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うま味調味料論争の終らない夏
ダニエル社長と料理研究家の間でうま味調味料論争が勃発している模様だ。
うま味調味料が危険かどうかの論争は、スッパリとは決着がつかないだろう。 少なくともグルタミン酸ナトリウムは、現状では世界的に「安全」ということになっている。 信じるか信じないかの宗教論争のようになってしまう。
料理研究家の功罪
自分も四毒抜きを始める半年くらい前まではリュウジのレシピを参考に料理を作っていた。 彼は「料理に興味を持つ人口」「料理をする人口」を増やしたという一定の評価をするべきだと思う。
一方でうま味調味料を多用するのは誤解を生んでいると思う。うま味調味料を使うことは当たり前のことだと自分も誤解していた。 彼が「だし」を取る姿は動画では多くない。というのも彼のコンセプトとして手軽さや時短を全面に出しているから。
四毒を抜き始めた初期は、うま味調味料を使いたくなる時期もあった。
しかし四毒を抜いて1ヶ月も過ぎると、うま味調味料をかなり不自然な味に感じるようになった。 うま味だけが強調されて、一本調子な感じがする。生成AIの美少女みたいな感じ?
結局、四毒抜きを開始してすぐ極力うま味調味料を使わなくなった。 味噌汁は煮干し、鍋ものは昆布と鶏肉など、そばつゆは昆布と鰹から自分でとるようになった。
うま味調味料のほんとうの害
ここからは自分の考えなので、一般的ではないかも知れない。
うま味調味料を多用すると、強い「うま味」を欲するようなる。 これだけならば、それほどの中毒性はないのかも知れない。
だが、そのうち何にでもうま味調味料を投入するようになる。 冷しゃぶのお湯にも入れたり、卵かけご飯にも振り掛けたりするようになる。 納豆の付属のたれは使わなくても、うま味調味料を入れたりした。
強いうま味はジャンキーな味との親和性が高い。 唐揚げ粉はうま味調味料(酵母エキスやアミノ酸)が入っていないと物足りなくなったりする (自分は実際そういう状態だった)。 このくらいになると、味覚が壊れはじめていると思う。
うま味調味料のほんとうの害はこのように味覚を鈍らせてしまうところだと思う。 味覚は本来「食べて良いもの」「避けるべきもの」をセンシングする機能である。 そういった味覚機能を快楽のために刺激するような食事ばかりを好むようになってしまう。
この影響についてChatGPTに訊いてみた。
味覚の本来の役割
「動物の味覚は本来は美味しさを感じるためのものではないと理解していますが、現代は「美味しいもの」を追い求めることが良いこととされています。 味覚の本来の役割について解説して下さい。」
ご質問ありがとうございます。とても興味深いテーマですね。
確かに、現代の人間社会では「美味しさ(=快楽)」が強調されがちですが、味覚の本来の役割はもっと「生存」に根ざした機能です。以下にその本質を説明します。
味覚の本来の役割:生き残るための「選別センサー」
味覚は、生物が「何を食べていいか」「何を避けるべきか」を判断するための、進化的に獲得されたセンサーです。つまり、美味しいかどうかよりも、「これは安全か」「これは有害か」を見極めるためのものだったのです。
具体的には、以下のような役割を果たします:
- 甘味(糖):エネルギー源である糖分を識別。糖は脳や筋肉に必要不可欠なので、進化的に「好ましい」と感じやすい。
- 塩味(ナトリウム):細胞の浸透圧や神経伝達に必要な塩分を検出。適量の塩は生命維持に不可欠。
- 酸味(pHの低い物質):腐敗した食べ物や未熟な果物の指標であることが多く、注意信号として働く。
- 苦味:毒素を含む可能性が高い成分を識別。多くの植物毒は苦味を持つため、回避すべき味。
- うま味(グルタミン酸など):タンパク質の存在を示し、栄養価の高い食物を選びやすくする。
現代の「美味しさ」とのギャップ
現代では加工食品や調味料の発達により、「味覚を刺激するためだけの食」が大量に作られています。これにより、
- 味覚が本来の役割(安全性・栄養)から切り離され、
- 快楽としての「美味しさ」ばかりが追求される
という状態になっています。これはある意味で、本能的なシステムのハックとも言えるかもしれません。
補足:動物にも同じ味覚の傾向があるのか?
はい、多くの動物も同様の味覚機能を持っていますが、種ごとに重要視する味覚が異なります。
- 肉食動物(例:猫)は甘味をほとんど感じない → 糖がそれほど必要ではないから。
- 雑食動物(例:ヒト、ブタ)は味覚が発達していて多様な味に反応。
- 一部の動物は塩分に非常に敏感(草食動物など) → ナトリウムの摂取が限られているため。
まとめ
味覚は「美味しいものを楽しむ」ためではなく、
「命を守るための危険回避・栄養選別システム」として進化した。それが現代では文化や技術と結びつき、「快楽」としての美味しさを求める方向へと進化の意味合いがシフトしているのです。
さらに深掘りしたい部分があれば、ぜひ聞いてくださいね!
「刺激過多」な食が脳の報酬系に与える影響
「現代の味覚への刺激のように、本来機能ではなく、快楽を追求するように濫用することによる脳への影響に関する知見や研究はありますか。」
はい、まさにこのテーマは神経科学・行動科学・栄養学の分野で近年とても注目されています。
要するに、味覚や快楽を司る脳の報酬系が、現代の「刺激過多」な食によってどのように変化・影響されるか、という話ですね。脳科学から見る:快楽刺激の「濫用」とその影響
1. ドーパミン報酬系のハイジャック
甘味や脂肪、塩分など、「生存に必要なもの」は、脳の報酬系(ドーパミン系)を刺激します。
加工食品やファストフードは、この報酬系を異常なレベルで刺激するよう設計されている(いわば“設計された快楽”)。
特に影響を受けるのが:
側坐核(nucleus accumbens)
腹側被蓋野(VTA)
前頭前野(意思決定・自己制御)
この結果、脳が「過剰に学習」してしまうため、繰り返し欲しがる=依存的行動が起きやすくなるのです。
2. 「食の依存症」的なパターン
研究によって、超加工食品(Ultra-Processed Foods)は、以下のような依存症と似たメカニズムを持つことが明らかにされています。
- 耐性の形成(以前より多く食べないと満足できない)
- 禁断症状(食べないと不快・落ち着かない)
- 報酬感覚の鈍化(他の「普通の食べ物」への満足感が低下)
- 自己制御の低下(前頭前野の機能が弱まる)
これは、ドラッグやギャンブル依存と共通の神経経路が関わっているという点で深刻です。
3. 子どもへの影響:味覚と報酬系の「再配線」
- 幼少期に強い味(甘味・塩味・脂肪)に晒されると、味覚の基準が変化してしまう。
- 結果として、将来的に自然な味や栄養バランスの良い食事を「物足りなく感じる」傾向が強くなる。
これも、報酬系の過剰学習と神経可塑性(ニューロプラスティシティ)が関係しています。
4. 精神的健康との関連
- 食の快楽に依存すると、ストレスや不安に対して「食でしか対応できない」傾向が出る(いわゆる情動的摂食)。
- 長期的には、うつ病・不安障害・自己肯定感の低下などとの関連も示唆されています。
まとめ:刺激過多が生む「報酬系のバグ」
本来の機能 現代の刺激 結果 生存に必要な栄養を見分ける 強化された甘味・脂質・塩味 報酬系がハイジャックされ、依存傾向に 自然な満足感 超加工食品のドーパミン刺激 満足の基準が崩れる、精神的な影響も 味覚による判断 幼少期からの強い刺激 一生の味覚形成に影響 もしこの分野をもっと掘りたいなら、「ハイパーパラタビリティ(Hyperpalatability)」や「食行動と報酬系」、「食物依存(Food Addiction)」といったキーワードで調べると面白いです。学術論文もかなり増えていますよ。
他にも脳との関係や、逆に健康的な「報酬系の使い方」などにも触れられますので、気になるところがあれば教えてくださいね!
報酬系がバグってくるので、中毒症状がでてくることになる。 こうなると、食生活が悪くなることが容易に想像できる。
刺激過多の食と食生活と健康への悪影響
「刺激過多の食が脳の報酬系を狂わせるとすると、食生活が悪くなり健康への悪影響が懸念されます。このような研究はありますか。」
はい、その点もまさに現在の神経科学・公衆衛生・栄養学で非常に注目されている分野です。
結論から言うと──刺激過多な食生活(高糖質・高脂肪・超加工食品)は、報酬系のバランスを崩すことで、食行動・代謝・精神・身体の健康に多面的な悪影響を及ぼすことが、さまざまな研究で明らかになっています。
以下に、代表的な研究知見を整理して紹介します。
【1】食生活の乱れ → 報酬系の変調 → 過食・依存傾向
- 高脂肪・高糖質な食事(例:ジャンクフード)は、ドーパミンの過剰分泌を引き起こし、脳の報酬系に「依存的再配線(neuroadaptation)」をもたらす。
- 結果として、「満足を得るにはもっと食べなければならない」状態(耐性形成)が生じる(Gearhardt et al., 2011)。
負のループ:
- 超加工食品を食べる
- 快楽を得るが、報酬系の感受性が下がる
- 満足できず、さらに食べる
- 自己制御も弱まる(前頭前野の機能低下)
【2】脳構造・機能への影響(MRI・PET研究)
- 慢性的な高脂肪食は、記憶や意思決定に関わる海馬や前頭前野の機能を低下させる(Kanoski & Davidson, 2011)。
- 海馬の炎症や神経新生の阻害も報告されており、これはアルツハイマー型認知症リスクの増加とも関連。
【3】代謝と脳のつながり(肥満・インスリン抵抗性)
- 食生活の乱れが原因で起きる肥満や2型糖尿病は、脳内でもインスリン抵抗性を引き起こすことが分かっています(Arnold et al., 2018)。
- インスリンは脳の報酬系や認知機能にも関与しているため、報酬調整の不全・注意力の低下・気分の落ち込みなども引き起こされる。
【4】精神疾患との関連(うつ・不安・自己肯定感の低下)
- 高脂肪・高糖質な食生活は、腸内環境の悪化、炎症物質の増加、セロトニン生成の阻害を通して、うつや不安障害の発症率を上昇させる(Jacka et al., 2010)。
- また、報酬系の快楽感の「鈍化」により、無気力・無関心・快楽消失(アネドニア)が起きやすくなる。
【5】食の快楽から「自律」する方法も研究中
- マインドフル・イーティング(Mindful Eating)
- 報酬系を再構築する食習慣(自然な味覚へのリセット)
- 断食や食事の時間制限による報酬系の感受性回復
こうした介入によって、依存的な報酬系を元のバランスに戻すことができる可能性も示されています。
参考文献(興味があれば調べやすいキーワード)
- Gearhardt, A. N. et al. (2011). The Yale Food Addiction Scale.
- Kanoski, S. E. & Davidson, T. L. (2011). Western diet and cognitive impairment.
- Arnold, S. E. et al. (2018). Brain insulin resistance in type 2 diabetes and Alzheimer disease.
- Jacka, F. N. et al. (2010). Association of Western and traditional diets with depression and anxiety in women.
もし具体的な論文や研究事例、対策としての実践方法などに興味があれば、さらに詳しくご紹介できます!
結論
うま味調味料は(グルタミン酸ナトリウムだけでなく、酵母エキス、たん白加水分解物も含めて)物質そのものの危険性云々よりも、その強烈なうま味による味覚の濫用のほうが問題だと思う。
これらを多用する刺激的な食事を誘引し、その食で脳の報酬系を狂わせるトリガーになってしまう。
脳の報酬系が狂うと中毒症状になり、その結果食生活が悪化し、心身ともに健康を損ねるリスクが上昇する。
四毒抜きをしていると、うま味調味料を多用することは減ると思う。それでも意識して避けるほうが、味覚の健康も維持できると思う。