隠岐由紀子 / ギュスターヴ・モロー 世紀末パリの異郷幻想

子供のころ、家に美術全集的な2~30冊の画集があった。

著名な画家ごとに画集があって、ボッティチェリやモネ、ダリ、ルノワールのような画家の作品をその頃知ることができた。

ウン十年経っても強烈に覚えていたのがモローの「ガラテア」と「妖精とグリフォン」だった。 無垢だった自分はこんな綺麗な裸婦で股間を固くしていたと思うが、画家の名前は覚えてなくてもこの二つを何となくペアで覚えていた。

最近別の画集でモローのことを知り、改めて調べて画集を探した。

いくつか画集を入手したのだが、「ガラテア」と「妖精とグリフォン」が掲載されているのがこの画集。

「ガラテア」のほうが有名らしく、「妖精とグリフォン」は載せていない画集がいくつかあった。 ただ「ガラテア」のポーズは「妖精とグリフォン」とよく似ており、いずれも洞窟のなかで守られる女性像という共通点がある。 幼い自分が持っていたイメージはあながち間違いではなかった。

モローはポーズが似かよった絵が多い。ポーズが似ていても細部が異なるので、美しいポーズを選んでいるのだと思われる。 精緻でありながら色彩が鮮かで、女性が特に美しい。この画集の副題にある通りで幻想的でもある。独特な世界を強く感じさせる画家だと思う。

「妖精とグリフォン」。下の写真ではグリフォンは写っていない。女性の足の横あたりに描かれている。

ガラテアは巨人ポリュペモスが眺めるという構図。物語を感じさせる。

Adsense広告