パット・メセニーがディストーションを使っている曲を調べてみました。
割とディストーション・サウンドを気に入っているようですね。 とは言ってもそこは天下のパットメセニーなので、フツーのギタリストの歪みとはかなり違います。
Patの場合、使い始めたきっかけは多分、リード系シンセ的な使い方と思われます。 リード系シンセの音色ではノコギリ波や矩形波が ベース波形になっていますので、そのセンスかと。
基本的にギターの音を歪ませると倍音成分は増え、サスティンも増えます。 これがちょうどノコギリ波や矩形波のリード系シンセ的に聞こえなくもない。 実際、Secret Storyまでメセニーの歪みはリードシンセでのフレーズです。アタック感は抑えられてます。スローギアなどを軽く併用すると近いかも。
今回こうやって並べてみると、実験的にディストーション・サウンドを使っていったのかなーと思えます。安直に歪ませている感じはしないですね。
目次
The Road To You
Patのディストーション・サウンドの最初はこの辺りでしょうね。スタジオ盤ではなく、ライブ盤のみの収録曲です。
- Half Life of Absolution
Secret Story
Patのソロ・アルバム “Secret Story” ではこの1曲のみです。
- Cathedral in a Suitcase
I Can See Your House From Here
ジョンスコとの共演作ではかなり多くディストーションを使っています。この場合は、リード・シンセというよりは割とフツーなオーバードライヴ的な使い方に聞こえます。
ジョンスコはいつも通りにアイバニーズのセミアコにRatでしょうね。ジョンスコのサウンドに対抗するには、やはりPatもディストーションを使う必要を感じたということでしょうか。
ただ、Patもディストーションを使うと、両者のサウンドが似ていてちょっと紛らわしいというか、Patの個性が薄まる感じはします。まあ、アクの強いジョンスコと共演すると仕方ないという見方もできます。
- I Can See Your House From Here
- The Red One
- Everybody’s Party
- No Way Jose
- One Way to Be
Imaginary Day
Imaginary Dayでは以下の2曲です。The Roots of Coincidence はリードシンセ的ですが、かなり攻撃的に聞こえます。
- Imaginary Day
- The Roots of Coincidence
The Way Up
The Way Upでは多分この1曲のみです。アームまで使っています。アームを使っているところから想像すると、ギターはRolandのギターシンセですね。
- The Way Up Part 1
終わりに: 歪みサウンドとジャズギター
Patがアームも使うというのは少し意外です。Patらしいアーミングには程遠いかな、という意味で少し残念な感じもします。日和っているような感じもしました。
歪みといえば、Patはチャーリー・クリスチャンのピックアップを気にっているような記事をどこかで読みました(不正確かも)。 チャーリー・クリスチャンのサウンドはご機嫌に歪んでいます(ロック的はないですよ)。ですが、Patはあの手の歪みにインスパイアされたわけではないでしょうね。
いわゆるジャズギタリストは、チャーリー・クリスチャン的なとてもナチュラルなオーバードライヴを出そうとはしないですね。不思議です。
実際、チャーリー・クリスチャンのサウンドは、ど迫力です。あれならホーンと渡り合える。そういう意味ではジョンスコのサウンドの志向はチャーリー・クリスチャンに近いと思います。