ロベン・フォード / The Inside Story

ロベン・フォードの公式なデビューアルバムです。(ここで『公式な』というのは、実際には1枚アンオフィシャルなアルバムがあるから。)

このアルバムは1979年のリリースで、時期的にはラリー・カールトンの「夜の彷徨」が1977年、リー・リトナーの「キャプテン・フィンガーズ」も1977年ですから、少し遅れ出てきた感じです。

フュージョン・ブームの真っ只中の時代のリリースなので、フュージョン・アルバムかと思いきや、今聴くと結構ブルージーな面が目立ちます。 3曲目”North Carolina”はほとんどブルースまんま。6曲目”Need Somebody”もかなり「いなたい」。 そもそも1曲目も”Magic Sam”はシカゴ・ブルースの重要なギタリスト・シンガーの名前からとっていますしね。

約10年後に出る”Talk to Your Daughter”以降はブルースをベースにしたアルバムが中心になるのを知っていると、おのずと聴き方も変わってきます。後の展開を思い浮かべながら聴くと楽しい。

そのほかは、いかにもフュージョン的なサウンドが続きます。でも演奏も曲もあまり古い感じがしません。 このアルバムがきっかけでYellowjacketsが結成されたのは有名なエピソードですよね。 そういうフュージョン的なナンバーの中でも最後の”Tee Time for Eric”はこのアルバムでも最も緊張感があるソロだと思います。

忘れてならないのが、ギター・サウンドの美しさですね。

歪みが、もう素晴らしい。2曲目”For the One I Love”, 5曲目”The Inside Story”は特に太く美しい歪みが聴けます。 中域だけでなく、ローが結構深めに聴こえます。 これを聴くとダンブル・サウンドを真似したくなります。全然真似できていませんが…。