野呂一生が直々にギターイントロをレクチャーしている動画を見つけて、久しぶりに聴きたくなりました。
野呂一生は、なんというか、嫌味のない感じになった気がします。若い頃の野呂一生は少し気取った感じがしたものです。(個人的な感想です。)
というのは置いておいて、ぼく的にはカシオペアはこのアルバムくらいまでが全盛期。 全体のクオリティ的にはDown Upbeatのほうが好みですが、Halleはキャッチーさを押し出しています。そこが好みの分かれるところかも知れません。
タイトル曲のほかに“Hoshi-Zora”, “Street Performer”, “After School”, “Freesia”, “Touch the Rainbow”など良い曲が多いです。
“Hoshi-Zora”はタイトルが”Asayake”のアンサーソングみたいですが、ひそかに名曲だと思っています。これはコピーしたい。 フレットレス・ギターによる演奏ですが、パットメセニーみたいなトーンを絞ったフロントピックアップで演奏しても良さそう。 あるいはアコギで弾くとか。
野呂一生のギターのサウンドは、ピッチシフターでオクターブ上の音のミックスを多用して金属的です。シンセのような音作りとも言えます。 この後、Sun Sunも同じ路線で、その後のPlutinumではディストーションサウンドがだいぶ変わってしまいました。 ギター・サウンドの面でも一つの区切りとも言えます。
この後のアルバム”Sun Sun”も”Coast to Coast”, “Conjunction”, “Samba Mania”など佳曲がありましたが、少し物足りない感じでした。 それに比べるとHalleは勢いがあった時のカシオペアだと思います。
今思えば、リード楽器が少ないインスト・バンドの難しさはメンバーも感じていて、その後ボーカルを導入したり試行錯誤をしたのかも知れませんね。 1989年に櫻井哲夫・神保彰が脱退して、いわゆる第1期は終わってしまいます。 ぼくの中ではカシオペアは第1期カシオペアと同じ意味で、その後のカシオペアは別物というか、惰性で動いているバンドのように思えています。 まあ鳴瀬喜博があまり好きではないという理由が大きいですが。
坂の上の雲を目指している時期は、どんなバンドも独特な輝きを持っています。 そしてその後それぞれのバンドは、さらなる成長か、惰性の活動か、フェードアウトか、メンバーチェンジか、活動休止か、解散か、などの道を辿っていくものです。
カシオペアというバンドが坂道をかけあがり頂上に到達したかと思われる時期の、最後の輝きのアルバムと言えるかも知れません。