ファインマン流 物理がわかるコツ: 3点推量法 (物理学者がやるべきこと)

(※2008-05-03の記事ですが、2017-05-21に大幅に手直しをしています。)

ファインマンが物理の勉強のしかたについて述べている内容を紹介します。ファインマンは「3点推量法」と言っています。

「3点推量法」というのは「すでに知っていることから別の何かを導きだす方法」ということです。

「公式をすべて覚えれば良い」という考え方はどこかで破綻するとファインマンは言っています。 実際、公式をすべて覚えるなんて凡人には不可能です。そして、公式で表現できない現象もあります。

ファインマンが例として挙げているのは

  • 忘れられた事実を覚えている事実から再生する
  • 既知のものから未知のものを「3点推量法」で知ることで新しい発見をする

です。

ここからはぼくの推測です。ファインマンは上記の二つを常に行って、既知のものでも新しい視点で捉え直すことをやっていたのだと思います。

同時に、新しく捉え直した既知のものを使って、未知のものを発見していったのではないかな、と考えています。

経路積分法なんか、シュレディンガー流とは違う量子力学のファインマン流の捉え方ですよね。 ここまで大きな仕事を誰もができるわけではないですが、小さいことなら別の見方を発見することはできそうな感じはします。

「世の中の新しい発見は別の見方を提供すること」という側面をもっと大事にしても良いのでは、と思います。 ファインマンの本は読む度に新しい示唆を発見できる宝物ですね。

以下はファインマン流 物理がわかるコツ からの引用です:

…君たちの中には”僕は公式はもう暗記した。あとは問題にそれをどう当てはめるかを考えるだ けだ”なんていうことを考えている学生もいるかもしれない。それはよくない

…どこかでおかしくなる。それは物理はきわめて範囲の広い学問だからです。何百万という公式や法 則がある!それを全部暗記することはできない— 不可能なんです。

…どういうわけか一部の領域が消されて、へんてこにも失われた部分ができてしまったとする。とこ ろが、自然界のしくみは素晴しくよくできていて、なんと論理によって、失われていない部分から失 われた部分を”3点推量法”で復元ができるのだ。

…すでに知っていることから別の何かを導きだす方法を知っているというのは、実に大切なことなの です。これは絶対に必要です。

…物理学者のやるべきこと—自然界の新しい法則を見つけ出すこと、産業界の何か新しいこと を開発すること、…何か新しいことをやること— そのためにすでにわかっていることから「3 点推量法」を使って導き出すことなんです。すなわち「3点推量法」でまだ誰もやったことのないよ うなものを見つけ出すのです。

そのやり方を習うには、公式の暗記だけに頼ることはやめて、自然界のさまざまなものごとの相互の 関連性を理解すること、そのことを心がけてほしい。これはなれないとたいへん難しいことかもしれ ない。けれど、これが「成功への唯一の道」なんです。

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