ジョン・スコフィールド / フラット・アウト

前作の”ラウド・ジャズ”から一転して、R&Bテイスト濃いめ、一部ストレート・アヘッドなジャズ・チューンを含んでいるのが本作”フラット・アウト”です。

なんと言っても”All The Things You Are”がスゲー演奏です。(いや、他の曲でもすごいんだけど。) まずテーマの弾き方がうまい。ルート音とテーマのメロディーがカウターのように行ったり来たりしていて斬新でした。

その語のソロはコードに沿って(当たり前だ)流れるような、そして歌うフレーズで、それはもうコピーに明け暮れたものです。 何を弾いてもジョンスコみたいになってしまった時期で(そう聴こえたかは別として)、今思えば若気の至り以外の何ものでもない…。

あまりコンディミ系フレーズは多くなくて、オルタード系、コードトーンをなぞる系、クロマチック系をつないでいる印象でした。 これをコピーしてから、自分ではあまりコンディミを使わなくなったな…。コンディミを使うと安易な(テキトーとも言ふ)フレーズが増える気がしてました。

“All The Things …”以外のストレート・アヘッド系では”Secret Love”, “Science and Religion”, “Softy”, “Boss’s Car”があります。

“Secret Love”はスタンダードらしいですが(よく知らない)、ほのぼの系な演奏。ドラムが良い味です。

“Science and Religion”はコピーしてバンドでも演奏しました。これはジョンスコ作曲のブルージーな曲。”Thanks Again”や”Heaven’s Hill”に通じるところがありますね。オルガンが入っているし。ストレート・アヘッド系とは違うかも。

“Softy”は”Softly As In A Morining Sunrise”とコードが同じっぽい(ほぼ同じ)。”ライブ”とはだいぶ趣が違います。

“Boss’s Car”の”Boss”はブルース・スプリングスティーンのことらしいですが、つながりはよく分かりませんね。 この曲と”All The Things You Are”, “Evanshill”のドラムはテリ・リン・キャリントンが叩いています。斬れ味鋭い。スローテンポでもシャープ。 その他の曲のジョニー・ヴィダコヴィッチの若干ルーズ気味なドラムとは対照的ですね。

全体的にはシリアスなストレート・アヘッド系とリラックスしたニュー・オリンズR&B系が混じって、少し散らかった感じ。 まあ、どちらかだけでアルバム1枚はツラいと考えたのかも。グラマヴィジョン・レーベルのカラーへの配慮もあったかも知れません。

そういえば、ジャケットにはジョージ・ベンソン・モデルを抱えていますが、これもジャケットのためだけで、実際には弾いてないようです。