ギターのピックアップの周波数特性を調べてみました。
ピックアップの構成
ピックアップは以下のような構成です:位置 | ピックアップ | |
---|---|---|
ネック | : | Seymour Duncan SSL-1 (シングルコイル) |
ミドル | : | Fender Fat’50s middle (シングルコイル) |
ブリッジ | : | Dimarzio AT-1 (ハンバッカー/タップシングル) |
録音方法
ギターからPCまでは、ギター→バッファー→GT-100→PCのように接続しています。GT-100からPCはUSB接続です。
GT-100はエフェクター・アンプはすべてOFFです。Master Setting でLevelを適当に調節しています。
録音したフレーズ
録音したフレーズはすべて同じです。
Stevie Ray Vaughan の “Mary Had A Little Lamb” のイントロ部分です。テンポは56%の超スローで弾いてます(汗)。練習中の曲なので…。
解析ツール
Audacityで録音し、Audacity上で normalize (正規化)した後にスペクトラム表示しています。窓関数はHanning(ハン窓)を選んでいます。
その解析結果を「書き出し」ボタンでテキストファイルに書き出しでプロットしています。
ピックアップの周波数特性比較
周波数軸は対数にしてみました。その方が、視覚的に違いを認識しやすと判断したからです。
ネック vs ミドル
SSL-1 と Fat ’50s ですが、周波数特性はとても良く似ています。少し違うのはFat ’50sは 1 kHz 付近に少しピークを持っている点です。
ブリッジ(ハンバッカー) vs ブリッジ(タップ・シングル)
AT-1 のハンバッカーとタップシングルを比較しました。
ハンバッカーでは 3 kHz から 8 kHz 付近の振幅がごっそり減っています。
一方で1 kHz 周辺が若干増えているように見えます。
ハーフトーン(ネック+ミドル) vs ハーフトーン(ミドル+ブリッジ・タップ)
ハーフトーンを比較しました。
ハーフトーンで特徴的はのは 4 kHz 付近のピークです。
ネック+ミドルの方は 1-2 kHz 付近に小さい谷があります。
一方でミドル + ブリッジは 10 kHz 付近に鋭いピークを持っています。
ネック vs ブリッジ(タップ・シングル)
ネック(SSL-1)とブリッジ(AT-1)のタップ・シングルを比較してみました。
ブリッジ側の方が高い周波数側でレベルが高めです。一方ネック側は低い周波数でレベルが高めです。
ネック側は 1-3 kHz 付近で谷になっているのが特徴的です。SSL-1の特徴なのかも知れません。
ネック vs ハーフトーン(ネック+ミドル)
ネックのシングルとネック+ミドルのハーフトーンを比較しました。
ハーフトーンは1-3 kHz のレベルが減っていて、6-10 kHz 付近に若干のピークを持っています。中域が若干減り、高域が少し増えるイメージですね。
おわりに
ネックとミドルはメーカーが違うにもかかわらず、周波数特性としてはとてもよく似ていいるのが意外でした。
ハーフトーンは中域が減って、高域が若干増えるというのはイメージしていた通りでした。
ハンバッカー(AT-1)は3 kHz 以上はあまりレベルが高くないようですね。アンプのトーン調整やイコライジングなどの音作りでの参考になりそうです。
ピックアップの特性は周波数特性だけではないと思います。今回は静的な解析だけですが、ピッキング時のアタックや減衰特性などもあると思います。
拙い解析ですが、今回の結果がみなさんのご参考になれば幸いです。