恥ずかしながら今さらTommy Bolinを聴きました。
Deep Purpleからリッチー・ブラックモアが抜けて、その後釜に入ったのがTommy Bolin。
彼が参加したDeep Purpleのアルバムはこれ一枚で、ここで一旦解散。 この後1984年の再結成までDeep Purpleはシーンから消えます。
この35th Anniversary EditionだとTommy Bolinとイアン・ペイスの2人だけのセッションの録音が収録されています。 これは確かに良い演奏で、イアン・ペイスやジョン・ロードが気に入ったのも分かります。
なので、Tommy Bolinの演奏はとても良いですし、アルバムとしても質は高いと思います。
難しいのは、これをDeep Purpleのアルバムとして捉えてしまうと、評価が微妙になることでしょう。
そう感じてしまう原因は次の三つかなと思います:
- リフがハードロックっぽくない
- ディヴィッド・カヴァデールのボーカルがソウルフル・ブルージーに振れた
- ギターは悪くないけど、リッチー的な圧倒的な存在感が弱い
目次
リフがハードロックっぽくない
これはアルバム全体で言えますが、明確なリフがない曲があったりしてハードロック的な雰囲気が希薄です。
スライドが多いせいか、かなりアメリカン・ロックのフィールになってます。
この前のアルバムまでのDeep Purpleとは、かなりのギャップがあります。 ジョン・ロードも言っていたようですが、Deep Purple名義でないほうが良かったでしょうね。
ディヴィッド・カヴァデールのボーカルがソウルフル・ブルージーに振れた
もともとディヴィッド・カヴァデールのボーカルはイアン・ギランよりはドロ臭い系であるので、ブルージー系に振れやすい背景はあります。
Tommy Bolinのギターはリッチーよりは粘っこいプレイなので、そのテイストがより強くなってしまった感があります。
ギターは悪くないけど、リッチー的な圧倒的な存在感が弱い
Deep Purpleのファンはかなりの部分リッチー・ブラックモアのファンでしょう(独断と偏見)。
リッチーのファンとしては、Tommy Bolinには圧倒的な存在感に物足りなさを感じてしまいます。
あとジョン・ロードとの緊張感も足りない。ある種のピリピリ感がDeep Purpleの魅力だと再認識できたという側面はあります。 このアルバムはかなり伸び伸び演奏していて、そういう雰囲気が悪いわけではないですが、もともとのDeep Purpleファンが期待するものではないですね。
おわりに
繰り返しになりますが、アルバムの質は高いし、Tommy Bolinのギターもとても良いのでロック・アルバムとしては超オススメです。曲はどれも良いですし。
ただしDeep Purpleとして捉えなければ…の話ですが。あのバンドにもこういう歴史があったのね、という態度で聴くのが良いと思います。
Amazonの商品ページがなぜかTommy Bolin名義になってる…。