Wes Montgomery / Boss Guitar

ウェスのアルバムはそんなに多くないので、コレクションするのは比較的楽です。

Boss Guitarはギター・オルガン・ドラムのトリオという少し変則的ですが、外せない一枚でしょう。 ハードにスイングするってわけではないので、少し地味な印象を持つかも知れません。 実はぼくも最初はあまり聴かなかったのですが、聴き込んでからはウェスのアルバムでは一番よく聴いたと思います。

全体的にリラックスした雰囲気で、かつ変化球っぽい構成なのにしっかりジャズになるというのが、なかなか真似できないところと感じます。 ジャズ・オルガンってあまり聞いたことなかったですが、ピアノとも管楽器とも違う独特の趣があります。

1曲目の”Besame Mucho”は3拍子(ウェスは3拍子が結構好きみたい)のラテン風なテーマです。 マイナーキーで単純にカッコいいし、ギターも要所要所で斬れ味鋭いフレーズをきかせます。

2曲目の”Dearly Beloved”はアップテンポで、これも速いパッセージがビシバシ決まる。 バックがギラギラしていないのに、ほどよい緊張感があります。

3曲目は酒バラです。テーマは意外とバレーコード(人差し指で1弦から6弦まで押さえるコード)を多くつかって厚めのサウンドです。 テーマをゆったり歌ったあとのソロは倍テン。メリハリが効いています。 エンディングがおしゃれ。

4曲目はアップテンポの”The Trick Bag”。 ユニゾンのテーマがカッコいいですね。 これもバックがギラギラしていないせいで、落ち着いています。

5曲目の”Canadian Sunset”はほのぼのするテーマ。 素早いフレーズ、ブルージーなフレーズ、ゆったりと歌い上げる、と展開があるソロです。 ギターが絶好調という感じです。

6曲目は”Fired Pies”はブルースです(Bbの少し変則ブルース)。 オルガンのソロもブルージー。 ギターソロの入りは不思議な感じです。その後はオクターブ奏法、コードソロの三段活用。 このソロも歌ってます。

7曲目もアップテンポの”The Breeze and I”。テーマは牧歌的かと思いきや、ソロで全開。 テーマのハモリが面白いですね。

最後は”For Heaven’s Sake”。テーマをオクターブ奏法を交えて歌って、参考になります。 ソロはとてもメロディアスで美しい。これはコピーしたい。 エンディングのフレーズもすごく良い。