが変わっていく、動きがあるタッピングが多い気がします。
“September Wind”ではかすかにピッチシフターかけて弾きまくり。 “One Last Farewell”はカッティングやテーマでも存在感があります。 アルバム全体でもギターソロがない曲でもカッティングやシングルノートのバッキングを耳で追っていっても楽しいです。