公取委による「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果で公表された事業者名

公取委が「(令和4年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について」という報道発表をしている。 一部を引用すると以下のようにある:

4 注意喚起文書の送付及び独占禁止法Q&Aの①に該当する行為がみられた事業者に関する事業者名の公表

(引用略)

⑶ また、個別調査の結果、受注者からの値上げ要請の有無にかかわらず、取引価格が据え置かれており、事業活動への影響が大きい取引先として受注者から多く名前が挙がった発注者であって、かつ、多数の取引先について独占禁止法Q&Aの①に該当する行為が確認された事業者については、価格転嫁の円滑な推進を強く後押しする観点から、取引当事者に価格転嫁のための積極的な協議を促すとともに、受注者にとっての協議を求める機会の拡大につながる有益な情報であること等を踏まえ、独占禁止法第43条の規定に基づき、その事業者名を公表することとした(注3)。

  https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/dec/221227_kinkyuchosakekka_2.html

(注3)こうした行為を多数の取引の相手方に対して行っている事案又は過去に繰り返し行っている事案については、独占禁止法に基づき事業者名を公表する方針を対外的に示しているところである(参考3:「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年10月28日閣議決定)及び参考4:「適正な価格転嫁の実現に向けた取組」(令和4年10月4日第10回新しい資本主義実現会議における古谷公正取引委員会委員長提出資料))。

 なお、この対応に当たっては、公正取引委員会は、対象となる事業者に対し、意見を述べる機会を付与した。

公表されたリストのスクショを以下に示す。興味深いのがト◯タに関係の深い会社が2社も名指しされている点だ。

デ◯ソーは社外取締役として現時点でのト◯タの社長が名を連ねている。株式もト◯タが約25%を保有している。(統合報告書2022)

豊◯自動織機の社長はト◯タの創業者一族でト◯タの社長とは親族。こちらも株式もト◯タが約25%を保有している(豊田自動織機レポート2022(2022年3月期))。

これらの会社が価格転嫁に応じない理由は想像がつくだろう。

中小企業の賃上げに負の影響は? トヨタ、部品値下げ要請を再開へ| 朝日新聞にあるように、原材料・燃料などが値上がりしていても部品の値下げを要求してくる会社があるということだ。

「直接取引がある1次部品メーカー」は値下げの要求をされる。 これは原材料・燃料などの値上がり、賃上げなどとは対立する要求だよね。 このギャップをどこが吸収するのか、ということを考えると上の公取委の公表の意味も違って見えてくる。

ネットではト◯タを推す声が多いようだが、こういう動きを見てもまだ推す気になるのかね。

1人も勝たなかったらこの国はいったいどうなるんでしょうか。1人でも勝たないとこのインダストリーは支えられない。 1人勝った会社がその『勝ち』を何に使うのか。今のトヨタは自分のためではなく、世の中のため、トヨタを普段から応援頂いている方々のために、その強さを使いたいと思っている

(コロナ禍でも圧倒的に強いトヨタ、「下請けたたき」は本当か | MONOist)

と曰ったようだが、具体的に何をしてくれるのかを示すべきだろうね。