エレキギターのピックアップの動作原理 (1/2)

エレキギターのピックアップの動作原理としては、世の中には2説あるらしい。

たとえば How Do Guitar Pickups Work?に記述がある。そこから引用すると以下のようになる。 (動作原理を適切に表現しているとは思えないが、名前もそのまま引用している。いい加減な日本語訳もつけてみた。)

  1. Magnet-centric Model (マグネットを中心に据えるモデル)

    ギターのピックアップのポールピースが作る磁場の中を振動する弦が通過すると、磁場が乱れて磁束が発生し、電流が流れるモデル

  2. String-centric Model (弦を中心に据えるモデル)

    弦そのものがポールピースによって磁化され、振動することで独自の動的磁場を発生させる。 (つまり、コイルは必ずしもマグネットに巻きつく必要はなく、弦を磁化すればよい。)

この手の動作原理は気にならない人が多いようで、一般的には1番目のモデルが受け入れられているように思う。

ただ、物理的(電磁気学)に考えると1番目のモデルは磁場が乱れるメカニズムがよく分からない。 物理をかじったことがあるなら、2番目のほうが説明がつく。 少し引っかかるのは「本当に弦が磁化されるか?」という点くらい。

実際に実験して確認した例がHow does a guitar pickup work?にある。

これはマグネットが有り・無しのピックアップを弦を挟んで配置した実験だ。 二つのピックアップを弦の上下に配置して、弦とコイルの距離を同じにして、上下のピックアップの違いはマグネットの有無だけにしている。

これによれば、マグネット有無でサウンドに違いはなく、したがって弦の磁化によってコイルで発電していることを示している。

イメージとしては以下のような感じか。

弦が微妙に磁化されていて、これがコイルに近づいたり遠ざかったりすることで電流が誘起される。 コイルのマグネットの役割は弦を磁化すること。

このモデルはPAFの発明者であるセス・ラバーが提唱していたとHow Do Guitar Pickups Work?にある。 ハムバッカーの動作原理も、この弦の磁化によるものを考えないと理解できないように思う。

(ハムバッカーの動作原理についての考察は別途書こう思う。)