L. D. Landau 関連リソース

書籍を中心とした L. D. Landau (ランダウ) 関係のリソースをまとめてみました。ちなみに2012年はランダウがノーベル物理学賞を受賞してから50年目にあたります。ノーベル物理学賞の理由は “for his pioneering theories for condensed matter, especially liquid helium” (凝縮系、特に液体ヘリウムにおける先駆的な理論に対して)です。

ランダウはソビエト時代の物理学者で、ランダウ・リフシッツ理論物理学教程で有名です。アメリカの物理学者ファインマンの場合は、関連書籍が多く出版されていてエピソードを知ることができます。それに対して、ランダウの場合はそういった書籍が少ないですから、リストをまとめるのは意味があると思いました。

ランダウスクール関係

  • アンナ・リワノワ 「ランダウの素顔 -現代物理学の万能選手-」

    ランダウの伝記です。主にランダウ学派でのランダウと弟子たちとの様子と、液体ヘリウムの超流動理論へのランダウの寄与について述べています。 ランダウの生涯に関して比較的よくまとまっているのは、この伝記と思われます。

  • ベサラプ 「ランダウはこう語った」

    ランダウの姪による伝記です。私が持っているのは千田健吾訳版ですが、訳が少し読みづらく感じます。

  • 佐々木力・山本義隆・桑野隆編訳 「物理学者ランダウ -スターリン体制への叛逆-」

    目次は以下の通り:

    • 第I部 生の軌跡と学問
      1. 「レフ・ダヴィドヴィチ・ダンダウ」 E.M. リフシッツ
      2. 「若き日のランダウ」 H. カシミール
      3. 「ランダウをめぐる若干の回想」 Yu. B. ルーメル
      4. 「物理学を志す学生へのランダウの率直な助言」 E. M. リフシッツ
      5. 「研究は熱心にやればやるほどよい」
      6. 「理論物理学のエンサイクロペディア」 M. I. ガガーノフ
    • 第II部 政治的抵抗の記録
      1. 「レフ・ランダウの最高機密生活」 G. ゴレーリク
      2. 「レフ・ランダウ—獄中の1年」
      3. 「ランダウの戦後政治思想」

    第I部は他の本との重複があります。3のルーメル、4の学生への手紙は「相対性理論入門」収録と同じ内容です。

    学習院大学の田崎先生による書評が 物理学者ランダウで読めます。

    ランダウに関して異なる人々が書いたものを1冊の本にまとめたもので、第I部と第II部は特につながりはありません。

    第I部は主に物理学におけるランダウの伝記的な文章を集めたものです。リフシッツによる部分にはランダウの論文リストがあります。カシミールは、ランダウがコペンハーゲンに滞在中のエピソードを記しています。「研究は熱心にやればやるほどよい」は「ナウク」というモスクワ物理工学研究所の新聞に掲載された記事とあります。学生からの質問にランダウが答える形式になっています。最後のガガーノフの文章は、理論物理学教程の解説です。

    第II部はゴレーリクの文章を中心に、それを裏付けるKGBの資料を加えたものになっています。(私は、第II部は鵜呑にせずに、KGB側の視点に立った資料を中心にしたものであることに留意して読む方が良いと思いました。)

  • V. L. Ginzburg “Landau’s Attitude Towrad Physics and Physicists” Physics Today 5 54 1989

    短いエピソードですが、超伝導のGinzburg-Landau理論における有効電荷量の扱いに対するランダウの態度がGinzburgの視点から描かれています。

  • I. M. ハラトニコフ 「ランダウの思い出」 パリティ Vol. 04 No. 11 p20 1989
  • ランダウ・ジューコフ 「相対性理論入門」
    • 1. 「ランダウの思い出」 ルーメル
    • 2. 「ランダウの生きた言葉 -科学を志す若い人たちへの手紙- 」イェ・エム・リフシッツ
    • 3. 「もしも全世界の科学者が…」 デ・エス・ダーニン
  • W. ハイゼンベルクほか 青木薫訳 「物理学に生きて -巨人たちが語る思索のあゆみ-」
    • 「ランダウ — 偉大な科学者にして教育者」E. M. リフシッツ

Bogoliubov派

同時代のソビエトの他のグループとの関係(といっても主にBogoliubov派)については以下の資料があります:

そのほか

  • マーミン 「相対論 -新しい発想で学ぶ-」

    この本は、マーミンのエッセイを集めたものです。マーミンはアメリカの物理学者で、固体物理を勉強する人なら知っているアシュクロフト・マーミン共著の「固体物理の基礎」で有名です。

    • 12 「一人の偉大な物理学者…そして偉大な人格者」

      マーミンによる、アンナ・リワノワ 「ランダウの素顔 -現代物理学の万能選手-」の書評。英訳にはパイエルスの序文があるようですね。Physics Today 1981年に掲載されたものですが、副題は「ランダウと私の人生—2に対する4.5の敬意」ということが次の「ランダウと過ごした日々」の中で分かります。2とか4.5とかいうのはランダウ流の物理学者へのランク付です。2がランダウ、4.5というのがマーミン自身を指しています。

    • 13 「ランダウと過ごした日々」

      1998年のランダウ追悼会議での講演とあります。

      マーミン自身の研究とランダウとの関わりについて述べたもので、第一線の研究者がランダウの仕事をどう見ているのかを示す興味深い内容です。

  • Gennady Gorelik “The Top-Secret Life of Lev Landau”

    (元)広島大学の成定薫先生による翻訳が 天才物理学者ランダウの真実 で読めます。「物理学者ランダウ -スターリン体制への叛逆-」の第7章と同じです。訳文は、成定薫先生によるものの方が読みやすいと私は思います。

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