博士課程学生の就職活動ベストプラクティス

2021年3月の物理学会誌に「私の就職活動  山田真徳」という記事があったので紹介します。

内容は素粒子理論(格子ゲージ理論)の分野で博士号を取得した方が、
  • 民間企業の研究所に就職するまでの流れ
  • 経験と感じたこと

を2ページにまとめたものです。

博士課程の学生の就職活動の例としてよくまとまっているので、関係がありそうな方は読んでみると得るものが多いと思います。

この方の場合は

  • インターン
  • 外資系の選考
  • ベンチャー系の選考
  • 国内大手企業の選考

という流れとのこと。

就職に関しては、指導教官の方々に相談しても益のある会話にならない場合もあるのでやっかいです。 なにしろ学外の現実を知らない方々が大多数なので仕方ありません。 学外に就職する場合は自分で情報を集めるほかにないので、こうした情報は貴重です。

エントリーシートの書き方やweb試験(SPI的なもの?)の考え方、就職先の選び方なども書かれています。 あくまでも一例ではありますが、こういう例もあるというのは価値ある情報でしょう。

「理論物理の出身」ということのメリットについても記述があって興味深い内容でした。 この方の場合は、理論物理での知見がデータサイエンス系領域でつながる部分があることにアドバンテージを感じているようです。 全ての領域・分野に通じる話とそうでない話があるのは理解したうえで読むべき。 この方の場合は、専攻の分野に固執しない柔軟な姿勢が功を奏している可能性はありそう。

ぼくが就職活動をしたのは20年以上も前のことで、今とは状況も情報もだいぶ違う。 こんなにきっちり手順を踏んで活動しなかったので、読むと眩しいばかりです。

自分はかなり世間知らず・ナイーブな部類だったと思いますが、今でもそういう学生も少なくないように思います。 特に博士課程の学生は少数であり、また博士号にたいして理解が足りない企業が多いのが現実でもあるので、戦略的に就職活動を行うのが重要です。

この方が書いているように、博士号取得者について理解がある組織、考慮してくれる組織、博士号取得者を多く採用している組織は就職後もなにかと楽だと思います。 逆に、博士号取得者の扱いに不慣れと思われる組織(博士号取得者が少ないなど)では、仕事内容以外のところで苦労することが多くなる場合があります。 特に日本国内は大多数なので、外資を考えるのは一つの戦略です。

なお、この記事は物理学会の会員はpdfでも読めます。