ビル・フリゼルのジャズギターが聴ける: Paul Motian on Broadway vol. 1

ジャズギタリスト・ビル・フリゼルを聞くなら、まずはこれ。

ビル・フリゼルのギターがとにかく美しい。耽美的。 スタンダート曲を弾くフリゼルも独自な世界で、美しい。

メンツはビル・フリゼル、チャーリー・ヘイデン、ジョーロバーノ、ポール・モチアン。 曲は有名なミュージカル曲が中心です。

コード楽器がギターだけなので、スカスカなのに、かえって豊かに聞こえる。こういう演奏をしてみたい(出来ないけど)。 サックスがいるのでちょっと違う気はしますが、雰囲気はポールモチアンが叩いていたビル・エバンスのトリオに近い。

ビル・フリゼルのプレイは創造的

ビル・フリゼルのギターは多分ギブソンSGのP-90ハンバッカー・ピックアップがリアについたもの。 音は、いわゆるジャズギターの音ではない(コーラス強め)。

ジャズギターではあまり使わないボリュームペダルを駆使するなど、「ジャズギター」の常識にとらわれない部分は、アーティストの姿勢として参考にしたいところです。

テクニックがあるのと、音楽的であることはイコールではない良い見本みたいなギターと言えばよいのでしょうか。

ボリューム・ペダルとエフェクターを駆使して、ふわふわした独特なコード感。 全体を包むようなバッキングなんて、一聴してフリゼルの世界になる。ここが素晴らしい。音数が少ないハーモニーはジムホール的ですね。

ソロは全然テクニカル臭がしなくて、音数が少なくてもスリリングに聞こえる (So In Love)。間合いがうまくて、ときに浮遊感、ときにリズミック。 コピーしても、きっとカッコ良くならないんだろうなー。

カントリー的なフレーズもあって、フレーズでもジャズギターの領域にとらわれない。 自分のルーツに正直っていうのは大事。ルーツを恥じると、立派な接ぎ木(ジャズ)は育たない。

Vol2,3もおすすめです。(Vol.4以降はビル・フリゼルは参加していません。モチアン以外のメンツも違う。)

ビル・フリゼルってゲテモノのイメージ持たれている?

ビル・フリゼルと聞くと真っ先にイメージするのが、ジョンゾーンと、ベースデザイヤー(マークジョンソン)と言う人はいますか? それはぼくです。

フリゼルのソロアルバム(Is That Youとか)はかなりトンガリ系で、戸惑ったものです。BASS DESIRESでは凄まじい存在感で、ジョンスコとギターシンセでソロ合戦をやったりと、ちょっとゲテモノ臭が…。

カントリー愛溢れるNashvilleみたいなアルバムを出したり、ちょっと掴み所が分かりづらい。

でも、このアルバムのようにジム・ホールに通じるハーモニー感覚の持ち主でもあります。実際ジムホールに師事していたらしいです。

2018-10-24 ビル・フリゼルのギターSGのピックアップはP-90ではなくハンバッカーだったので、修正。