とてもリリカルなベースとギターのデュオ・アルバム。 メセニーがとにかく繊細なプレイを聴かせます。 それにやさしく寄り添うチャーリー・ヘイデンのどっしりしたベースが絶品です。 そして、ソロのときのベースの歌い方がとても素晴らしい。
ミズーリはパットが生まれた土地。 チャーリー・ヘイデンはアイオワの生まれ育ちですが、ミズーリはその南隣。一時期はミズーリで仕事もしていたとあります。 この二人がこれらの土地で過ごしていた子供の頃に影響を受けた音楽を追求してみたようです。どこか郷愁を感じる音なのはそういうことですね。 ジャケットが雰囲気が良いです。
デュオの形態ではありますが、ところどころでオーバーダブされています。曲によってはベースも重ねてあるようです。 シンセっぽい音も重ねてあって、デュオだからといって単調になることなく、退屈になるようなことはないです。
曲はパット・メセニーが2曲、チャーリー・ヘイデンが3曲提供している他は別の人の作曲です。 チャーリー・ヘイデンの曲で”Ruth”がつく曲が2曲ありますが、奥さまの名前なのですね。 家族への愛情あふれる雰囲気も感じます。なのでメセニー・ワールドを期待すると違いますが、プレイはやはりメセニー。
パット・メセニーはガット弦、スチール弦、エレクトリック・ギター、シタール・ギターを弾いています。 ガット弦やスチール弦では、弦と指がこすれる音が聴こえます。擦れる音にディレイがかすかに乗ってしまったり。結構生々しい。 たまにブレスも聴こえてきます(気のせいかしら)。
パットのプレイは全体的にあまりジャズっぽくはないですね。”The Moon Song”はジャズっぽいアプローチですが、他はあまりジャズっぽい臭いが希薄。 もともとニューシャトークァのように割と牧歌的なプレイもしていましたから、それに通じる部分はあります。 それでも、それに留まらない引き出しの多さはさすが。ガット弦での切ないプレイは泣きそう。