(更新日: 2025年12月6日 )
目次
はじめに
最近は人間よりも生成AIとチャットする時間のほうが長い。 そのうち生成AIとだけ話すような時代もくるのだろうか。
これを書いている時点で生成AIには、いわゆる3大モデル ChatGPT / Copilot / Gemini がある。 使っている人なら分かると思うが、これらは強みと弱みがある。
「どれか一本だけで全部の仕事をこなす」というのは、実は仕事の効率や質を下げている可能性がある。
ここでは「3大モデル(ChatGPT / Copilot / Gemini)の合理的な使い分け指針」 を生成AIに提案させた。 それぞれChatGPT, Gemini, Copilotに同様の質問をした回答である。
なお、私自身はエンジニアであるので、今回の結果は「エンジニアが仕事をする上で最も効率的な使い分け」の一つの提案である。 他の仕事では、別の最適な使い分けがあるだろう。
ChatGPT
まずはChatGPTによる回答を以下にまとめた。
結論:迷わないための使い分け早見表
用途 最適 理由 思考・議論・詳細な技術説明 ChatGPT 推論力・説明力・統合力が最も高い コード補完・IDE統合・GitHub連携 Copilot 編集中のコード理解と補完に特化 Googleサービス(Gmail/Drive/Sheets等)の活用 Gemini Google Workspace連携が圧倒的に強い 画像/ファイルを与えての分析 ChatGPT 視覚解析と長文推論が安定して優秀 検索+簡易回答(クイック検索代替) Gemini / Copilot Web検索連携が軽快で早い 日本語長文の読み書き・添削 ChatGPT 自然で論理的。誤訳が少ない 企業向けMicrosoft環境での作業 Copilot Teams・Excel・PowerPoint統合が強力 ChatGPT(特にGPT-4〜GPT-5系)の得意領域
強み
- 推論力・説明力がトップレベル → 仕組み・背景・数学・制御理論のような深い議論に強い
- 技術系の長文構築・整理が上手い → 文章生成の品質が他より一段高い
- 高精度なマルチモーダル(画像・図表解析)
あなたの質問の傾向から見ても、
ChatGPT が最も適合します。
向いている用途
- 技術議論・深い解説
- Simulinkや制御の相談
- 長文ドキュメント生成(レポート、ブログ、設計書)
- 複雑なコードのレビューや改善
- ファイル解析(CSV/画像/表)
Copilot(Microsoft環境に最適)
強み
- GitHubリポジトリを理解した上で補完できる
- VS Code / GitHub / Azure と一体化
- Teams/Word/PowerPoint でも Copilot が強力
向いている用途
- コード補完やデバッグの「実務速度を上げる」
- Microsoftアプリ上での資料の下書き
- GitHub内のコードベースを跨いだ質問
弱み
- 単体での深い推論力・説明力はChatGPTより弱い
- 制御理論・数学などは精度にばらつきがある
Gemini(Googleサービス統合に特化)
強み
- Google Drive / Gmail / YouTube / Google Photos との統合が圧倒的
- 検索連携(SGE)が非常に優秀
- 英語では非常に滑らかで自然
向いている用途
- Gmailの要約や返信の下書き
- Google Drive内のドキュメント整理や検索
- Google Colab上での作業補助
- Web検索代替(調べ物)
弱み
- 専門技術の深い説明はChatGPTより弱い
- 長文の全体構成力がChatGPTより劣ることがある
4. 実務的なベストプラクティス:3つをどう併用するか
「議論・設計・構想」は ChatGPT
- 論理構成が最も強い
- 技術的な一貫性が安定
- ミス時の修正も得意
例:
- Simulinkモデルの改善点を聞く
- 電力系統の制御方針の議論
- ブログ記事の執筆
「実際に手を動かす部分」は Copilot
- コード作成・補完・バグ修正
- PowerPoint用の図表の素案生成
例:
- VS Code で MATLAB/Simulink スクリプトを書く
- Pythonコード生成
- Excelの式を作る
「検索・Googleサービスの整理」は Gemini
- Gmailの長文処理
- Google Driveの文書の要約
- 画像検索+軽い説明(Google画像との連携)
例:
- メールで届いた英文の理解
- Drive内の大量PDFの整理
- 調べ物(web検索代替)
一番お勧めの簡単ルール
- まず ChatGPT に聞く(深い思考・精度が必要な場合)
- コードを書くときは Copilot に任せる
- Google関連は Gemini を使う
これだけでほとんどの場面に最適化できます。
Geminiの回答
次はGeminiの回答だ。
ご提示いただいた3つの主要AI(ChatGPT, GitHub Copilot, Google Gemini)は、現在それぞれ異なる「得意領域」を持っています。 これらを適切に使い分けることで、技術検討の深さと業務効率を劇的に向上させることができます。
以下に、専門的な利用スタイルを前提とした役割分担と運用指針を提案します。
役割分担の全体像:適材適所の「技術チーム」を作る
まずは、各AIを「チームメンバー」に見立てると分かりやすいです。
- ChatGPT (特に o1/GPT-4o): 「理論物理・数学に強いシニアエンジニア」 深い推論、数式導出、複雑な制御ロジックの構築が得意。
- Google Gemini (1.5 Pro): 「膨大な資料を読み込むリサーチャー兼アシスタント」 長大な論文・仕様書の読み込み、最新情報の検索、マルチモーダル(図解)理解が得意。
- GitHub Copilot: 「隣に座る優秀なコーダー」 IDE内でのリアルタイムなコード補完、MATLAB/Pythonスクリプトの実装補助が得意。
5つの観点による詳細な使い分け戦略
① 思考・議論・技術解説(物理数学・制御理論)
- 推奨: ChatGPT (モデル: o1-preview / o1-mini)
- 理由: OpenAIの「o1」シリーズは、応答前に思考プロセス(Chain of Thought)を深く回すため、数理的な整合性や論理の飛躍がないかを確認する能力が群を抜いています。
- 活用法:
- 「非線形システムの安定判別(リアプノフ関数の候補提案)」
- 「電力システムにおける過渡安定度解析の数式導出」
- 物理モデルの第一原理からの導出議論。
- Note: 従来のGPT-4oよりも、複雑な数式変形や物理法則の適用においてハルシネーション(嘘)が圧倒的に少ないです。
② コーディング・モデル化・シミュレーション作業の補助
- 設計・アルゴリズム検討: ChatGPT (GPT-4o)
- MATLABスクリプトの構成案や、Simulinkモデルのブロック構成(「どのブロックを使うべきか」)の相談。
- Simulinkはバイナリ(.slx)のためAIが直接編集できませんが、「MATLABコマンドでSimulinkモデルを構築するスクリプト」を書かせることで自動化できます。
- 実実装・デバッグ: GitHub Copilot
- MATLAB EditorやVS Code上で、コメントから関数の中身を即座に提案させる。
- 既存のコードベース(自社のライブラリ関数など)をコンテキストとして読み込めるため、命名規則や独自ルールに従ったコードが書けます。
③ 文書作成(技術文書・レポート・資料)
- 推奨: Google Gemini (1.5 Pro)
- 理由: 圧倒的なコンテキストウィンドウ(200万トークン以上)が強みです。
- 活用法:
- 数百ページの仕様書(IEEE標準、JIS規格、社内規定)や、複数の関連論文をPDFでアップロードし、「これらを踏まえて技術レポートの構成案を作成せよ」と指示する。
- ChatGPTでは容量オーバーになるような大量の背景資料を前提とした執筆に最適です。
④ 検索・調査
- 推奨: Google Gemini
- 理由: Google検索エンジンとの連携(Grounding)が強力で、最新の技術トレンドやデータシート、半導体部品の在庫状況などのリアルタイム情報に強いです。
- 活用法:
- 「最新のSiC MOSFETのスペック比較」
- 「特定の制御工学トピックに関する最新のIEEE論文のサマリ」
- ソース(出典)の明示機能が充実しており、ファクトチェックが容易です。
⑤ ファイル解析(図表・データ・数式)
- データ解析: ChatGPT (Advanced Data Analysis)
- 実験データ(CSV/Excel)をアップロードし、Pythonで信号処理(FFT、フィルタリング、ボード線図描画)を実行させるのに最適です。
- 図面・画像理解: Google Gemini / ChatGPT (GPT-4o)
- 回路図やブロック線図の画像をアップロードして「この回路の動作原理を説明して」と問う場合、Geminiの方が視覚情報の認識精度が高い傾向にありますが、GPT-4oも優秀です。ここは両者を併用して精度の良い方を採用するのが賢明です。
モデルごとの強み・弱み比較表
機能・特性 ChatGPT (o1/4o) Google Gemini (1.5 Pro) GitHub Copilot 数学・論理推論 ◎ (o1は最強) ◯ (十分高いがo1に劣る) △ (対話向けではない) コンテキスト量 △ (資料が多いと忘れる) ◎ (本数冊分も余裕) ◯ (開いているファイル依存) MATLAB/Simulink ◎ (スクリプト生成に強い) ◯ ◎ (エディタ内で完結) 検索・最新情報 ◯ (SearchGPT機能) ◎ (Google検索直結) ✕ 機密性・セキュリティ Enterprise版なら安全 Enterprise版なら安全 Business版なら安全 4. あなたのための具体的な運用戦略(ワークフロー提案)
エンジニアとしての日常業務における、具体的な「AIリレー」の手順です。
Phase 1: 技術調査・概念設計
- [Gemini] に関連論文や規格書PDFをすべて読み込ませる。「この制御手法のメリット・デメリットと、今回のシステム(仕様X)への適用可能性を整理して」と依頼。
- [ChatGPT (o1)] にGeminiの整理した要件を渡し、数理モデルの導出や制御アルゴリズムの核心部分(数式レベル)の議論を行う。「このハミルトニアンを使った制御則の導出に間違いはないか?」などの壁打ち。
Phase 2: モデリング・実装
- [ChatGPT (4o)] に、決定したアルゴリズムをMATLABコード、またはSimulinkモデル生成用スクリプトに変換させる。「この数式をS-Functionで実装するためのCコードの雛形を作って」など。
- [GitHub Copilot] を使い、MATLAB/Simulink上で実際にコーディング。変数名の補完や、細かいエラー修正、ユニットテストコードの記述を高速化。
Phase 3: 解析・レポート化
- [ChatGPT (ADA)] にシミュレーション結果のCSVを投げ、「制御入力と出力の相関を可視化し、オーバーシュート量を定量評価して」と依頼。Pythonで美しいグラフを描画させる。
- [Gemini] に解析結果とグラフ、そしてPhase 1の背景知識を渡し、「技術報告書のドラフト」を作成させる。
5. 結論と次のステップ
「深い思考と数式はChatGPT (o1)」、「大量の資料と検索はGemini」、「手元の実装はCopilot」という使い分けが、あなたの専門性を最も拡張する構成です。
Copilotによる回答
次はCopilotによる回答。CopilotはGitHub, Officeなどいくつかあるので、それぞれについて回答してくれた。
結論:ChatGPT・GitHub Copilot・Google Geminiは「得意分野が異なる補完関係」にあるため、技術者としては用途ごとに明確に役割分担するのが最適です。特にあなたのように体系的な技術議論やシミュレーションを重視する場合、ChatGPTを“思考と文章力”、Copilotを“コーディング補助”、Geminiを“検索と事実確認”に割り当てる運用が効率的です。
1. 思考・議論・技術解説
- ChatGPT
- 強み:長文構成力、論理展開、抽象概念の整理。技術的背景を体系的に説明するのに最適。
- 弱み:最新情報や数値データの正確性は検索なしでは弱い。
- 運用指針:制御工学や電力システムの理論的議論、数式の背景説明、研究ノートの草稿に活用。
- Gemini
- 強み:検索力と事実性。Google検索と統合されているため最新論文や規格情報に強い。
- 弱み:文章構成力はChatGPTほど自然ではない。
- 運用指針:技術規格、最新研究動向、学会発表資料の事実確認に利用。
2. コーディング・モデル化・シミュレーション補助
- GitHub Copilot
- 強み:IDE統合、コード補完、MATLAB/Simulinkスクリプトや制御アルゴリズムの実装支援。
- 弱み:長文の技術解説や理論的背景には不向き。
- 運用指針:MATLAB関数の自動生成、Simulinkブロックのスクリプト化、C言語での制御ロジック実装補助。
- ChatGPT
- 強み:コードの意図やアルゴリズムの背景を解説可能。
- 弱み:IDE連携はない。
- 運用指針:制御理論をコード化する際の「なぜこの式になるか」を解説させる。
3. 文書作成(技術文書・レポート・資料)
ChatGPT
- 強み:技術文書の構成、論文風の長文生成、自然な日本語。
- 弱み:事実確認は別途必要。
- 運用指針:研究報告書、技術提案書、教育資料のドラフト作成。
Copilot (Microsoft 365)
- 強み:Word/Excel/PowerPointとの統合。既存資料の整形や表作成が容易。
- 弱み:独立した思考力は弱い。
- 運用指針:ChatGPTで生成した草稿をCopilotで整形・図表化。
4. 検索・調査
Gemini
- 強み:Google検索連携、最新ニュース・論文・規格情報。
- 弱み:文章生成力は限定的。
- 運用指針:IEEE論文、IEC規格、電力システムの最新動向調査。
ChatGPT+検索機能
- 強み:検索結果を要約・比較し、背景を解説。
- 運用指針:Geminiで取得した情報をChatGPTで体系化。
5. ファイル解析(図表・データ・数式)
Copilot (Windows/Office連携)
- 強み:Excelデータ解析、PowerPoint図表編集。
- 弱み:高度な数式処理は限定的。
- 運用指針:実験データの整理、報告用グラフ作成。
ChatGPT (コード実行機能付き)
- 強み:数式展開、物理数学の解説、Pythonでのデータ解析。
- 運用指針:MATLAB結果をPythonで再解析、数式の理論的背景を説明。
モデルごとの強み・弱みまとめ
モデル 強み 弱み あなた向け運用 ChatGPT 思考の深さ、文章力、技術解説 最新情報に弱い 技術議論・文書草稿・理論解説 GitHub Copilot コーディング補助、IDE統合 長文説明不可 プログラミングコード補助 Google Gemini 検索力、事実性、最新情報 文章構成力弱い 規格・論文調査、最新技術動向確認 Microsoft Copilot Office/Windows統合、資料整形 独立した思考力弱い 技術レポート整形、データ解析 運用戦略提案
- 議論・理論整理 → ChatGPT
- コード補助 → GitHub Copilot
- 最新情報調査 → Gemini
- 資料整形・データ処理 → Microsoft Copilot
このように「思考はChatGPT」「実装はCopilot」「調査はGemini」「整形はOffice Copilot」と役割分担すると、技術者としての生産性が最大化します。
おわりに
ChatGPT, Gemini, Copilot の回答は微妙に違うところがあるものの、だいたい以下のような使い分けを推奨していると言って良いだろう:
- 検索・pdfなどの読み込み、Google関連のサービスはGemini
- コーディング、MS Officeファイルを探すなどはCopilot
- そのほかはChatGPT
これを書いている時点でのCopilotは、三つのなかで最もレベルが低い印象だ。 パワポ資料の改善点は表面的な提案だし、コーディングもCSVの読み込みで列の順番を間違えていたりする。
一方で情報セキュリティの観点で、企業ではCopilotが使いやすいという背景がある。 Copilotしか使わない、他の生成AIも同じと考えている人は少なくないのではないだろうか。
Copilotはそれっぽい資料も作成できるのだが、これをそのまま社内で見せている人がいた。 パーソナライズも出来ないし、深い議論も得意ではないので、Copilotが作る資料は非常に薄っぺらい。 そんな資料を堂々を見せてしまえる彼は、自分が質の悪いAIよりも使えないことを宣伝しているようなものだ。 みなさんも生成AIの使い方には気をつけて頂きたい。
なお、私はChatGPTの有料プランを利用して三ヶ月になる。 無料プランの制限がないのは非常に快適なので、試してみる価値があると思う。
















