林哲司のトリビュート。 最初から企画されたものではなく、最近で林哲司作品をカバーしたりセルフカバーしたものを集めたものなので、より正確にはコンピレーションらしい。
きっかけは中森明菜の公式YouTubeチャネルだ。 なんと中森明菜がゆっくりと再始動しているようだ。
北ウイングの弦楽バージョン。
(ちなみにヘッドフォンのLRが逆のようだが、これはお茶目なのか狙いなのか分かっていない。)
これが収録されているのが、この”50th Anniversary Special A Tribute of Hayashi Tetsuji – Saudade -“。
中森明菜のようにセルフカバーもあるが、オリジナルとは別の人がカバーしているものもある。
目次
各曲について
北ウイング -CLASSIC-
年齢を重ねて味わいも加わっていて、さすが中森明菜。
ブランクも感じさせず、映像でも楽しそうな姿に安堵したファンも多いのではないか。 また歌声を聴くことができて、自分もとても嬉しい。
アレンジも渋くて、オリジナルに負けていないと思う。
悲しみがとまらない
これが林哲司+康珍化のゴールデン・コンビだとは知らなかった。
稲垣潤一と小柳ゆきのデュエット形式で、コーラス・パートが入れ替わっていくアレンジが憎い。
稲垣潤一は70歳だというのに、この色気。40歳の小柳ゆきとの年齢差をまったく感じない声。 この人も声の力が抜きん出ているのが、この一曲だけでも分かる。
小柳ゆきも良いが、稲垣潤一と並ぶと霞んでしまうのは仕方ないかも。
(そう言えば「不適切にもほどがある」7話で純子先輩が2024年のカラオケで歌っていたな。)
SUMMER SUSPICION
これも林哲司+康珍化のゴールデン・コンビ。
これはGOOD BYE APRILがカバー。
このギターソロが素晴らしい。出だしがビブラートなしのロングトーンで緊張感があり、ここではっとする。 その後の展開もよくて、このソロだけでも何度もリピートしてしまう(オリジナルのギターソロも良いのだが)。
バッキングのエレピも効果的で、このグループのレベルの高さがうかがえる。 個人的にはボーカルはオリジナルの杉山清貴より好きで、このトラックはこのアルバムの白眉の一つだと思う。
Dang Dang 気になる
自分はオリジナルを知らなくて、最初は上坂すみれのアイドルっぽい歌い方がハマっていると思った。 後からオリジナルを聞いてみると中村由真のオリジナルも良い。やはり昭和時代の歌手は歌唱力がある。 中村由真でも良かったのではないかと思った。
天国にいちばん近い島
原田知世によるセルフカバー。
残念ながら、自分はオリジナルのほうが好みだった。 技術的には今のほうが歌は上手いが、失われているものが多いように感じた。
技術的に拙くても、10代の原田知世にしか表現できなかったものがオリジナルにはあったと思う。 この辺りは歌い手の想いもあるだろう。
信じかたを教えて
これは曲すら知らなかった。歌い手も知らずに聞いて「この上手い人は誰だ?」と調べたら松本伊代だった!
細やかなボーカルのコントロールは、最近の歌い手とは違うものを感じる。 80年代のアイドルはすごい人達ばかりだったんだね。
松田聖子・中森明菜は別格なのだろうが、松本伊代も相当にすごい歌手であることを知れて良かった。
悲しい色やね
中西圭三によるカバー。オリジナルをリアルタイムで聞いていた自分には歌い方が綺麗すぎる。
30代前半ながら既に屈折と落ちぶれを感じさせる上田正樹の声・歌い方がこの歌には必要なんだと思う。 くすぶった生き方すら感じさせる歌い手が歌った曲のカバーは難しそうだ。
悲しみがいっぱい
これは林哲司自身が歌ったものがオリジナル。 これを杉山清貴がカバーしている。
しかもバックは青山純と松原正樹のオケをそのまま使っている。 ギターソロはシングルコイルらしい歪みで、音色もメロディーも素晴らしい。