Backdoor II-V Progression / Cadence

Stella By Starlightのコード進行の解説動画で”Backdoor Dominant”という言葉が出て来た。

自分は”Backdoor Progression”や”Backdoor Cadence”をいうものを初めて知ったので調べてみた。

“Backdoor progression”に関するWikipediaの解説はまあ信用できると思うが、自分が調べた範囲ではThe Backdoor ii-V Progression | Anton Schwartz – Jazz Musicの説明が分かりやすかった。

自分の感じ方では、よく言う「裏コード」的な考えでは理解はできない。

いわゆる裏コード

V7の代わりにIIb7を使うのはよくある。これらの二つのコードでは、トライトーンが共通するから代理できるという理解だ。

トライトーンはトニックに解決しやすくする機能がある。

“Backdoor Progression”

“Backdoor Progression”はiim7-V7-Iの進行の代わりに、ivm7-bVII7-Iのように進行する。

これの理解のしかたは、上記のページではV7とbVII7の構成音が似ているからという解説になっている。

bVII7の考え方

簡単のため、キーがC Majorの場合を考える。

V7はG7, bVII7はbB7になる。 bVII7の構成音はbB, D, F, bA。これはG7(#9b13)の構成音に含まれる。 だからV7の時にbVII7が使える時があるという理解になる。 これでBackdoor dominantがなんとか理解できた(ことにする)。

ivm7の考え方

ではivm7はどう理解するのか。

ivm7はキーがC MajorではFm7になる。 これは実はDm7(b5)と構成音がよく似ている。

Fm7の構成音は F, bA, C, bEなのに対してDm7(b5)は D, F, bA, Cであるから三つの音が共通だ。 つまりはiim7(b5)の代理としてivm7が使える場合がある(iim7-Vとなりそうなところをiim7(b5)-Vとすることはよくある)。

ちなみにBackdoor Progressionはvim7-bVII7-I以外にもIVM7-bVII7-Iの場合もある。

これはもっと単純でキーがC Majorの場合、IVM7はFM7。つまりDm7(= iim7)の代理として使える。

まとめ

以上をざっとまとめると、基本的にiim7-V7-Iのii-V進行を構成音が似たコードで置き換えていると理解できる。 ただしルート音の動きが4度ではなく4度→2度になる。

また置き換えられたコードの機能や役割は変わっていないが、響きは違うからii-Vの進行とは違う印象になる (個人的にはV7とbVII7のトライトーンが違うのが大きいと思う)。