「パラグラフ・ライティングの7つのポイント」を紹介します。これは倉島保美著“書く技術・伝える技術”を元にしています。
目次
パラグラフ・ライティングとは
パラグラフ・ライティングは、パラグラフで論理展開を構成する書き方です。「そんなのやっている」と思うかも知れませんが、意外と出来ていないものです。論理展開・構成をパラグラフ単位で行うだけでなく、各パラグラフの書き方も書きやすく、分かりやすくするメソッドがあります。それがこの「パラグラフ・ライティング」です。
これを実践すると、文章だけでなく思考も論理的になります。非常におすすめです。ですが、なぜか日本ではあまりポピュラーではありませんね。
10年以上前に私は著者の倉島さんに直接指導を受けています。しかし指導を受けただけではパラグラフ・ライティングを出来るようになりません。日々の訓練・意識が大事です。
読み手と書き手のメリット
パラグラフ・ライティングは読み手と書き手の両方にメリットがあります。
読み手のメリット
- 必要な情報だけを読める
- 内容が一読で理解できる
- 書き手の意図が100%近く理解できる。
職場で意味が分かりにくい文書やメールは理解するために要する時間が無駄ですよね。パラグラフ・ライティングによって意図を伝える効率が格段にアップします。
書き手のメリット
- 考えを100%近く伝えられる
内容を読み手の印象に残すことが出来る
論理的に考えやすくなる
文章を速く書くことができる
パラグラフ・ライティングの 7つのポイント
ポイントが7つに絞られています。この7つを実践するだけで良いと考えると気も楽ですね。
書き手にとっても、この手法に沿って書くだけで意図を伝えることが可能になります。
- まず何を述べるか(総論)を書く
- 全体の構成は、パラグラフ単位で検討する
- 段落ごとに冒頭に要約文をおく
- すでに述べた情報を”つなぎ”に新情報を展開する
- 同じ種類のものは同じスタイルで表現する
- 一文では一つのポイントだけを述べる
- 誰でも同じ理解になるように表現する
(1) まず、何を述べるか(総論)を書く
原則: 見出しの後にいきなり各論に入らない
- 総論を書く時の注意
- 主題を一つに絞る
- 書き手の主張が分かるように、ある程度具体的に書く
- 総論で述べていないことを各論で展開しない
- 総論の論理展開の順序と各論の展開順序を一致させる
(2) 全体の構成はパラグラフ単位で検討する
原則: パラグラフで骨組みをつくる
- 構成を検討するときの注意点
- 情報を取捨選択する
- 情報を適切なパラグラフへ分類する
- パラグラフ間で情報を正しく対応させる
- 各パラグラフの展開順序に気をつける
(3) 段落ごとに冒頭に要約文をおく
原則: パラグラフでも要約文を頭にもってくる
- 要約文を書く時の注意
- 主題を一つに絞る
- パラグラフの内容が分かるように、ある程度具体的に書く
- 要約文の主語はそのパラグラフのキーワードにする
(4) すでに述べた情報を”つなぎ”に新情報を展開する
原則: 情報の順序は「既知→未知」が鉄則
- 「既知→未知」を守るときの注意
- 主語を省略せず、不自然にならない範囲で意識して書く
- 受動態か能動態かは意識しない
(5) 同じ種類のものは同じスタイルで表現する
原則: 並列するときは表現形式を揃える
- パラレリズムをまもるための注意
- 並列するものが、本当に同じ種類のものか確認する
- 並べる順番も考慮する
(6) 一文では、一つのポイントだけを述べる
原則: 一文で複数のポイントを述べるのはタブー
- 一つのポイントだけを述べるときの注意
- 二つの文を等位接続(助)詞で接続しない
- 修飾が長くなるときは、修飾部分を文として独立させる
- 主従/因果関係が明確ならば、その主従/因果関係が明確に分かる接続(助)詞で二つの文を接続する
(7) 誰でも同じ理解になるように表現する
原則: 明確に表現する
- 明確に表現するための注意
- 具体的な単語を使う
- なるべく肯定で表現する
- 修飾語に注意を払う
- 読点を正しく打つ
おわりに
文章の書き方は、(語彙を増やすためにも、技法を学ぶためにも)本を読むのは大事ですが、実践しないとなかなか身に付きません。本当はマンツーマンで指導を受けるのが効果的です。セミナーもあるようですので、一回受けてみるのはいかがでしょう。一生モノの内容だと思います。ちなみに、私は前職の会社で講習を受けました。
倉島さんの本はどれも参考になると思います。手に入れやすい本は論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)などですね。