スティーヴィー・レイ・ヴォーンやジミヘンは半音下げ(エディ・ヴァン・ヘイレンもだが…)で知られている。 レギューラー・チューニングで演奏するものありなのだが違和感はある。
たとえば普段009のゲージをレギューラー・チューニングで使っている場合、半音下げるとかなりテンションは緩くなると推測される。
実際、半音下げる場合はどの程度太いゲージにするのが良いのか検討してみた。
参考にしたのはD’AddarioのページにあるA complete technical reference for fretted instrument string tensionsだ。
上記のpdfによればテンションの大きさは次の式で表現される:
\[ T = \cfrac{UW (2\times L\times F)^2}{386.4} \]上式で計算されるテンションの単位はポンド(正確には重量ポンド)だ。UWは Unit Weight(単位長さ当たりの重さ)、Lはスケール長、Fは周波数。 それぞれ単位がlb/in, in, Herzとなっている。
重量ポンドは一般的な力の単位のニュートンに変換可能だが、弦の張力が何ニュートンとか言われてもピンとこない。 だから、計算はこのまま重量ポンドのまま進めている。
ためしに計算してみると、上のpdfの表と同じ値が得られる。
目次
レギュラー・チューニングのテンション
008, 009, 010のゲージ(D’AddarioのXLシリーズのゲージ)で計算させて見た結果が下のグラフだ。
10~20重量ポンド程度だ。どのゲージでも2弦のテンションが緩い。
010で半音下げた場合
010で半音下げの場合は下のようになる。
音程と周波数の関係はNote Frequenciesを参照した。
010レギュラー・チューニングよりは下がるが、009のレギューラーよりは若干高め。
ということで、普段使いが009の場合に半音下げしたなら010を使うのがテンションの変化が少なそう。
ちなみにテンションはあくまでも張力を言う。
実際に弾く場合に、キツく感じるか緩く感じるかはギターによって違う。
同じゲージ・チューニングでもフローティングさせたトレモロでは緩く感じると思うし、それに慣れているとハードテイルやストップテイルピースなどのギターではテンションがキツく感じると思う。実際、アームのギターはゲージの差を感じにくい(調整次第だが)。というのも、チョーキング時などはトレモロユニットが若干動くから。
一方でレスポールやテレキャスターのようなハードテイルの場合はテンションがキツめに感じる(もちろん個人差はある)。
同じ理由でネックの材質にもよると思う。チョーキング時に若干のネックが動くくらい柔らかめな材を使っているネックではが弦のテンションは緩く感じるかも知れない。