ダイオードを使う歪みエフェクターの動作原理

分かりやすい歪みエフェクターの解説動画を見つけた。 ジョージア工科大学の教授による解説。

歪み系のコンパクト・エフェクターは、真空管を使うものとファズを除けば基本的にダイオードを用いたクリップ回路の応用だ。 ただしクリップ回路もいくつか種類があって、それらについて網羅的に説明してくれている動画という位置付けになると思う。

紹介している回路は以下の四つ:

  • 反転増幅回路のソフト・クリッパー回路
  • 非反転増幅回路のソフト・クリッパー回路
  • ハード・クリッパー回路
  • 非対称クリップ回路

ソフトクリップはオペアンプのフィードバックにダイード・クリップ回路を入れるタイプ。

このタイプはオペアンプの反転増幅と非反転増幅で二通りがある。 これらはいずれも、いわゆる「オーバードライブ」系のエフェクタでよく使われる。

ハードクリップはダイオード・クリップを増幅回路の出力に入れるタイプ。 これらは、いわゆる「ディストーション」系のエフェクタで使われる。 ちなみに、オーバードライブもディストーションもエフェクターの商品名に由来しているだけで、エフェクターとして厳密な意味での区別はない(と思う)。

非対称クリッパはダイオード・クリッパの正逆のダイオードの数を非対称にするタイプ。 有名なのがBOSSのオーバードライブ回路。

それぞれ代表的な商品のエフェクターの例が挙げてあるので、より親しみが持てる。

意外だったのが、Klon Centaurがハードクリップ回路だったこと。 このことからも、ハードクリップ = ディストーション というわけではないことも分かる。 ハードクリップ回路でも、その前後の回路で音は変わるし、それが製品の違いになる。

おもしろかったのがBOSSのHM-2の回路で、クリッパー回路がシリーズに入っていてかなり変態的だ。

ソフトクリッパーについては回路図で音を読み解く! ギター・エフェクターとアンプの秘密がわかる本でも解説がある。 自分はこの本を読むだけでは分かりづらい部分があって、上の動画と合わせて理解できた。

ということで、雑な説明でごまかさずに本気で説明している動画としておすすめできる。

↑この本は歪み回路以外でも全体の把握のしかたなど参考になる部分があるので、一読する価値があると思う。