ようやく住んでいる地域でも緊急事態宣言が解除されます。
この緊急事態宣言がどれほど効果があったのか、検証されていないのが釈然としないところです。
しかたないので、自分なりにその効果のほどを眺めてみることにしました。
PCR検査の陽性者数は厚生労働省のオープンデータから取得できます。 人出の様子はAppleが提供している移動傾向レポートから取得できます。こちらは全世界のデータですので、日本に関係するところだけ抽出しています。
ではプロットしてみた結果を示します(クリックすると少しだけ大きい図を見ることができます)。
緊急事態宣言の期間とGoToトラベルキャンペーンの時期を大雑把に示してあります。 これらの時期は手作業で入れてあるので、あまり正確ではありません。
陽性者数のピークはこれまで3回あります。1回目は2020年の4月初旬、2回目は2020年8月初旬、3回目は2021年の1月初旬です。 1回目のピークは最初の緊急事態宣言に入る前の人出の急激な減少が反映しているように見えます。
2回目のピークは緊急事態宣言の解除後から2ヶ月以上経過しています。そしてピークアウトと人出との相関が読み取れません。 この2回目(2020年8月)のピークの裾引きはGoToの時期とぴったり重なっていますが、ピークアウトは説明がつかない。 GoToが続いてもピークアウトしているから。 2回目のピークの後に人出(walking)は変化がないですが、その時期にピークは発生していません。
9月から10月中は人出(walking)も順調に増えていますが、その時期の陽性者数は横這い。 増え始めるのは11月中旬以降。12月に入ってからはwalkingの数は減っているのに陽性者数は増えたまま。 2回目の緊急事態宣言から人出は減っているのに陽性者数はがんがん増えて、1月の初旬にピーク。 その後陽性者数は急激に減少しています。一方で人出(walking)はじわじわと増加に転じています。 このピークアウトは人出が減ったからと見ることは可能だと思います。 が、2021年2月以降人出が増加傾向でも陽性者数は減っているのはなぜでしょうね。
以上のような傾向を観察したうえでの個人的な感覚では、人出の抑制が陽性者数の抑制につながっていると結論を出すのは無理がある。 むしろ11月くらいから気温が下がり空気が乾燥し、免疫が下がってきたので陽性者数は増えてきたというほうが自然に思えます。 1月のピークは、緊急事態宣言のせいで家族内で過ごす時間が増えて家庭内感染の陽性者数を増やしたという説明も否定できないでしょう。
というわけで、緊急事態宣言を出しても気分的に「がんばってます」感はでますが、実効的ではないと思えます。 あと、効果が低いウレタン・マスクをしている人が多い状況でもピークアウトするということも、緊急事態宣言の意味を希薄にしていると思えますね。 (国立大学法人豊橋技術科学大学Press Release 令和2(2020)年度第3回定例記者会見)
ピークアウトの原因も良く分かっていないので、現状どの対策が効果があったかを言えない。 そんな状況では、なにか対策をしてもある程度のピークはまた来ると思っておくほうがリーゾナブルでしょう。