プレゼン資料で使うフォントについて考察してみました。
ここではデザイン的な観点で、かつ独断と偏見に基づいて、マイクロソフトのOSに標準で入っているフォントを比較してみます。
参考にGoogleのフォント Noto CJK Sans や IPA、VLゴシックなどとも比較してみました。
目次
游ゴシック
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/5621deba8a18b839c7a4321764bb05e8.png)
(クリックすると大きい画像が表示されます。以下同じ。)
游ゴシックは少し細いのが印象的です。
デザイン的にはかなりいいフォントだと思います。 (と思ったらヒラギノを同じところがデザインしているからですね。どうりで。) ちょっと冷たい感じもしますが、ビジネス用途にはちょうど良い塩梅とも言えます。
細めの英文フォントを併用するなら、このフォントくらいしか合うものはないでしょう。 細いフォントのほうがおしゃれではあります。
太字にすると、ちゃんとweightが大きいフォントに置き換わります。見出しなどは太字にして、地の文では游ゴシックのままというのもアリ。
個人的にはヒラギノに近い整った感じがするので、ビジネス系には游ゴシック系を使いたいところです。
游ゴシック Medium
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/2a831ec055ed4fee4e1d0936ea40500d.png)
游ゴシックが細すぎるという場合は、こちらの選択が良さそう。
デザインも游ゴシックのままなので、ビジネス用途では問題ないと思います。 というか、デフォルトがこの系統のフォントなら変える必要ないと思う…。
太字にすると、すこし美しさが損なわれる感じがする。重ね打ちはしていないみたい。
MS Pゴシック
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/04f86ea9c104d100d663feb8a9a65769.png)
ひらがなのデザインが少しイケてない部分がありますね。
あと、横の間隔が狭い。これが窮屈に感じる原因です。 地の文では圧迫感があって読み辛い気がします。
久し振りに見ると「太い!」と思います。 多分、このフォントをデザインした当時はプレゼン資料で使うことを想定していなかったのだと思います。 MS Wordなどで、各章・各節などの見出しには向いているので、そういう用途で考えられたフォントなのかな、と。
メイリオ
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/63ead695680eb0c485fa3f134844052f.png)
全体的に一文字のマスいっぱいなデザインで、文字がマスいっぱいに伸ばした感じがします。
なんとなく、無理に引き伸ばした印象です。なので不自然さがあります。 これも「明瞭」な読みやすさを優先したデザインということなのでしょう。
ひらがなは丸みがあるので、柔らかい印象はあります。 ただ、どうしてもカジュアルな印象になります。個人的には「くだけ過ぎ」です。
デザインそのものも、お世辞にも美しくない。例えば「第一」の一の字が上に上ずって見えます。
ぼく自身は、メイリオをビジネス文書で使うのは抵抗がありますね。
Meiryo UI
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/0ae7c62e50dc705df75843b104ce66cd.png)
「UI」というだけあって、横に詰めたデザインです。かなり窮屈。
こういう字数が多い場合は、とても読みづらい。 読むリズムが取りづらい、とでも言う感じ。
デザインでいうと、カタカナが半角っぽいのはUI向けだからでしょうね。
これをプレゼン資料で使うのが好きな人が多いのが理解できないんだよな…。
HGS創英角ゴシックUB
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/60275ab58ebd7cd921d15fb49998721b.png)
これは太い!このフォントはOfficeに付いてくるのですかね?
以前の会社では、このフォントで資料を作っている時期がありました(テンプレートで指定されていたため)。 今となっては古くさい感じもします。デザイン的には悪くない気もします。
このフォントは半角の英数字のデザインがダメダメでした。全角を使えということなのかも知れませんが…。 日本語が太すぎてバランスが釣り合う手頃な英数フォントがなくて、Arialを太字にしていたものです。
Noto Sans CJK JP Regular
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/ee3be1d100caf1aa771552d59c2bd436.png)
別名(なのか?)”源ノ角ゴシック”。AdobeとGoogleによるオープンソーソのフォント。
游ゴシックほど冷たい印象はなく、ほどほどに柔らかい。 あまり、くだけた感じがしないので、ビジネス用途にも使えそうです。
weightも豊富なので、太さを変えても統一感は失われないでしょう。
原ノ味角ゴシック
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/5f63f49b6b7d98988e1002a4a4f2d6d5.png)
源ノ角ゴシックがベースとなっているのですが、微妙にひらがなが調整されています。
個人的にはNoto Sans CJK JPよりはこちらの方が好きです。 イマドキの日本語のTeX/LaTeX系はこの原ノ味明朝と原ノ味ゴシックがpdfに埋めこまれます。
IPA Pゴシック
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/2839ab849d9b2c81bd86f4778e9767e3.png)
これはカジュアル感が薄く、ビジネス向けに使えそうなデザインです。
MS Pゴシックほど太すぎず、ひらがな・カタカナもuglyではないですね。 このクオリティがフリーで使えるのなら、文句はない。
VL Pゴシック
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/7d2a8a5d380f463388d1c8d4512bef57.png)
“M+フォント”と”さざなみフォント”の合成フォント。
全体的に丸みがありますが、これはこれで調和感があって良いです。
丸みがあるので、カジュアル感があってビジネス文書では使いづらい。 ただ、くだけた感じがあまり強くないのは、すこし固めのデザインだからでしょう。
MigMix 1P
![](https://gordiustears.net/wp-content/uploads/2020/12/40dcbe9d88c96297b642179a653642d8.png)
“M+フォント”と”IPA ゴシック”の合成フォント。
VL ゴシックと比べて、ひらがなが若干大きめ。 印象はVLゴシックとあまり変わりませんね。
おわりに
個人的にはヒラギノ推しなのですが、Windowsでは標準で入っていないのが悲しい。
ヒラギノに次ぐものとしては游ゴシックは結構良いフォントだと思っています。少し「細い」気はしますが、慣れの問題もあるのでは。 毛嫌いする人が多いのが驚きですが。
もっと驚きなのがメイリオやMeiryo UI大好きな人が少なくないことのほうです。「蓼喰う虫も」なんとやらなので、あまり多くは申すまい。
コーポレート・フォントがあるなら、もちろんそれに従うべきです。実際、自分でフォントの選択で悩むことが無いのでとても楽です。
いっぽうでコーポレート・フォントやブランディングの考えに馴染みがない人はけっこう多いみたいで、今の会社でも話が通じません。 コーポレート・フォントの考えを知っていると、たとえば同じ会社で違う人がそれぞれ異なるフォントの資料を出してくると「散らかってるなー」と思ってしまいます。
コーポレート・フォントや統一的なフォントの取り決めがない場合は、慎重に選ぶのが良いです。
えてして独り善がりなフォントの選択をして、あげく他人に押し付けたりしがちです。
自分のセンスに自信があるのは良いかもしれませんが、他人の感じ方はそれぞれですから一定の配慮は欠かせません。 特にフォントは好みが分かれる部分なので、押し付けるほど反発されるものです。