ジョンスコのもろフュージョン路線のアルバムは、本作とブルーマター、ラウド・ジャズ、エレクトリック・アウトレットの4作だけです。 その中でわりとコンテンポラリー系な雰囲気が強いのがこのスティル・ウォームです。LP盤だと「鯔背」(いなせ)という邦題がついてましたが、読めなかった…。 “ブルーマター”はブルージーでアクが強めですが、こちらの方は王道のフュージョン。
ジャケットでアイバニーズのARが写っていますが、これは弾いてなくて、いつもどおりAS(セミアコ)を使っているらしいです。 ジャケットではダークな色にギターの白が映える構図が、ASではマッチしなかったのかも…。ARのほうが小ぶりでバランスも良さそうだし。
最初に聴いた時、1曲目の”Techno”は衝撃的でした。日本のフュージョンに慣れた耳には、海の向こうの全然違うサウンドに聴こえたものです。 ぼくがジャズに興味を持ったのも、この手のサウンドに衝撃を受けたのが大きいかなと思います。
ギターのフレーズは、ジョンスコ節が全開。この時期はフレーズが分かりやすいのでコピーしやすそう。 このちょっと前の”シノーラ”とか”Out Like a Light”と比べるとフォーマットが違うので比較が難しいですが、今聴き比べるとずいぶんと垢抜けてきた印象を受けます。 例えば”Rule of Thumb”のソロはメロディアスながら、要所要所でテンション高めな音を使っていて、メリハリのある展開がうまい。
ギターのサウンドは歪み+コーラスがすでに確立している時期ですね。歪みも軽め(たぶんProco RAT)、コーラスも浅めです。
ドラムがオマー・ハキムのせいか、あまりファンクな感じはしません。ベースはダリル・ジョーンズ。 鉄板なリズム隊で安定感・安心感があります。全体的に落ち着いた感じはします。