除名が続く日本誠真会 ── 党首YouTubeチャンネルのパフォーマンスから占う影響力の行く末

(更新日: 2025年12月18日 )

はじめに

日本誠真会が一方的に副党首の除名、顧問の解任を宣言した。

これに関連して、党首・吉野敏明の命綱であるYouTubeチャンネルのライブ配信の再生数・コメント数を分析して、今後の吉野敏明自身の影響力がどうなりそうか予想してみた。

要約すると

  • 党内では除名が続き、党首による説明は限定的。
  • 党首YouTubeチャンネルの登録者は増えるがライブの再生・コメントは減衰。
  • この乖離は、影響力が「広がり」からより「内向き」へ変質していく可能性がある。

日本誠真会の除名騒動

日本誠真会が大変に混乱している。

園原武嗣氏が除名されてまだ日が浅いが、今度は副党首であった木原功仁哉氏が除名、顧問契約だった南出喜久治氏の契約解除が一方的に宣言された。

木原功仁哉氏による日本誠真会による除名処分についてを要約すると以下の通りだ:

1. 発端:吉野党首の医師法違反疑惑の浮上と調査要求

  • 木原氏は 12 月 6 日午前 1 時頃、Chatwork 上の副党首会議グループに、 吉野敏明党首に医師法違反の疑いがあるため党紀委員会による調査が必要 とする議案を提出。
  • 情報源は元顧問・南出喜久治弁護士。 南出氏には A 氏ほか複数の被害者から、吉野氏(歯科医)が医師法第17条違反となる医療行為を行った疑い について刑事告発依頼が寄せられていた。
  • 南出氏は吉野氏へ自主辞任を勧告するメールを党役員に送付。内容は具体的で、 銀座エルディアクリニックでの診察行為・内科診療・不適切な説明・検査・歯科治療誘導などを証拠付きで指摘している。

2. 以前から存在していた吉野党首への不信と組織運営上の問題

木原氏は医師法違反疑惑の提出以前から、以下の重大な問題を副党首会議で指摘していた。

  1. 伊勢市議選での推薦候補者の扱いの不整合 公認・支援を受けた候補が「党に所属していない」と発言しており、党の体面に関わるため調査が必要。

  2. 吉野氏の経歴(11代鍼灸・漢方医の家柄)について虚偽疑惑 系図の提示を受けた南出氏が合理的説明を求めたが党首側から説明なし。

  3. 副党首制度を規約に反映する規約改正が党首の判断で1カ月以上棚上げ 「副党首が経営感覚を身につけるまで改正しない」と党首が発言。

  4. 常任委員会が“デッドロック状態” 事務局長がほぼ稼働しておらず、吉野党首と意思疎通がなく、規約上必要な党紀委員会の設置すら疑わしい。

これらの経緯から、木原氏・南出氏の吉野党首に対する不信は臨界点に達していた。

3. 医師法違反調査要求の提出と、それに対する党側の反応

  • 木原氏が 12 月 6 日に議案を提出した約16時間後(同日17時過ぎ)、 党事務局から「12月5日付の党員資格暫定停止処分」通知が届く。
  • さらに、議案は「提出時点で資格停止中であるため受理しない」と通告。
  • 木原氏は、 5日付への遡及処分により議案提出を封じるための“作為”である と主張。
  • 暫定停止通知書には党紀委員の名前・押印が一切なく、党紀委員会自体が存在しない可能性が高いと批判。

4. 除名処分と木原氏の評価

  • 翌 12 月 7 日、木原氏に除名通知が届く。
  • 処分理由は極めて抽象的で、具体的事実は提示されていない。
  • 木原氏は、 医師法違反疑惑は具体性・迫真性が高く、党運営上の公平性のため調査は必須だった と主張。
  • 議案提出当日に即座に処分した事実から、 吉野氏が説明を避けようとした、ひいては嫌疑の実質的自白に等しい と批判。

5. 木原氏の法的対応と今後

  • 木原氏は、日本誠真会を相手取り 除名処分無効確認訴訟参院選前の活動費(交通費・会場費等)の償還請求 を、神戸地裁に提訴する予定。
  • また、木原氏の資金管理団体「木原くにや後援会」が共催となっている 講演会およびミニ集会はすべて中止 と表明(理由:党との信頼関係の完全破綻、後任引継ぎの不在)。

6. 結語

  • 木原氏は、党運営に尽力した党員・支援者への感謝を述べつつ、 今後は自身の政治団体「祖国再生同盟」で活動を継続するとしている。

より詳細については、例えば党内大紛争!党首吉野敏明 医師法違反疑惑で木原・南出両氏が離脱① – 癒しのぐんだりさんが良いかも知れない。

この後、2025年参議院選挙では福岡選挙区から立候補した冨永正博氏が離党を宣言している: 【離党表明並びに決別文】

党首・吉野敏明の対応

これらに対して、当の吉野敏明は説明の動画・投稿などはなく「虚偽の情報」「事実と異なる」とポストするにとどまっている(【皆様へ重要なお知らせ】, 皆さまへ)。

これらのポストへのリプライは非常に辛辣なものが多い。

一方で毎日ライブ配信しているYouTubeチャンネル吉野敏明チャンネル〜日本の病を治す〜 でのコメントは吉野敏明寄りのコメントが目立つ。

ちなみにチャンネル登録者数はこれを書いている時点で56万人を越えている。

そこで、このチャンネルの再生数とコメント数がどのように推移しているか調べてみた。

吉野敏明チャンネルのライブ配信の再生数とコメント数

YouTube公式API (YouTube Data API v3)を使って過去1年間の各ライブ配信の取得時点での累積再生数(配信終了後)とコメント数を今の時点で集計してみた。

生データと7日間の移動平均および移動中央値、さらに移動平均・移動中央値を線形回帰した直線をプロットしてみた。 二つの線形回帰線はほとんど重なってしまっている。

上が再生数、下がコメント数である。

再生数が非常に多い時期もある。例えば2025年7月は参議院選挙があり、その前後での再生数やコメント数が増えている時期と思われる。

ただ全体的には右肩下がりで、再生数・コメント数とも徐々に減少していることは一目瞭然である。 非常に大雑把に言って、1年で再生数は約35〜40%減、コメント数は約45〜50%減 (ほぼ半減)である。

重要なのは、

  • 再生数:−35〜40%
  • コメント数:−45〜50%

のようにコメントの方が速く落ちている点だ。

$V$を再生数、$\rho$を参加率とすると、コメント数 $C$ は概ね \[ C \approx V \times \rho \] なので、参加率$\rho$ \[ \rho = \cfrac{C}{V} \] ​ を見積もると
  • 年初:$\rho \sim 0.006$ 前後
  • 年末:$\rho \sim 0.004$ 前後

になる。つまり視聴者一人あたりの発話意欲(関与度)自体が落ちている。

これは単なるアルゴリズム変動では説明しにくく、コンテンツ側の構造要因を示唆する。

興味深いのはSocial Bladeによればチャンネル登録者数は増加傾向にあるのだ:

登録者が増えている主因は、ほぼ確実に

  • Shorts 動画
  • 切り抜き
  • 過去動画の推薦流入

であり、登録者は増やすがライブ稼働率にはほとんど寄与しない。

再生数・コメントが減少している原因

再生数・コメントが減少している原因は複数あると思われるが、一番大きな原因はマンネリ化であると私は考えている。

吉野敏明チャンネルはいわゆる四毒抜きを解説している配信が中心である。 内容はほとんど変更がなく、「四毒抜きがいかに有効か」を種々の症状や病気を題材にしている。 言い換えると「この症状は四毒のこれが原因」がテンプレである。

吉野敏明自身の説明がブレることはあっても、四毒抜きの解説はほとんど変化しない。 だから、何度か見ればあまり新しい発見はない。

また、毎日配信しているため希少性がない。だから毎日見る動機が低下する。

したがって再生数は伸びないと思われる。

吉野敏明の今後を占う

吉野敏明はチャンネル登録者数が数十万人であることで、参議院選挙でも勝算があると考えていた節がある。 つまりチャンネル登録者数が自分の人気のバロメータと考えている。

しかし現状では登録者は多いが稼働率が低いチャンネルに移行しつつある。

現在の態度(説明しない/短文否定/YouTube至上主義)を続ける限り、

  • チャンネルは 「数字は大きいが死んでいる」状態に近づく。
  • 吉野敏明の影響力は 広がりを失い、先鋭化・内向化する。

政治的には、

  • 国政政党化の可能性は さらに低下。
  • ファンクラブ的・信奉集団的性格は 強化される。

のようなシナリオが考えられる。

おわりに

以上は南出氏が2025年12月11日東京地検特捜部に提出したいう刑事告発(吉野敏明 医師法違反疑惑告発 記者会見 南出喜久治 2025/12/12 の20秒前後に発言あり)による捜査の結果を考慮していない。 現在のところ捜査の有無や結論は確認できていないが、もしも捜査によって刑罰や処罰が下る場合は、さらに影響力が低下することも予想される。

現在は支持者が離れてしまう状況であるが、それは吉野敏明が説明責任を果たさないことに帰着する。 このまま逃げていても吉野敏明にとっては何も好転しないことは確実だろう。