燃え殻 / すべて忘れてしまうから

TVドラマ(配信もあるらしい)で知ったエッセイ。

ドラマは、このエッセイをドラマ化したわけではなく、エッセイのエピソードを膨らませて脚本を書いてあるようだ。

(このエッセイが出ている時点では)著者はTV番組制作の会社に勤務しているようで、サラリーマンをやりながら作家活動もやっているようだ。 サラリーマンの日常の切り取りがとてもうまいと思う。勤め人の経験がなければ、もっと他人事になったのかも知れない。

もともとはSPA!で連載されていたらしい。 一つのトピックがほどよく短く、エッセイと言いながらそれぞれのトピックで物語がある。 さらさらと読めてしまうだけでなく、心地良い余韻が残る。 読み流してしまいそうでもったいなくて、味わいながら読みたくなる文章だった。

ドラマのほうは阿部寛が主演で、ミステリーっぽい始まりで工夫していると感じる(実際はミステリー要素はかなり薄い)。

個人的には酒井美紀が懐しい。自分の中では「白線流しの園子」のままだったので、尾野真千子の姉役に時間の流れを感じてしまった。 今回はかなりの怪演を見ることが出来て楽しめた(そう言えば酒井美紀も著者の燃え殻も静岡県出身だった)。

あと、あまり出番が多くないが、ミト役の鳴海唯が素晴しい。

主人に代わってCharaがナレーションをしている(Charaのナレーションは独特の味がある。このアイディアは大当りだ)。 ナレーションの内容はこのエッセイから引用しているものが多い。 エッセイを読んでからドラマを見ると、どのエピソードをベースにしてストーリーを作っているのか想像できて、また別の楽しみ方もできる。

(下はドラマの公式サイト)