いかにもストラト的なサウンドの演奏を集めてみた

ためになる動画を多くアップロードしている中前さんがストラトについて面白いことを言っていました。

  • 「もともとレスポールが好きだったけど、今はストラト。」
  • 「ストラトを使うようになってストラトを使うギタリストをよく聴くようになった」
  • 「ストラトはワイルドに弾く感じ」

ぼくの場合とよく似ているのでとても興味深かったです。まあ自分の今のギターのブリッジはハンバッカーですが。

正直、シングルコイル・ピックアップのストラトの音は弾くのが難しいとずっと思ってました。

自分の場合、ギターを始めたころはジミー・ペイジ、エイドリアン・ヴァンデンバーグ、和田アキラ、高中正義(ヤマハSG時代)、スクエア、カシオペアが好きだったので、ハンバッカー系の音に憧れていました。

最初に買ったのはフェルナンデスのリバイバルシリーズのRSTー50 57でしたけど、その後バーニーのレスポールを中古で買ってそればかり弾くようになってましたね。(バーニーはすごく重くて右脚の付け根が痛くなった…。)

ストラトが良いと思い始めたのはジミヘンです。レイ・ヴォーンは中学時代から聞いてましたが、その頃は良い音だとあまり思ってなかった。だいぶ経って大学生になってからジミヘンのLittle Wingは素のストラトっぽくて良い音だと分かってきた感じです。でもその頃はジャズ研でセミアコを弾いていて、ストラトのブリッジ・ネックのピックアップをハンバッカーにしてしまってました。わはは。

40歳を過ぎてまたギターを始めてまたストラト・モデルを買ってからもシングルコイル苦手意識はそのままで、何度もピックアップを交換してます。シングルコイルが良いと思うようになったのは、ほんのこの1-2年です。特にフロントのサウンドはハンバッカーよりもシングルコイルの方が良いと今は思っています。

ギターを始めたころはシングルコイル・ハンバッカーの音の違いはよく分からなかったな。 ハンバッカーの方が密度が高い詰まった音の印象があります。これはレンジが狭くて中域にピークを持つせいですね。サウンドハウスなんかのピックアップのレビューでよく見る「ハンバッカーのコンプレッション感」の正体はこれです。中域がメインだと、どうしてもダイナミクスが少なく聞こえます。粒が揃って弾きやすいと言えばそうですし、強弱がつきにくいといえばそのとおりです。

それに比べるとシングルコイルは扱いが難しい感じはします。強弱で音のニュアンスがコントロールできますし、ピッキングの粒が粗いとフレーズも粗くなります。「レンジが広い」のは周波数領域でもダイナミックレンジでもそうです。周波数領域が広いので、ダイナミックレンジは広く聞こえるのがシングルコイル・ピックアップかなと思います。(P90とかチャーリー・クリスチャンモデルとかは、もっと中域が多いのでフェンダー系のシングルコイルとは少し違う系統ですね。)

今回は「いかにもストラト!」なギターのサウンドの例を集めてみました。

クリーン〜クランチ系

Little Wing/ ジミ・ヘンドリクス

ストラトがポピュラーになったきっかけはジミヘンということで、まずはLittle Wing。

イントロなんかはほとんど素のストラト・サウンドですが、プレーンで美しいですね。 ストーン・フリーなんかもソロ以外はほとんどプレーンなサウンドで参考になると思います。

Phone Booth/ ロバート・クレイ

ブルースベースなのですが、かなりソウルフルなボーカルで大好きです。

ストラトのサウンドとして分かりやすいですね。ブリッジやネックを頻繁に切り替えてます。

ロバート・クレイの場合は「いなたい」感じが強く出て、ストラトが似合います。

Gravity/ ジョン・メイヤー

ジョン・メイヤーのサウンドもストラト的でよく分かります。

若くてこういうサウンドが出せるのもダダモノではない証でしょう。

Couldn’t Stand the Weather / スティーヴィー・レイ・ヴォーン

イントロのクリーンサウンドのカッティングなどは憧れのテキサス・サウンド。ネック・ピックアップで歪ませているソロのサウンドもこれぞレイヴォーン・サウンドです。チョーキングのロングトーンなんかはよく真似したくなります。

ちなみモジュレーション系がかかったギターはお兄さんのジミー・ヴォーンです。

Manhattan/ エリック・ジョンソン

エリック・ジョンソンは正直あまりストラト的な感じはしません。何を弾いてもエリック・ジョンソンのサウンドになってしまいます。クリーンのサウンドはかなりキラキラさせています。

歪ませる時はストラトかどうかは分かりにくいです。

エリック・ジョンソンのサウンドを出そうと思ってもなかなか出ないので悩んでしまいます。最近は真似する気も失せてます。

It’s too Late/ エリック・クラプトン

エリック・クラプトンのこの時期はストラトらしいサウンドです。 ごく軽めのクランチで味がありますな。自分ではこの音で上手く弾ける気はしませんけど。

後年になるとエリック・クラプトンは意外とストラトらしいサウンドではないのが増えます。 自分としてはプレーンなサウンドのクラプトンが好きなのですが、少しばかり残念ではあります。

Saltans of Swing/マーク・ノップラー

近年はレスポールなどを弾くようですが、初期のダイア・ストレイツではストラトをメインに弾いてました。 マークノップラーはミドル・ピックアップをよく使うようです。

Burn/リッチー・ブラックモア

リッチー・ブラックモアはレインボーの中盤以降はストラトらしからぬ太めの音になりましたが、それまでは 歪みも軽めのナチュラル・オーバードライヴなサウンドです。

Burnのサウンドはトレブリーでヒステリックでどこか病みつきになります。中学生のころに聞いた時はペラペラした音に思えてあまり良いと思わなかったのですが、自分が歳をとるにつれてこのストラト的なサウンドがたまりません。

リフの部分も若干ジャキジャキ感があります。ソロはさらにキラキラ・ジャキジャキしてワイルドですね。音がヒステリックで暴れ気味なので、このサウンドの扱いはなかなか難しそうです。

Comfortably Numb / デイビット・ギルモア

これも極上のストラトサウンドの一つですね。ヒステリックではない上品な歪みです。

空間系のエフェクトが多用されています。ミドルだけでなくローとハイが含まれているレンジの広いサウンドだと思います。

Ride Like The Wind/ クリストファー・クロス

意外と知られていないかも知れませんが、クリストファー・クロスはギターの名手です。

後半のソロは歪ませたストラトのお手本のようなサウンドです。割と音が太めですが、ストラトのニュアンス も残っていて、憧れのサウンドです。

Dust Bowl/ マイケル・ランドゥ

フォロワーが多いマイケル・ランドゥです。

この演奏はクリーンなサウンドだけです。ストラト的かというと少し違う気もしますね。

Moonchild/ ロリー・ギャラガー

2:10頃からのソロの最初はストラトのブリッジ・ピックアップらしいサウンドです。

途中からワウを踏んだようで、鼻つまみサウンドになってます。

おまつり/森園勝利

日本人でストラト・サウンドのマスターというと森園勝利ではないでしょうか。

四人囃子でのサウンドはストレートで無骨なストラト・サウンドですが、細工が少ないぶん今聞いても古さを感じません。

Joy Ride/ フリオ・フェルナンデス (Spyro Gyra)

ちょっと変わったところではスパイロ・ジャイラのギタリスト フリオ・フェルナンデスもストラトを使う時があります。

この曲のソロはネック側のピックアップでクランチ+コーラスなサウンドです。シングルコイル的なサウンドで耳に残ります。

ハーフトーン系

Ready To Fly/ 高中正義

ストラト時代の高中正義はコンプレッサーを強めにかけて独特のサウンドです。

ハーフトーンでもキラキラ感は少なく、少し歪んだように聞こえます。おそらくコンプレッサーが強いせいです。

このサウンドは意外と簡単に再現できます。ただ、コンプによってはレスポンスが若干遅いので、音の立ち上がりに違和感があるかも知れません。

Whippersnapper / ウエイン・クランツ

ハーフトーンでクリーン~クランチのサウンドです。

低音弦フレーズがストラトな感じ全開ですね。

ハードな歪み系

Dolemite/スコット・ヘンダーソン

トライバルテックの時はハンバッカーで弾きまくっていましたが、ブルース路線からはシングルコイル中心のようです。

この曲もイントロは歪ませたシングルコイルのサウンドとしては参考になるのではないでしょうか。 ローが広く出ています。トリオ構成などのときはこのようなロー側が豊かなサウンドが似合うような気がします。

Stormwind / ジョン・ノーラム (Europe)

最近はレスポール系が多そうですが、ジョン・ノーラムもヨーロッパの初期はストラト愛用者でしたね。

このアルバムはコーラスなのかフランジャーなのかモジュレーション系のエフェクトがかかっているので若干分かりづらいですが、ストラトのブリッジ・ピックアップ中心のサウンドです。この曲のソロはもろにストラトな感じ。

General Hospital / イングヴェイ・マルムスティーン

イングヴェイの場合は一般的なストラト的なサウンドとは少し違う気はします。 実際、ピックアップはディマジオのスタック・タイプのハンバッカーを愛用してますね。 スタック・タイプはハイが若干落ちるようですので、歪ませてもあまりヒステリックにならないのかも知れません。

どの曲が良いかと迷いましたが、イントロなどでジャラジャラしている感じがストラト的なのでGeneral Hospitalを。

ブリッジ・ピックアップでアルペジオっぽくコードを鳴らす部分は割と各音が分離して聞こえるので歪みはさほど強くないようですね。

ソロはネック側ピックアップ中心で、頻繁にブリッジ側とをスイッチしてます。