さとうさおり氏が事務所なし・タスキなし・街宣車なしで当選したと絶賛している向きが一部であるようだが、あまりに表面的な見方である。
彼女は今回が4度目の選挙。Xのフォロワーは17万人超、YouTubeの登録者数は38万人超、自身が党首の減税党の党員は3600人を超えるとされている。 それだけの発信力があり、知名度を地道に上げてきたことが見てとれる。 政治系YouTuberのなかでも有名だし、何よりも自ら党を立ち上げるガッツと覚悟があるメンタリティの持ち主である。
選挙運動期間だけで活動してきたわけではないことが分かるだろう。
事務所・タスキ・街宣車などは従来型の選挙戦手法であり、党組織による運動とセットで機能する。 さとうさおり氏のように組織の力がほとんどない場合は、従来型の選挙戦では勝目はないし、その土俵で競うのは意味がない。
彼女の選挙の戦い方は非常に示唆的だと思うが、本質が理解できていないと「組織が脆弱でも勝てる」と盛大な勘違いをすることになる。 彼女は時間をかけて準備してきたし、時間を無駄にしてきていない。
組織力もなく知名度も覚悟も発信力もない候補者は供託金を捨てにきた以外の形容はないだろう。 覚悟を持って立候補する人を我々は応援するのだが、選挙をナメて欲しくはないとも思う。 自民党議員が簡単に離党しない理由はこういうところにあるのだと、あらためて思った。