以前Zen Drive (クローン)の製作: Driving ZestでZen Driveのクローンを作りましたが、作り直してみました。
目次
回路図
ネットにある回路図をあらためて自分で描いてみました。描いてみると、どういう回路なのか理解しようという気になります。
オペアンプの負帰還部分にクリッパー回路が入っています。クリッパー回路は非対称なダイオードクリッパーですね。 Q1とQ2はMOS-FETのゲートとドレインを短絡させてダイオードを形成しています(MOSダイオード(Wikipedia))。なので、片側ダイオード2段、3段の非対称型のクリッパーということです。
ネットの回路図によってはICの8ピンにつながっているダイオードDはなかったりします。ぼくも無くても良いと思います。 Gain の2につながっているR8 1kΩも無くても良さそうです。
プリント基板の作製
今回プリント基板は手書きではなく、転写を検討しました。転写というのは、紙に印刷したカーボンのパターンを生基板に転写するということです。
レーザープリンターやコピー機での印刷は、紙の表面にカーボン・トナーを定着させています。 そのカーボン・トナーを銅箔の上に転写するというわけです。
転写方法は(1) アイロンを使う方法と (2) アセトンを使う方法 があるようです。
それぞれ参考になりそうなページのリンクを挙げておきます。今回はアイロンを使ってみました。結果からすると上手くいきました。少し難しいところはありますが。
パターンの準備
我が家にはレーザープリンターはなく、インクジェット・プリンターしかありません。 なのでまずはインクジェット・プリンターで印刷して、それをコピー機で印刷することにします。
コピー機でコピーする原紙を作っておきます。
原寸大のパターンは、今回はHomemade FXのパターンを使っています。 Homemade FXさんはサイトを閉じてしまっていますので、Archiveからもらってきます。
pcbパターンの印刷はPCBEを使います。
だた、このパターンは細かいので、パターン転写には向かないかもです。 もっと広いパターンの例もあるようなので、そちらも検討すると良いかもしれません。
A4サイズにパターンをたくさんならべておきます。Inkscapeを使いました。 pdfファイルをここに置いておきます。ご自分の責任でお使い下さい。pcb-multi-A4
パターンのコピー印刷
インクジェット・プリンターで印刷したものをコンビニのコピー機でコピーします。
コピー機はセブンイレブンのものを使いました。ネットで調べた限り、実績はばっちりあるようです。
基板のカット
基板のカットはオルファのPカッターがおすすめです。
切りたいラインに沿って何度か刃先を往復させると、溝状に切り込みが入ります。表と裏と両方から切り込みを入れて、折れば良いです。
基板の洗浄
アイロンをかける前に基板を洗浄します。スチールウールでごしごし洗って光沢を出しておきます。 これをしないとエッチングが進まなくなる場合があります。
アイロン
アイロンは家庭で使っているものをそのまま用いました。
基板の下は古雑誌を置いて、力を加えて数分間アイロンをかけました。この辺りはトライアンドエラーが必要かも知れません。 今回は一発でうまくいきました。
紙を剥がす
パターンのカーボンだけを残して紙を剥がします。これは水に浸けて気長にやるしかありません。 指先でこすると取れますが、かなり長い時間水に浸ける必要があります。
細かいパターンの間の不要な紙は、爪楊枝やカッターの先で丁寧に取り除きます。 パターンの間に残ると、エッチングされずショート状態になります。 ですので、ここは根気よくやりましょう。
実際、パターンの間は意外と残っていたので、ここはがんばるところです。
カーボン部分が薄くなっている箇所で心配ならば、油性ペンでなぞれば良いです。
エッチング
エッチングは普通にサンハヤトのエッチング液(第二塩化鉄)を使っています。使った残りは容器に戻して使いまわしてます。
エッチング液はタッパーに入れて、エッチング作業は常温(室温)で行っています。湯せんをしても良いですが、そこまでしなくてもエッチングは進みます。
タッパーに残った滴はティッシュで拭き取ってそのまま可燃ごみで捨てます。
エッチング後の洗浄とフラックス塗布
エッチングが終わったら洗浄します。これもスチールウールでピカピカにしておきます。
この段階では、テスターでショート箇所をチェックします。ここで失敗するとあとで厄介なので、ここも根気よくショート箇所をなくす作業をします。
ショートしている箇所は銅箔をカッターで削ぎ落とします。結構大変です。
パターン・チェックが終わったら、再度洗浄してフラックスを塗布しておきます。