2枚だけで解散してしまった日本のフュージョン・バンドの1978年のデビューアルバム。 プリズムのデビューが1977年、カシオペアのデビューが1979年。というわけで、その間にデビューしたということになります。
プリズムとカシオペアがギターが目立つのに対して、このスペース・サーカスは岡野ハジメのベースが目立つ。 そのせいでギターの影が少し薄いのが残念。 ベースが目立ちすぎなだけで、佐野行直のギターは決して地味ではなく、和田アキラよりもむしろ流麗なフルピッキングで、正直驚きますよ。 歪みの音も良いです。
目玉はやはり”Alibaba”と”Funky Caravan”でしょうね。ダークなテーマでカッコいい。 スラップ・ベースがビンビン・ブイブイいって、その上にギターの軽やかで高速なピッキングが駆け巡る。 なんで、佐野行直はあまり有名でないのか不思議です。
ただ、バンドとしてはかなり玄人好みなサウンドなんだと思います。 キメが多くて、バンド全員がテクニカルなプレイ。
さらにスラップがド派手なベースラインは速いフレーズが多く緻密なので、ファンキーという形容はあまりピンとこないです。 R&Bやファンクのような軽妙さは少ないですしね。 全体的にすごく真面目な感じがするのは、こういうカッチリした演奏によるものではないかと。
アルバム全体の音はナチュラルに録られていて、とても良い音だと思います。 ドラムの音もあまりエフェクトがなく、生々しいです。これはピアノやベースの音にも言えます。 薄化粧でかなり素朴なサウンドですね。 素朴なサウンドで、キメキメなフュージョンサウンドなので、今聴くと逆に新鮮です。