たまに森毅を読みたくなります。
飄々としているようで、したたか。
ヘソ曲がりとも違う、筋の通った考え方。
歴史から学ぶスケールの大きい視点。
知的という言葉では足りないような、深くて広い見識。
いつもでユーモアがあって、ためになるだけでなく楽しい。
などなど、読めば読むほど圧倒されます。
ところどころ、あれれ、という部分もないではないですが、それも含めてとても勉強になります。 あまり、さらさらと読めず、噛み締めながら読みました。
勉強のやり方についての文章も多くて、若いころに読んでおけばよかった。 若い(と思っている)人には超オススメです。
ぼくも、物事を勉強するには、つまづいて苦労しないと身に付かないと考えていたので、大いに納得です。 まあ、いままでの「勉強」の経験を踏まえて、勉強の仕方もどんどん変えていかないと身に付かないのですが。
戦争中のエピソードも、全然美化していないところが、らしいと言えばらしい。 少し過激な内容とも取られかねない表現もありますが、かえって本当っぽい。 世の中でいうところの「正義」の胡散臭さにも、うなづくところが多いです。 国全体で、そういう雰囲気の時にどれだけ自分の考えをやんわり貫くか、というのは難しいと思いますけどね…。
あと、追悼文がとても良い。 湯川秀樹、秋月康夫、遠山啓、岡潔、小針晛宏への自身の見方・思い出を交えた文章は、淡々としながら心を打つものがあります。 追悼文はウェットになりがちですが、森毅の文章はどことなくユーモアがあるせいか偏りが感じられず、フラットな感慨として捉えることができます。
これを書いているのは、新型コロナウィルス騒ぎが大きくなって半年ちょっと経っています。 何が本当なのかよく分からない情報の中では、周囲に流されず、森毅のように自分の頭で考えてものごとを見ることが必要だと思います。
周囲と違う考えで人付き合いをこなすのは、楽でない時もあります。 そんな時は、森毅のスタイルを思い起こせば、なんとなくやり過ごすこと出来るかも知れませんね。