ポップスのコンサートでCDと異なるギター・ソロやフェイクした歌い方も歓迎されないというのは以前から知ってはいた。
ドラマーの黒田和良氏と大坂昌彦氏の語らい動画。この動画は含蓄に富んでいるので超おすすめ。
ちょっとだけ会話を拾うと:
黒田氏: 「ホイットニー・ヒューストンのちょっとフェイクした歌い方に対して、一緒に行った人がずっと『CDと違う』と怒っていた」
黒田氏:「TV番組の『イラっとする瞬間』というお題で『CDと違うギターソロ』『CDと違うメロディー』」
大坂氏:「ジャズってイライラの音楽じゃん!」
大坂氏:「ジャズって寿司屋みたいなもの。いきなり『トロくれ』とは言わない。『今日はどんなの入ってるの』みたいな面倒くさい会話から始まるもの。」
黒田氏:「変な頼み方すると大将が怒る、みたいな」
大坂氏:「ジャズは音楽でそういうところがある」
最も印象的だったのはここ:
黒田氏:「衝撃的だったのが、予習するためにツイッターで曲順が送られてくる」
大坂氏:「マジか!」
黒田氏:「もう一つ衝撃的だったのが『ベースとかドラムとか聞いているのですか?』」
大坂氏:「(わははは)」
黒田氏:「逆に何を聞いているの?て聞いたら、三人とも『歌と世界観』」
80年代の日本のフュージョン・ブーム期はこういう人達ではない層が作っていたんだろうなと、ぼんやり考えた。
最近あるシンガーのライブにいった時、歌に合わせて手を振ったり、周囲に合わせて身体を揺らしたりしているのを傍観していた(自分は恥ずかしくて出来ない)。 そうか、結局こういう人達は歌しか聞いてないし、知っている曲が大事だし、それに合わせて「一体感」のようなものを感じるために来ていたんだなと。 もしかすると音楽を聴きにきているわけじゃないんだな。
RushのAlex Lifesonが「ジミー・ペイジがレコードと違うソロを弾いてがっかりした」的なインタビューを読んだことがある。 まあ子供のころならまだ可愛げがある。 子供をがっかりさせないというのも大事だけどね、レコードと同じ演奏を期待するならレコードを聴けば良いとも思う。
ジミー・ペイジだけでなく、ジョン・メイヤーだって、和田アキラだって、野呂一生だってライブごとにソロが違うのが楽しみなのに。 そういう楽しみ方ができない人を少しばかり可哀想に思うな。