無所属トップ当選の裏側:さとうさおり氏に学ぶ、地道な蓄積と戦略

(更新日: 2025年8月16日 )

はじめに

2025年東京都議会選挙・千代田区で無所属トップ当選を果たしたさとうさおり氏。その戦い方は話題となり、「自分たちにも可能性がある」と希望を語る声もあった。しかし、その見方の中には、表面的な特徴だけを切り取ったものも見られる。

さとうさおり氏曰く「タスキだけつけて街宣を熱量込めた」「移動したらスピーカーを降ろして、しゃべり続けた」とのこと。 戸田市議の河合ゆうすけ氏と同様に「いかに知ってもらうか」を考えていることが分かる。

彼女は今回が4度目の選挙。SNSでの発信力があり、知名度を地道に上げてきたことが見てとれる。 政治系YouTuberのなかでも有名で、何よりも自ら党を立ち上げるガッツと覚悟があるメンタリティの持ち主である。

指標数値
Xフォロワー数17万人超
YouTube登録者38万人超
減税党党員数約3,600人

さとうさおり氏の勝因の分析

「無所属・事務所なし・選挙カーなし」という“形”だけを見て、「自分たちもやれるはずだ」と短絡的に結論づけるのは、さとうさおり氏の勝因をかなり単純化しすぎている。

実際には、さとう氏の当選は次のような長期的な蓄積と戦略的行動があってこそ可能になったもので、いわゆる“奇跡の一発当選”とは全く違う。

1. 長期的な認知獲得の蓄積

  • 過去4回連続の立候補(区議選、衆院選、区長選、都議選)で、地元の有権者に顔と名前を覚えさせる。
  • 選挙期間外でもSNS、街頭活動、ポスティングで継続的に発信。 → 「あの人はずっと頑張ってる」という印象を醸成。

2. 専門性と政策の一貫性

  • 会計士・税理士としての経歴を活かし、減税やインボイス廃止など明確なテーマを設定。
  • 選挙ごとに訴える軸がぶれないため、有権者の記憶に残る。

3. 選挙期間中の戦術的な動き

  • 限られたリソースを、最も効果的な時間帯・場所の街宣に集中。
  • SNSでリアルタイムに活動を発信し、現場に来られない支持層の拡散を誘発。

4. “ないない尽くし”は戦術の一部でしかない

  • 事務所や選挙カーを持たないのは、単なる節約ではなく話題化と共感の演出
  • この戦術が成立するのは、すでに地元で一定の支持基盤と知名度ができている場合に限られる。

浅い見方の危険性

もし「事務所なし・選挙カーなし」だけを真似しても、

  • 知名度ゼロ
  • 支持基盤ゼロ
  • 選挙外の活動ゼロ

という状態では、ほぼ確実に埋もれる。 さとう氏の場合は“土台があったうえでの簡素化”であり、それがニュース性を持って票につながった。

おわりに

さとう氏の戦い方から学べるのは、①地道な活動の蓄積、②明確な政策と発信、③リソースを集中させる戦術、④象徴的なシンボル戦略の活用だ。 これらを欠いた単なる模倣は、成果に結びつかないだろう。

覚悟と熱量を持って立候補する人を我々は応援したくなるのであって、組織力も知名度も覚悟も発信力も主張もない候補者や政党が選挙で勝てる可能性は限りなく低いと思う。

追記

当選後のさとう氏の活動はYouTubeで本人が定期的に報告している。

議員でないと分からない都議会運営・都知事と都議会の関係などの実状が分かりやすく解説されている。 地方自治体の政治についてここまで語ってくれる人はなかなかいない。 都民でなくてもおすすめだ。