Stella By Starlight のオリジナルのコード進行

Victor Youngによる超有名なスタンダード”Stella By Starlight”。 このオリジナルのコード進行を調べてみた。

ちょっと探して見付かるのが以下の二つのページ:

この二つのページでTranscribeされたオリジナルのコード進行はだいたい同じ。

以下に引用する。各段の上段がオリジナル、下段がジャズの演奏でよく使われるコード進行(マイルス・デイビスの”My Funny Valentine”収録の演奏とされる。例えばStella by Starlight – PDF free downloadからダウンロードできる):

オリジナルと一般的なジャズ演奏でのコードで差異があるのは、1~2小節、10小節、12小節、14小節、16小節、21~22小節、25~26小節あたり。 そのほかは、コードは同じでベース音が異なる程度(細かいテンション音の違いは目をつぶる)。

オリジナルとジャズのコード進行の違いを考察してみる(あまり大したことはない)。

1~2小節目, 14小節目, 25~26小節

オリジナルのBbdimをEm7(b5)-A7(b9)に変更するのは、ビバップではよくあると書いてある。

Bbdim は構成音はEdimと同じで、Edim(E, G, Bb, Db)の13th(Db)を半音上げると7th(D)になりEm7(b5)。 いわゆるハーフディミニッシュとディミニッシュの近い関係で置き換えると理解した。

あとBbdimは実はA7(b9)のルートを省略したものと見なすことができるから、A7への置き換えは割合と素直に理解できる。

10小節目

Gm/E = E G Bb D

Em7(b9) = E G Bb D

と構成音がまんま同じ。11小節目のDm7に解決しやすいようにA7(b9)を挿入したと理解できる。

ちなみにオリジナルは9小節目から18小節目までルート音がF-E-D-Db-C-Bb-A-Gと下降するラインになっている。

16小節目

Am7(b5)≒ Adim = Ebdim ≒ D7(b9)と理解できるし、単純に次の小節のG+7に解決しやすいD7を挿入したとも理解できる。

21~22小節目

上記の二つのページでは、オリジナルがEbm7(b5)かEbm(M7)か解釈が分かれている。

Ebm7(b5)であれば≒Ebdim = Adim ≒ Ab7と理解できる。

おわりに

この曲はメロディーの動きがとても美しい。

しかしリズムが単純なメロディーに聴こえるため、ジャズ・ミュージシャンはコード進行の面で工夫をしたのかも知れない。 そう思えるくらいジャズ的な演奏でのコード進行はめまぐるしい。