ハムバッカー・ピックアップのポールピースの高さ調整

Tokai LS Shop Order Reborn OLD ピックアップの調整で音ってどれくらい変わるの? という動画でハムバッカーのポールピースの高さ調整の話題があった。

動画では、調整の有無を含めて3種類の設定でのサウンドを比較している。動画では正直違いは分からなかったが、弾いている本人は違いが分かるようだ。

ただし残念ながら「最近やっている調整」の詳細は動画では明かしていない。商売ということらしい。

ネットを調べてみれば、似た話は見つけることが出来る:

上記の三つの記事はほとんど同じことを言っている。 (指板のアールにポールピースの高さを合わせることが必ずしも良い結果を生まない。)

いずれのページでも、具体的なポールピースの高さの例が図示されているのでとても参考になる(ほとんど同じセッティングだ)。

指板のアール(通常は弦高を指板アールに合わせているから)も一つの要素であるが、もう一つ重要なのが弦の芯材の直径の違いであることを、上記いずれのページでも述べている。 例えば巻弦の4弦とプレーンの3弦では芯材が3弦の方が太いのでピックアップが拾う音は3弦のほうが大きくなる。 だから4弦よりも3弦のポールピースを下げることでバランスを取ることが出来る。

フレーリンのピックアップでは2弦下のポールピースが一番下げされているという。というのも2弦が一番音量が大きくなるからとのこと。 (ビンテージ系を謳うスタガードのシングル・コイルでは2弦のポールピースが大抵そうなっている。 ただしビンテージ系では3弦が巻弦だった時代の名残をとどめているのが普通で、3弦のポールピースが一番高い。)

フォーラムの投稿はかなり詳細に、そして分かりやすく書かれている。参考に粗く訳しておく:

標準的なハムバッキング・ピックアップのポールピースの高さをどのように設定するのがベストなのかを解説するガイドを作成した。 この簡単な調整で、ギターの明瞭度を向上させ、弦間出力のバランスを取ることができる。 なぜこれを書かなければならないと思ったのか?それは…

誰もが間違っている

ハムバッカーを搭載したギターのポールピースの高さの設定に関して、信頼できるメーカーや雑誌でさえ、間違った情報が多いことに驚かされる。 もちろん、私たちは音楽と個人的な好みについて話しているのであり、私がここで推奨しているものとは異なるポールピースのセッティングを好むかもしれない。 それでも、あなたがハムバッカーのセッティングについて十分な情報を得た上で決断するのに役立つ、事実に基づいた良い情報をここで見つけられることを願っている。

このスレッドではギブソン・レスポールを想定しているが、ハムバッカーがパッシブでポールピースが調整可能であれば、ここに書かれている情報は様々なタイプのギターやハムバッキング・ピックアップに当てはまるだろう。

あなたのギターは、濁った音やこもった音であってはならない

レスポール、特にネック・ピックアップに対する苦情で非常に多いのが、音が「濁っている」「不明瞭だ」というものだ。 そのため、ポテンショメーターやコンデンサー、そして最終的にはピックアップの交換といった改造が行われる。 しかし、私はこのスレッドにあるアドバイスに従って「泥」を落とせなかったレスポールに出会ったことは一度もない。 様々な理由でピックアップを交換したいと思うかもしれないが、信頼できる会社のギターを使用しているのであれば、この問題を解決できるはずだ。

配線とエレクトロニクス

ここでは、様々な配線の改造や部品の変更について述べるつもりはない。 しかし、50年代の配線、500kまたは550kのポテンショメーター、0.022uFのトーン・コンデンサーをギターに使うことをお勧めする。 50年代配線に関するスレッドはこちら: https://www.mylespaul.com/threads/wiring-library.558/

シングルコイルとハムバッカーの比較

  1. シングルコイル・ピックアップはそのデザインと形状から、一般的にハムバッカー・ピックアップよりも弦を強く引っ張る (例えばストラト・ピックアップのマグネットは弦のすぐ近くを突いています)。 このガイドはシングルコイル・ピックアップには適用されない。
  2. ハムバッカーは、マグネットが弦を引っ張る力が弱いため(マグネットはコイルの下にあって弦から離れている)、シングルコイル・ピックアップよりも弦に近い位置に置くことができる。

エレキギターの弦に関する重要な情報

ギターの弦は同じようには作られていない! ギターの弦はそれぞれ、その下にある磁石の影響を受けるため、当然ながら他の弦よりも出力が大きくなる! これは、弦のソリッド・コアが巻線よりもはるかに密度が高く、強磁性であるためだ。 それぞれの弦の出力は、ほとんどソリッド・コアの太さに依存する。 巻き線の形状が非常に高い磁気抵抗を生み出すため、巻き線が出力に与える影響ははるかに小さい。 極端に細かいことに興味があれば、円筒の「ヘルツ接触応力」を検索してみて欲しい。

直感に反するが、G線は弦の中で最も大きな音が出る。 これは、G線が最も太い芯を持つ弦だからだ(G線には巻線がないので、弦全体が芯と考えることができる)。 すべての弦メーカーからコアの太さに関する情報を入手するのは困難だが、一般的にほとんどのエレキギター弦の出力(コアの太さ)は次のようになっている:

最も出力の大きいものから小さいものへ: G – Low E=B – A – High E — D(およそ)。

G線が最も出力が高く、次にLow E線とB線、そしてA線、High E線、最後にD線と続く。 その中間の弦の中には、かなり近い出力のものもあるが、一般的には、G弦の出力が圧倒的に高く、D弦の出力が圧倒的に低いセットが大半だ。

やってはいけないこと

ポールピースの高さに関して最も一般的な推奨事項のひとつは、指板の湾曲に沿わせることだ (公平を期すために書くならば、50年代や60年代の巻きG弦の時代には、おそらくこれがうまく機能していた)。 これは一見理にかなっているように見えるが、弦からポールピースの距離をすべて同じにしようとしている。 このようなピックアップの写真を1枚ご紹介しよう:

しかし、これは間違いであることがわかったはずだ! 低音の3弦についてはそれほど大きく外れていないが、この方法でポールピースの高さを設定すると、G線が非常に強調され、高音のE線が静かになってしまう。

では、あなたのギターのポールピースの高さを設定する方法

まず、泥に悩まされているのであれば、ピックアップを下げた方が良いだろう。 後で高さを上げればいつでも出力を上げることができるが、一般的に位置が低めのピックアップの方が明瞭度が高くなる。

各ポールピースがピックアップカバーとほぼ同じ高さ(または少し上)、またはポールピースのネジの頭が、カバーのないピックアップのボビンより少し上に突き出た状態から始める。 次にピックアップの高さを測るため、Low E弦の最終フレットを押さえて、Low E弦からピックアップのポールピースの上端までの距離を測る。 ハイE弦も同様に測る。 ピックアップの高音側は、低音側より約1/32 ” (≒ 0.8 mm)高いはずだ。 ブリッジの高音側をハイEから約2/32″ (≒ 1.6 mm)、低音側をローEから約3/32 ” (≒ 2.4 mm)にセットするのが良いスタートポイントだ。

次に、ネック・ピックアップ (同じ高さであれば、弦が振動する距離が大きくなるため、当然音量が大きくなる)を耳を使って下げ、好みの音量になるようにする。 ネックの音量とブリッジの音量をほぼ等しくしたい場合、ピックアップのバランスがあまり良くないと仮定すると、ネックのピックアップはブリッジよりもかなり低くなる。 それでも構わない!

ピックアップの音量がほぼ同じになったところで(あるいは、どの程度のアンバランスでもかまわない)、弦間出力を設定するのが目標だ。 これは、ポールピースの高さを調整することで行う。 弦対弦の音量をほぼ等しくするには、音量が大きい弦のポールピースを下げ、小さい弦のポールピースを上げる必要がある。 これは完全に耳で聞いてもいいし、本当に正確に行いたいのであれば、デシベルメーターやレコーディング・インターフェースを使ってもいいだろう(私は気にしないが)。

G弦の音量が最も大きいから当然ポールピースを最も下げたくなり、D弦は音量が最も小さいから当然ポールピースを高くしたくなる。 したがって、私は通常、ポールピースを大まかに下のように設定します:

(図がある)

典型的なハムバッキング・ピックアップにはよく合うので、私はこれを出発点にして、耳で少し調整することが多い。

ピックアップの上げ下げとポールピース、そしてこの仕組みについて少し:

3/11編集

フォーラムの他のスレッドに基づき、ここにもう少し情報を追加することにした。

光源があり、空間を3次元的に伝播する多くのもの(重力、光)と同様に、磁場と磁気相互作用の強さは、距離に関して逆2乗則に従って変化する。 つまり、2つの物体の距離を2倍にすると、その間の磁力は元の値の1/4になる(4倍弱くなる)。 距離を3分の1にすると(3倍近づくと)、力は9倍強くなる! 距離を4倍にすると、磁力は元の16倍になる。 明らかに磁場は距離によってかなり大きく変化する。 例えば、ポールピースをストリングから4/32 “離し、それを3/32 “離すと、ストリングは磁場の強さがかなり増加する。

とにかく、ポールピースがスラッグと同じ高さにセットされたピックアップを想像してみよう。 この場合、スラッグとポールピースは同じ距離にあるため、弦に与える影響は基本的に同じだ。 ピックアップ全体を上下させると、ハムバッカーの両コイルで弦との磁気的相互作用が基本的に同じだけ増減する。 ハムバッカーを弦に近づけると出力は上がりますが、明瞭度は低下する。

個々のポールピースを上げると、そのポールピースが弦に与える磁気の影響が大きくなり、その弦の音量が大きくなる。 しかし、このボリュームの増加は、主に調整可能なポール・ピースを持つコイルからもたらされるのだ! これは、そのポールピースを取り囲むコイルであり、したがって、その影響を最も強く受けるコイルなのだ。

ポールピースを上げると、余分な出力はほとんどアジャスタブルコイルから得られるので、ハムバッカーはわずかにアンバランスになる。 重要なのは、他のコイルと位相がずれているわけではないということだ。 少し音量が大きくなるだけで、位相の問題は生じない。 片方のコイルをもう片方のコイルよりも弦と強く相互作用させることができるので、これを利用してわずかなシングルコイル・サウンドを得ることができる。 つまり、コンプレッションを抑えながら、より明瞭で「オープン」なサウンドを得ることができる。 逆に出力とコンプレッションを上げたい場合は、ポールピースを水平にしてピックアップ全体を上げる。

このガイドがお役に立てば幸いだ!ありがとう。

ErictheRed

おわりに

上記で引用した動画での詳細な説明はされていないセッティングが、ネットで見付けられる内容と同じかどうかは分からない。 興味がある人は、調整を依頼すれば良いと思う。(上記の動画と自分は無関係なので、ここで紹介したところで自分には何の利益もない。)

手元のギターは自分で調整しているが、3弦・4弦のバランス、6弦・1弦のバランスを取るほうが弾きやすくなる。 なお中古で入手したギターでは、過去に調整した形跡がないものもある(ポールピースを回すとパラフィンがバリバリ剥れてくる…)。